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雑に付き合う中で、バランスを取って、一緒に楽しく生きていく。
タイトルに挙げたのは、動物王国で長年知られている「ムツゴロウさん」こと、畑正憲さんの言葉です。
テレビを何気なく点けたときには、番組のもう終盤のあたりだったようで、あっという間に次の番組が始まってしまったのですが、わたしの耳に、この言葉がとても印象深く残ったのです。
一聴すると、「いや、雑に付き合う、なんて…まずいんじゃないですか…?」と思ってしまいそうですが、この言葉に合わせて流れていた映像は、雑、ではなくとても丁寧にわたしの気持ちに寄り添いつつ、「関わり合い」の様子を伝えてくれていました。
その映像がどんなものだったかというと、ムツゴロウさんと馬や牛、羊などの比較的体格の大きな動物たちとが、身体まるごとかかわりあっているような様子でした。
動物たちにとっては、じゃれ合っている程度なのかもしれませんが、大柄な動物と、比較的小柄な体格のムツゴロウさんのそのようすは、傍から見ると、じゃれ合っている、というよりも、動物たちがムツゴロウさんに乗りかかっているようで、見ているこちらは、少しひやひやするほどです。
でも、「生きていく」ということは、このぐらい体当たりなものなのかもしれません。
自分の命を守り、育み、生き抜いていくことは、頭の中で考えるだけでは済まないことで、この身体で、「生きている」ということを感じていくこと。
動物と人間も、そして人間どうしも、そうして、ひとりひとりの人生に生きること。
ムツゴロウさんはこの映像の中で、こんな風にお話をなさっていました。
「動物は、10年20年という長さの時間軸で生きていて、彼らの人生の中でピカッと光る何かを見せてくれるのは、ほんの数秒。その退屈ともいえるような、営々と生きている時間が最も大切だと思う。」
「生きているということは、雑に付き合う中でバランスが取れていくものだから、あまり難しいことを考えずに、一緒に生きていることを楽しめばいいのではないかと思っています。」
ダイジェストの映像は、こちらでもご覧いただけます。
https://www2.nhk.or.jp/archives/articles/?id=D0009250699_00000
この記事を書くにあたって、映像を何度も再生しました。
ムツゴロウさんのおおらかさと繊細さ、大胆さ、そして生きることへの力強い明るさを、とても強く感じました。
そこに、生き急ぐ自らを省みることにもなりました。
ムツゴロウさんのお話は「動物と向き合う」ということだったかもしれませんが、わたしとしては、自分自身のこととして受け止めたい、と思ったのです。
のびのびと、ゆったりと、時には退屈も。
生きていること自体の尊さを、再確認した時間でした。