失って、つづいてく。読切デジタル誌『FEEL FREE vol.3』編集後記
こんにちは。SHODENSHA COMICS編集部です。
10月30日(月)より、読切デジタル誌『FEEL FREE vol.3』が配信スタートいたしました。2か月間限定の無料公開中です。
今回の記事では前号に引き続き、vol.3収録作品の魅力や制作のうらばなしを担当編集が語っていきます。
失って、つづいてく。
3回目の配信である今号は、切なくて、苦しくて、でも読み終わったあと、それでも顔を上げて進んでいこうと思える3作品が集いました。
生きていればうれしいことも、つらいことも同じくらいたくさんあります。だけど、うれしいことの積み重ねだけでは今の自分にはならなかったな、と思うことも度々あります。
美しい記憶の中に、悲しみ、怒り、後悔…いろんな負の感情が内在していて、その感情と向き合う中で”自分”が築かれていったような気がするからかもしれません。
どうかこの作品たちが、少しでも読者の皆さまの悲しみやさみしさに寄り添えることを祈って…。
『海はとおくに満ちて往く』日々の杏
日々の先生も私も映画が大好きで、打ち合わせの際には必ず映画の話をしていました。この作品は”映画っぽさ”、もっと言えば”邦画っぽさ”にこだわって作り上げた物語です。扉絵もフレイヤーのようにしたかったので、映画監督兼デザイナーで、普段は映画のポスターデザインをご担当されている東かほりさんに依頼をしました。杏さんは、作中で語られる「言葉」とすごく繊細に向き合われる方で、プロットからゲラチェックのときまで彼らが選ぶにふさわしい言葉は何か、模索し続けていらっしゃいました。杏さんのその姿勢が、私はとても大好きで、とても尊敬しています。(川端)
『それでも、愛は』高橋夏臣
<とある理由>でお笑い芸人を辞めて遠くへ行くことになった吉野と、彼とコンビを組んでいた染井の、活動最後の夜を描いた作品です。ネタ合わせをしていたいつもの公園で、最後の配信動画の収録に臨む二人。桜の花びらと季節外れの雪が同時に舞い降りるちょっとした奇跡の夜、旅立つ吉野に染井がどうしても伝えたかったこと。溢れ出したとしか言いようのない二人の感情を見届けて欲しいです。春先を描いた作品ですが、冬を控えた今の季節にも不思議とちょうどよい物語だと感じます。(山田)
『夕子の思い出』奥田亜紀子
『ぷらせぼくらぶ 新装版』に描き下ろしで収録された読切作品が、単話でも配信となりました。いつも人を遠ざけてしまう房子と、いつも人の輪の中にいた夕子。10年振りの再会からはじまる二人の新しい関係性を描いています。私にとって奥田さんは特別な作家で、どの作品を読み返しても毎回涙が滲むのですが、『夕子の思い出』は読むたびに感動が増しているような気すらします。人によってはどうしようもなく響いてしまう類の作品ではないかと思います。読んでみてください。(山田)
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その際、「#FEELFREE_vol3」や各作品のタイトル、作家さんのお名前のハッシュタグを付けていただけると、投稿を見つけやすくなって作家さんと担当編集がとても喜びます!
vol.4も絶賛編集作業中。
お知らせを楽しみにお待ちください!
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