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SHODENSHA COMICS通信 12月号 ~ 編集者たちのサイレントナイト

こんにちは。SHODENSHA COMICS編集部です。

アニメやドラマが最終回を迎えるシーズンですね。私の今季の推しドラマ『時をかけるな、恋人たち』もついに最終話を迎え、ラストシーンまでずっとよすぎて、観終わったあともしばらく余韻に浸ってしまいました…。

このドラマは、違法でタイムトラベルをする”時間犯罪者”たちを取り締まる未来人・翔(永山瑛太さん)と、現代人・廻(吉岡里帆さん)ふたりの恋愛模様を描いた物語です。脚本をヨーロッパ企画の上田誠さんが手がけていらっしゃり、劇中で繰り広げられる会話劇のワードセンスが最高で、ずっと聞いていたくなりました。

毎話、サブタイトルがタイムトラベルものの名作のオマージュになっており、それを見るのも楽しみでした。舞台セットや衣装など、すみずみまで可愛くて、ユーモアやこだわりの詰まった本当に最高のドラマでした!(Blu-ray BOX 買うぞ~)



編集部の日常を、ゆる~くお届けするSHODENSHA COMICS通信。
今月は、編集部員たちによる”クリスマスにまつわるエッセイ”をお送りします。

ついに今週末はクリスマスですね。街はすっかり電飾をまとっていて、カラフルで浮かれた空気の中を歩くのがとても楽しくてウキウキします。

子供の頃に体験したクリスマス、年齢を重ねてからのクリスマス…。年に一度のにぎやかな日にはきっと、それぞれがいろんな思い出を持っているはず。今日は編集部員たちがクリスマスにまつわるエッセイを書いたものをお披露目したいと思います。


編集長・山田のクリスマス

 クリスマスの時期になると母と兄弟でツリーに飾り付けをするのが我が家の恒例行事でした。かわいい小物が好きだった母は、毎年ひとつふたつ新しいオーナメントを購入してきて、それをみるのも楽しみでした。
 その年は普段仕事で不在がちな父が家にいて、夕食後に飾り付けが終ったクリスマスツリーを家の外から皆で眺めてみようという話になりました。厚着をして外に出て、通りから五階にある自宅の出窓を見上げました。静かに明滅する電飾の光を私たちは黙ってしばらく眺めていました。
 冬の夜に外にいるという興奮と、家族が揃っている嬉しさ、自分の家なのに、どこかの知らない幸福そうな家庭を見つめているような不思議な感覚がありました。ほんの2~3分のことでしたが、家族の思い出として忘れられない記憶です。

編集部員・上代のクリスマス

 アメリカではクリスマスの夜、サンタクロースにクッキーとミルクを差し入れするのが一般的らしい。日本ではあまり馴染みがないが、一晩中プレゼントを運び続ける彼への労いなのだろう。
 ある年の12月24日の夜。当時まだ幼かった7歳下の妹は、習い事の英語教室で教えてもらったという“サンタクロースへの差し入れ”を準備していた。お皿に載せた2枚のチョコクッキーとグラスに入れた牛乳をリビングのテーブルに運び、丁寧に手紙まで添えている。ソワソワが隠し切れないでいる妹がいじらしくておもしろかった。
 「サンタさん、やってあげてくれる?」
 妹が寝室へ向かうと、母はそう言ってきた。要するにこの差し入れを平らげてくれということだ。もうサンタクロースの存在を信じていなかった私は喜んで頂いたのだが、妹が頑張って書いたであろうふにゃふにゃした文字の手紙を見て、何かしてあげられることはないだろうか、と思った。
 翌朝、リビングへ向かうと「サンタさん、うちにきたよ!」と妹が大喜びしていた。実はあの手紙にそれっぽい筆記体でささやかなお返事を書いておいたのだった。本当に嬉しそうな妹の顔となんだかむず痒いあの気持ちは、今でも鮮明に思い出せる。あれから早十数年、 妹は来年大学生になる。きっとこの出来事は覚えていないだろうけれど、私にとっては忘れがたいクリスマスの思い出だ。

編集部員・川端のクリスマス

 高校生のころ、"くりぼっち"という言葉が慣用句みたいに使われていた。「クリスマスに恋人がいない状態」のことを指し、仲間同士で"くりぼっち"を嘆き合ったものだ。
 たしかに当時は、恋人がいる同級生たちに本気で劣等感を抱いたこともある。しかし今思い返せば"くりぼっち"は、悲しい風の言葉でありながら「ウチら、くりぼっちだもんね〜」みたいな、結束感のある言葉だったようにも思う。
 大学生や社会人になってからは、クリスマスの日、男の子とふたりでイルミネーションを見に行くこともあった。しかし不思議なことに、そのときの記憶はかなりぼんやりとしている。
 それよりも、イヴの夜に友人たちとカラオケで一夜を明かしたり、サイゼリヤで晩餐した日のことのほうがよっぽど鮮明に覚えていて、そんな思い出たちをツリーのオーナメントみたいに記憶に括り付けては毎年眺め、うっとりしている。
 今年のクリスマスは、友人と一緒に有馬記念に行ってから、近所のケーキ屋で予約したクリスマスケーキを囲んで、みんなでM-1の決勝を観る予定だ。なんて完璧な日だろうか。これを"ぼっち"と呼ぶならば、私は一生、ぼっちのままだっていい。
 クリスマスをまるごと愛せるくらい、私は大人になった。そう思う冬なのだった。


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今年もSHODENSHA COMICSの作品をお読みいただき、ありがとうございました!

2023年は「FEEL FREE」の創刊など新しいことに挑戦し始めた年で、作品の感想や応援の言葉など、とてもうれしかったです。

来年も素敵な作品をお届けできるよう、編集部一同邁進していきますので、今後ともSHODENSHA COMICSをよろしくお願いいたします!



(イラスト:川端)

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