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クリーニング実店舗、生き残りのカギを考える

少し遅い挨拶となりますが、新年明けましておめでとうございます。本年も正栄クリーニングをどうぞよろしくお願いいたします。

コロナ禍真っ只中でスタートする2021年となりました。当社の所在地である大阪では、再び緊急事態宣言が発令され、前回ほどではないにしても、実店舗で営業している多くの業種がダメージを受けています。

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クリーニングの会社を経営する立場として、この状況下で真っ先に頭をよぎるのは、経済活動が縮小することによりクリーニング市場にどれだけのマイナスが生じるのか、そして業績にどれだけの影響を及ぼすのか…そういった『不安』です。

コロナ収束が見えない先の不透明さに、緊急事態宣言という営業上のマイナス要因が加わり、不安は膨らむばかり。コロナ禍の中で需要減が続いていたクリーニングですが、1月に入り更に落ち込んでしまい、想定していなかった更なる業績の悪化に、今後の事業計画を立て直す必要すら出てきています。

実店舗の売上が厳しくなる中で、様々な業種でオンライン販売に力を入れる事業者が増えています。不採算の実店舗を縮小し、販売をオンライン化していくことに補助金(第三次補正予算の中小企業事業再構築支援)が貰えるなど、この流れは今後さらに加速していくことでしょう。

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クリーニングとオンライン。実は、既に多くのクリーニング事業者がオンラインサービスを開始していることをご存知でしょうか?ネット宅配クリーニングと呼ばれ、10年以上前からサービスは存在していました。

実は正栄クリーニングでも、今から10年程前にネット宅配のクリーニングサービスを始めていました。しかしオンラインでの販売拡大に大苦戦。オンライン売上はあまり伸びず、一方で実店舗の売上が好調だったこともあり、結局数年後にはネット宅配事業から撤退しました。

Amazonなどのモノを売るサービスと異なり、クリーニングの場合は商品を預り、そして届けるという往復が必要です。そのため送料と日数がかかってしまい、クリーニングのような日常使いのサービスでは消費者にとって多少使いづらいところがあります。

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当社の強みである『日常使いにおける利便性の高いクリーニング店』という特徴が、オンラインではあまり活かせず、また宣伝や情報発信のノウハウに欠けたことにより、結局ネット宅配事業を伸ばすことが出来ませんでした。

しかしコロナ禍の中、外出を控える消費者にとって安心で便利なサービスとして、オンラインのクリーニング市場は拡大傾向にあるようです。撤退するのが少し早かった?なんて後の祭りですが、今、物販だけでなく、私達のようなサービス業でもオンラインに商機があることは否めないでしょう。

さて話を実店舗に戻しますが、コロナで自粛が続き、多くの業種において、実店舗売上が伸びず苦戦を強いられています。クリーニング店舗も厳しい状況が続く業種の一つで、コロナ禍の昨年4月以降、業界全体で前年比2~3割減が続いています。

同業他社からは、実店舗を全て閉めてオンラインに特化する、ということを検討しているという話も聞きます。思い切った決断ですが、それも今後の選択肢の一つとしてアリなのかもしれません。

ウィズコロナ、テレワーク、カジュアルファッション。こうした生活スタイルの変化は、クリーニングサービスの利用機会を確実に減少させています。そしてそれらは一過性のものではなく、これからの生活のスタンダードになる可能性があるのです。

ではクリーニングの実店舗はこのまま衰退していくだけなのでしょうか?

2割3割の売上減少が続くと、やがて生き残れないクリーニング店も出てくるでしょう。オンラインに商品を取られてしまうクリーニング店もあるでしょう。業界全体として、実店舗が衰退していくことは避けられないように感じています。

淘汰される店舗が出てくることは避けられないでしょう、しかし、私は実店舗が生き残れないとは全く思いません。

生活に根差したサービスである以上、需要がゼロになってしまうことはありません。またサービス業である以上、相手の見えにくいオンラインに全て持っていかれることもありません。

とはいえ、とても楽観視出来る状況でもありません。これまでの営業をただ続けるだけでは、衰退の一途を辿ることになりかねません。新たに実店舗で出来ることを考えなければならないタイミングが来ています。

今、ここが踏ん張りどころなのです。

では、この業況の中で、実店舗生き残りのカギは何でしょうか?

そのことを考えるにあたり、実は当社が運営する店舗で、コロナ禍の2020年一年間の売上が、前年の売上を超えた店舗があります。※オープン2年目の新店を除いての話です。

その店舗とは、当社が運営するコインランドリー店『遊べるコインランドリー』です。オープンしてから既に5年が経つコインランドリー店舗ですが、毎年前年売上を更新し続けて、コロナ禍の1年間でも同様に過去最高売上を記録したのです。

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ここには、今後の実店舗展開を考える上でのひとつのヒントがあるように感じています。コインランドリーという業態そのものが成長市場だということもありますが、5年連続で最高売上を更新している理由には、他店には無い『何か』をこの店が持っているからです。

その『何か』をよく考えて、他の実店舗にも横展開していくことが、実店舗生き残りのヒントなのかもしれません。

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そしてもう一つ。あらゆる産業で、コロナ禍により一気に進んでいるデジタルトランスフォーメーション。オンラインでの商談が当たり前となり、海外に行けない代わりにオンライン旅行を体験する人も。仕事も生活もサービスも、デジタルによって大きく変革しようとしています。

ではクリーニングサービスは?

コロナ禍でも変革があまり起きていないクリーニング業界。人が、商品が、お店が、これまでと同じように動いています。変わったのは、お客様が減ったことだけ。

先に書いたネット宅配クリーニングはまさにデジタルトランスフォーメーションといえますが、もちろん別事業として取り組むのはアリですが、実店舗の生き残りを考える上では参考になりません。

コロナによってお客様の生活スタイルは明らかに変化しています。クリーニング店としてその変化にデジタルで対応できないものか。

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とはいえ、実店舗サービスのデジタル化を一体どう進めるのか…?

それは、これから最も重要でそして難しい課題といえます。社会のニーズ、生活スタイルの変化に適応していくために、既存の実店舗クリーニングサービスに、どのようにデジタルを取り入れて、変革させられるか?

そこにいち早く取り組めるか否かが、今後の大きな分かれ道だと感じています。

だから、今、ずっとそのことを考えています。

変わっていく生活スタイルの中で、消費者は何を必要としているのか?何があれば便利なのか?どんなサービスがあると喜んでもらえるのか?それをデジタルでどう実現できるか?その変革にはどれくらいの投資が必要か?

そこにも、きっと実店舗生き残りのヒントがあるはずです。

長期戦となっているコロナ禍をジッと辛抱しながら、しかし同時に、変革に頭を捻り、やがて実店舗に賑やかさが戻ることを想像して、次なる手を打っていきます。

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