スタートアップ(および零細企業)の人材採用のコツはできる限り多く採用することであると思う。

スタートアップ(並びに立ち上げ間もない零細企業)でやりがちなことは人材採用を慎重になりすぎることだと思う。人材を雇うとなると賃金以外にもいろいろとかかってくるものがありコストが高い。

小さい企業は(一部の太い金主でもいない限り)自転車操業してることも少なくない。一つ作ったら安心して稼ぎ続けられることはそれほど甘くなく、新規顧客の開拓や新規事業の着手にいそしむ必要がある。

労働時間的にも金銭的にも高い負荷がかかる経営者に、さらに負荷がかかる初めての人材雇用である。慎重にならざるを得ない。採用に採用を重ね、この人だ!と思った人を採用する。コストをかけて。

これはある種大正解の行動であるし、経営者界隈ではそれが非常に重要であると語られることがしばしばある。雇用し続けるコストは採用にかかるコストに比べて圧倒的に高いからである。無能を引いてしまうわけにはいかないということだ。

しかし重要な次の2点を忘れている。1つは時間は有限であるということ。もう1つは人材は蒸発するということである。

先ず一つ目、時間は有限であるということである。創業間もない会社にないのはお金だと考えられているが実際にないのは時間である。
元手が無限なら話は別だが基本的にはせいぜいあって数百ぐらいである。半年たたないうちにすべて蒸発すること間違いなし。つまり零細企業には時間がない。
そもそも採用がうまくいったとしても仕事がうまくいくとは限らないのだから、練習がてら早々に雇ってみるべきである。遅かれ早かれ通る道だしいずれにせよ失敗するが立ち直るのは早い方がよい。

次に二つ目、人材は蒸発することである。
人材というのは基本的に蒸発していく。私たち零細企業の魅力は基本的に皆無に等しい。あるとすれば創業者本人の「人が良い」ぐらいである。
大手企業のように10年勤めあげれば1000万円が確約されたりするようなものではないので、「人が蒸発」するのだ。最初は何となくベンチャーいいなあとか言って入ってくるが2週間もたてば気が変わったりする。

1か月頑張ってくれる人、1回しか来ない人、そもそも音信不通になる人など様々だけど普通にそういうものである。10人面接して、絞るに搾り上げた1人に飛ばれてしまっては元も子もない。というか普通に悲しい。あの一緒に飯食ったあの時間は何だったのだろうと…。

まあともかく、零細企業において人材は基本的に蒸発するものだと思った方が良い。

ではベンチャー企業において正解の採用方法は何かといわれると、歩合制での大量採用だと思う。
これはお互いにとってメリットがあることが多い。雇用される側は頑張りしだいで報酬が際限なく増えるし、自由度が高いことが多い。採用側は数が増えても売り上げに比例して報酬を払うだけなので入金サイクルさえしっかりできれば簡単だし、何よりその人が仕事できるかどうか実際に見ることができる。

要するに本採用の前に試験的な採用方法を敷くというフローを作ることが大切なのだと思う、仕組み的に。

まあ歩合制は一部においてそれほど歓迎されない(売り上げがなければ報酬ゼロというのはどうなのだ)という意見もあるが、そもそもベンチャー企業にはいたいが安定して報酬と福利厚生が欲しいという人は零細企業の雰囲気には間違いなく合わないのでそういった人を振るい落とせるのもよいと思う。一緒に頑張って夢見ようぜ!みたいな人がちょうどいいと思う。


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