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円形の脱獄

この廊下をいくつ左に曲がれば外に出ることができるのであろうか。最後に円座して幾千もの囚人たちとくさい飯を食ったのが遥か昔のような気がする。真っ暗な迷宮。いつになっても外の光が見えることはない。追っ手が放たれた気配もしないが、ここまできた以上引き返すこともできない。通路には緩やかな勾配が上がったり下がったりしている。空腹と睡眠不足で頭が朦朧としていることすら忘れる。はるか向こうの通路の終わりにうっすらと巨大な人影が見える。牛頭だ。

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