投資家VTuberはっしゃんが明かす、10倍株が見つかる「会社四季報」の読み方
10倍株とは、株価が10倍以上に成長する銘柄のこと。
もし国内の全上場企業が掲載されている『会社四季報』(東洋経済新報社)を1時間で速読して、誰でもそんな銘柄を見つけることができれば……?
投資家VTuberとして資産3億円を築いたはっしゃんさんがその手法を明かした書籍が、『「会社四季報」速読1時間で10倍株を見つける方法 投資家VTuberはっしゃんが綿密なリサーチから導き出した「誰でもできる」3ステップ投資術』(翔泳社)です。
株式投資は難しくて不安、マイナス成長の銘柄ばかり買ってしまう──そんな方にこそ読んでいただきたいのが本書。
どのように『会社四季報』を読めば10倍株を見つけられるのか、重要なポイントと細かな注意点が付箋の貼り方に至るまで解説されています。
今回は本書から、いったいどんな内容の本なのか、はっしゃんさんの投資術がどれくらい成果を上げているのかを紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
未来の10倍株を見つけられる速読&投資術
「四季報」って一体どんなもの?
『会社四季報(以下、「四季報」とします)』とは、株式会社東洋経済新報社から年4回発行されている日本の上場企業の特色や業績と株価の推移、財務内容などをまとめた季刊誌です。本としての特徴は、
日本の全上場企業の情報が銘柄コード順に掲載されていること
決算や株価など投資家が必要とする情報がまとめられていること
などで、その使い勝手の良さから「投資家のバイブル」と呼ばれることもあります。
はっしゃんも年4回、この四季報を発売日に購入して、投資銘柄のチェックや投資先候補の発掘、上場企業全体の方向感を俯瞰するなどで活用しています。
日本の全上場企業の情報が一目で分かる優れもの
四季報のページ構成は次のページのようになっていて、1ページに2社、見開きで4社分の情報がコンパクトにまとめられており、日本の全上場企業の情報が1冊の中に入っています。
各情報が小さい文字でぎっしりと詰まっていますが、本自体は片手で持ってページめくりできる手頃なサイズ(B6判で新書本と同じ大きさ)です。
ただし、5センチぐらい本の厚さがあり、とても厚いですが……。なお、文字が見づらいという方向けに、大きなサイズ(B5判)の「ワイド版」も発売されています。
四季報が「投資家のバイブル」と呼ばれる理由
投資家が必要とする情報がコンパクトに網羅されており、「何度も繰り返し読まれる」ことが四季報が「投資家のバイブル」と呼ばれる理由です。
この四季報が日常で使われる(読まれる)例としては、ニュースで自分の知らない上場企業を見かけた時や面白そうな事業をしている企業を見つけて興味を持った時など手元にあると大変便利です。
最近では、インターネット経由で企業情報を入手できるようになってきましたが、1ページの内にコンパクトに必要な情報がまとまっている四季報の網羅性やスマホやPCに文字入力して検索するよりも卓上の四季報に手を伸ばして開く方が簡便なこともあり、多くの投資家が紙版の四季報を長年使い続けているようです。
四季報を宝の持ち腐れとしないための「新しい四季報の読み方」
さて、ここまで四季報の概要と四季報が投資家に愛読されている理由について書いてきましたが、四季報には上場企業3,800社以上の膨大な情報が掲載されています。サイズはコンパクトですが、ページ数は2,000ページ以上でズッシリとした重さがあります。
「投資家のバイブル」と呼ばれ、親しまれてきたものの、実際に四季報の全ページに目を通している投資家は極少数。ほとんどいないといってよいでしょう。一般的な投資家の四季報の読み方といえば、持株や投資先候補の近況や今後の見通しをチェックするぐらいかと思います。
しかし、残念ながらこの程度の読み方では、四季報も宝の持ち腐れとなってしまいます。
本書は、四季報の全ページをわずか1時間で速読して、今まで知らなかった企業や新しい投資先を発掘する、四季報を最大限に活用できる読み方を紹介し、最終的に未来の成長株(10倍株)を見つけようとするものです。
