元施設職員カフェ店長「名前を憶える」
当「児童養護の最前線から」マガジンで扱うcase.1です。
では、はじめますよー。
CASE.1の取材に応じて下さったのは、世田谷で小さなカフェを経営していた店長さんのお話。「店長」さんとは、当法人のメンバー。この「カフェ」とは、児童養護施設の職員をしていた夫婦が立ち上げた、当法人はじまりの場所「カフェシモキタトナリ」です。お試しの意味合いもあり、関係者を取り上げさせていただきます。
2019年12月15日で拠点の店舗はなくなりましたが、別の居場所カフェの立ち上げに出向したり、ご飯会を定期開催していたり、と飲食系の取り組みは続けております。
さて、ここでは、「カフェシモキタトナリ」で店長さんが大事にしていた事についてお教え頂きました。
↑↑↑ 動画本編はこちらから ↑↑↑
お話頂いたのは「関わった方の名前と顔を覚える」ということ。
人の顔と名前を覚えるのが苦手な人って、結構多いと思います。どちらかは覚えてるけれど、もう一方は、、、とか。逆に、どちらも簡単に覚えられる人もいます。
店長さんは、関わった人とのエピソードと絡めて覚えることが多いそうです。最初はあまり意識していなかったけれど、カフェで色んな年代のお客様と関わる中で、関わった方の名前と顔を覚えることの必要性を感じるようになったとのことです。
このカフェで目指したのは、「福祉っぽくないお店」で、「色んなお客様が来てくれるお店」だったそうです。
その理由は、店長さん達が関わった若者には、【福祉】の看板を掲げる場所に行きたがらない子が多かったから。
「予約もいらない、要件もいらない。ただ何となく、ふらっと立ち寄れる場所が欲しくて始めたお店なのに、関わった若者が行くのを躊躇う場所だと意味がなかったんです」と、いわゆる普通のカフェにこだわった理由を教えてくれました。
若者が何となく「行こうかな」と思った時に、お店が無くなってたら困る。地域の方々にも多く利用して頂き、地域に根付いたお店になりたい。
お店のスタッフ間で考えた結果、コミュニケーションを大事にするお店にしようと、コンセプトを固めていったそうです。
お客様とコミュニケーションを取ることが増えると、次第に常連のお客様が増え、それに付随して、お店の利用に関わらず挨拶をする顔見知りが増えていきました。
最初は地域の子ども。次に、その友達や親御さん、と、芋づる式に顔見知りが増えて行き、色んな要件でお店を利用してもらえる様になっていったそうです。
動画の中でもお話頂きましたが、主なエピソードとしては、登下校中の子どもとの挨拶。
毎日の様に挨拶をしていると、子どもがお店に興味を持ち、親子参加のイベントなどに参加してくれることもあったそうです。
親子参加のイベントなので、そこで親御さんと親しくなるケースもしばしば。
お店が駅前に位置していたことから、駅前でお迎えを待つ子も多くいました。お迎えが遅い日は、店長さんがお店を抜け出して、お迎えが来るまで話をしながら外で待つこともあったそうです。
真夏や真冬、天気が悪い日などは、お店の中で待ってもらうことも。そんな事が何度か続くと、親御さんの方からお店に直接電話が来て、「お迎えの時間に遅れてしまったので、お店で待たせてもらえないか」と言われる事もあったそうです。
「名前と顔が分かっていると、何かあった時にとても役に立つと改めて思いました。それに、施設職員だったころに関わった子の多くは、施設外で関わる大人が圧倒的に少ない子が多かったんです。外に出て、自分のことを知っている人がいるって、嬉しいことなんじゃないかなと思って」と、仰っていました。
このお店には、看板息子のちび店長がいました。
店長さん達が関わった若者の何人かは、そのちび店長に会うために、何度もお店を訪ねてくれた事もあったそうです。
「若者が、子どもの面倒を見ててくれるんです。ミルクあげたり、外に連れ出して遊んでいてくれたり。お店にずーっと缶詰状態だと子どもにも悪いと思っていたので、お世話をしてくれる若者の存在は、正直、とても有り難いです」と、大人と若者の持ちつ持たれつの関係も教えてくれました。
名前や顔を覚えることが全てではないと思いますが、それを大事にすることで、次の関りへのステップがスムーズになることを教えて頂きました。
何より、名前と顔を覚えることで、一種の繋がりが生じ、人によってはそこが何かの「定点」になるものなのだと教えて頂きました。
(本編動画再掲)
店長さん、有難うございました。現在はお店を閉めてしまったとのことですが、またいつか再開することを目指しつつ、若者との活動を続けていくとのことですので、応援しています!
つづく。
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