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エイリアン: ロムルスの感想
以下の感想には「エイリアン: ロムルス」のネタバレが含まれるかもしれませんので、ご注意ください。
さて、エイリアン: ロムルスを観ました。ウェイランド・ユタニ社の復活にいきなり心を鷲掴みにされました。廃墟と化したノストロモ号のレトロなコンピュータ・コンソールとナビゲーション・パネルが、まるでオリジナルのエイリアンやエイリアン2にタイムスリップしたかのような感覚に震えました。このビジュアルの再現性は、70年代のSF映画をシミュレーションした壮大なる偽物(シミュラクラ)。
スペース・マリーンのパルス・ライフルも、アイコニックなアイテムとしてしっかりと登場し、これがまたシリーズの郷愁感を一層際立たせています。新旧のアンドロイドのキャラクターの混在も、フランチャイズのAIに対する継続的な探求を強調しており、特に新アンドロイドのアンディーが独特で魅力的です。これは、人工知能と人間性の境界を探るというエイリアン・シリーズのテーマをさらに深めるものです。
ただし、第3幕に突入するにつれて、少々複雑な感情が湧きました。ハイブリッド・エイリアンのデザインがデッドスペースのネクロモーフを彷彿とさせるものの、その融合具合には若干の不自然さが見受けられました。また、プロメテウスのエンジニアの要素を取り入れたデザインは試みとして興味深いものの、感情的なつながりが感じられなかったのは残念です。比較すると、エイリアン4のリプリーとハイブリッド生物「ニューボーン」との親子としての関係性には敵わないと感じました。
ちなみに、ちょっとしたトリビアですが、2350年にはウェイランド・ユタニ社がウォルマート(アメリカに拠点を置く世界最大ののスーパーマーケットチェーン)に買収されてしまったという裏設定があります。これはエイリアン4のノベライズに記載されています。ウェイランド・ユタニ社の堕落と再編成が示唆されており、これはシリーズの企業ドラマの一環として非常に興味深い要素です。
映画の初めの2/3は本当に楽しめましたが、最後の部分ではいくつかの疑問が残りました。クイーンなしのエイリアン・ハイブという設定が、少し奇妙に感じられました。もしクイーンが登場していたら、エイリアン2を模倣する形になってしまうかもしれませんが、ウェイランド・ユタニ社が創り出したエイリアン・クイーンという発想は面白いかもしれません。
ロムルスは過去の作品には及ばない部分もありますが、二、三週するとカルトに化ける予感のする映画です。スター・ウォーズの宇宙がデイヴ・フィローニの手によって進化したように、エイリアン・シリーズも底知れない可能性を秘めています。ロムルスがエイリアンとエイリアン2の間に位置することを考えると、白いパルスライフルがプロト・タイプであり、アンディの「ビッチ」発言がエイリアンズのリプリーのそれに先行しています。
最後に、私の現在のエイリアン映画ランキングをお披露目します:
エイリアン
エイリアン2
プロメテウス
コヴェナント
ロムルス
エイリアン4
AVP
エイリアン3
AVP2
ロムルスを観ることで、スコット監督の最近の作品であるプロメテウスやコヴェナントの独創性と一貫性に対する感謝の念が増しました。エイリアン3の位置付けについてはまだ悩んでいますが、刑務所惑星の設定やジャン・ジュネ風のシュール・リアリズム、デヴィッド・フィンチャーの監督デビューは魅力的でしたが、ニューとヒックスを冒頭で消してしまったのは残念でした。
スコットがプロメテウス三部作の第3部を完成させ、ニール・ブロムカンプがエイリアン2の続編を完成させることをいまだ密かに願っております。