そこで本書が提案する、新しい四季報の読み方は、
全ページを1時間で速読して「知らなかった企業」「新しい投資先候補」を発掘する
四季報に付箋を貼って、その傾向や変化を分析して全体を俯瞰する
以上となります。実際、はっしゃんがブログやTwitterで「四季報の全ページ速読法」を公開した時には非常に大きな反響があり、「初めて四季報を通読できました!」「10倍株候補が見つかりました!」というような喜びの声もたくさんいただきました。
過去14年間で「10倍株」に化けたのは387銘柄
私たちはニュースや日常生活を通じて様々な情報にアクセスしていますが、情報の入手先が自分自身の得意分野や関心の高い情報源に偏る傾向があり、無意識に多くの情報をスルーしてしまっています。
しかし、将来10倍になるような大化け株は、誰もが知っているような有名企業ではなく、名前を聞いたこともないような中小企業から生まれることが少なくありません。
本書が提案する読み方の特徴は、全ページ速読することでまだ知られていない企業を新しい投資先候補としてピックアップできる点にもあります。
長期的な視点では、四季報に掲載された銘柄のうち、およそ8~10銘柄に1つは10倍株になること。さらに、リーマンショックのような暴落時の底値を起点とした場合には、3~4銘柄に1つが一度は株価10倍になっていることが分かっています。
そして、期間が長くなればなるほど10倍株になる確率は上昇しています。
2008年のリーマンショック後からの2022年12月2日時点で全上場3,865社のうち387社(銘柄)が10倍以上の株価になっているのです。長期投資を前提に、10倍株になりそうな銘柄に投資することで、「10倍株の発掘」は決して不可能ではないことが分かると思います。
「期待上げ」ではなく「持続的な成長株」の中から10倍株を探す
一口に10倍株といっても様々なパターンがありますが、大別すると次の2つになります。
短期間でバブルのように急上昇して落ちていくもの( 一時的なバブル株)
長い時間をかけて少しずつ成長して10倍になるもの( 持続的な成長株)
バブル株の特徴は「期待上げ」だということです。2000年頃のITバブルでネット関連株が先行期待で大きく上昇したような事例ですね。それに対して、長い時間をかけて、ゆっくりと上昇していくのが持続的な成長企業の「成長上げ」です。
「期待上げ」では、業績を伴っていない部分はバブルが弾けると急落しますが、業績を伴った「成長上げ」では、多少の変動はあるとしても、成長が続く限り上昇し続けます。
期待上げ:業績を伴わず、先行期待だけで買われる状態
ITバブル期のように技術革新を伴う時にバブル化しやすい
成長上げ:業績を伴って、業績に連動して買われている状態
売上や利益に比例して株価も長期間上昇していく
下記はITバブル期に急騰後、急落したソフトバンクグループ〈9984〉の株価チャートです。期待上げ後は、長い期間続く上昇相場(安値費40倍以上に上昇)になっています。株価はピーク時から60%の水準まで回復しましたが、まだバブル高値は超えられていません。
同じくITバブル期に急上昇したMTI〈9438〉の株価チャートが次のページです。ITバブル時の「期待上げ」が幻に終わり、株価も低迷し続けています。株価はピーク時の40分の1程度の水準で低迷しています。
ソフトバンクグループのように成長した企業であれば、「期待上げ」後に「成長上げ」が来ることもあります。ただし、「成長上げ」が来るのは持続的に成長していく企業だけですから、成長しない企業は「期待はずれ」の状態が継続します。
本書でターゲットとするのは、バブルのような「期待上げ」の銘柄ではなく、業績を伴って成長していく地に足の着いた「持続的な成長株」です。長い時間をかけて株価が大化けしていく「成長上げ」の銘柄ですね。
また、長い投資期間の中では「成長上げ」の銘柄が人気化して、バブルのように想定外に上昇することもあるかもしれませんが、本書では、理論株価を使ってそれを判別する方法も一緒に学んでいきます。