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ドラえもんの神シーンを語りたい【大山のぶ代さん】【鉄人兵団】
大山のぶ代さん、永眠
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2024年10月、ドラえもんの声優で知られる、大山のぶ代さんの訃報が
飛び込んできた。享年90歳。
この方の声は、私のように今の30代~40代にとっては、
やはり特別なものだった事だろう。
鳥山明先生の訃報の時も思ったが、こういう…
幼少期に慣れ親しんだ有名人が亡くなったりすると、なんとも心にぽっかり穴が開いた気分になる。
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ご冥福をお祈りする。
私にとっては貴女だけがドラえもんだった。
懐古主義に走るつもりはないが、未だに新ドラの声は慣れることが出来ない
…と思ったが、考えてみたらドラえもんの声優が変更されて、
もう20年近く経つわけだ。
大山のぶ代さんの担当期間が26年らしいので、
もうすぐ追いついてしまうじゃないか。
もう新ドラとは呼べない。
水田わさびさん、貴女がドラえもんだ。
初期の大長編ドラえもんは名作揃い
とは言うものの、やはり旧ドラ時代が私にとっての至高というのもまた事実。特に初期の映画は、今見ても面白い傑作揃いと自信を持って言える。
今回は、その中でも私が特に大好きなドラえもん映画のワンシーンを
一つ御紹介したい。ドラえもん好きならきっと共感してもらえるはずだ。
まずその映画とは…
ズバリ「ドラえもん のび太と鉄人兵団(旧)」である。
ちなみにこの鉄人兵団、魔界大冒険、アニマルプラネットの3つが
私のドラ映画BEST3である。
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結論から言えば、私が好きな鉄人兵団のワンシーンは
「リルルがのび太を撃って昏倒させるシーン」である。
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ではなぜこのシーンが最高の神シーンなのか。
それをこれからプレゼンする。
ドラえもん のび太と鉄人兵団とは
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鉄人兵団のストーリーを一文で表すなら、
「宇宙から機械の軍勢が人類を奴隷にするために侵略してくる」
というものだ。なかなかのハードSFである。
…いつも思うのだが、藤子先生の手掛けられた大長編ドラえもんは、
その導入部分が素晴らしい。
日常(レギュラー回)が非日常(大長編の舞台)に変わっていく…、
映画の前半部分が見ていて実にワクワクさせられる。
鉄人兵団で言うなら、巨大ロボの部品が手違いでのび太の家の庭に転送されてくる…という展開である。
こんなの誰が思いつけるん?
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ドラえもん史上屈指の美少女 リルル
話が逸れた。
リルルだ。
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リルルはその鉄人兵団の尖兵として、単独で地球に送り込まれた
工作員ロボだった。
見た目は地球人そっくりに造られており、尚且つかなりの美少女なので、
のび太も最初はデレデレしていた。
しかし中盤で正体を現しのび太に襲い掛かるも、
その最中に起こった大爆発に巻き込まれ重傷を負ってしまう。
「完全に壊しちゃえ!」と主張するスネ夫。ごもっともである。
しかしドラえもん達は彼女を直すことを選択する。
リルル「わからない…。どうして敵を助けるの?」
しずか「時々理屈に合わないことをするのが人間なのよ」
この返しが出来るしずかちゃんは本当に小学5年生なのだろうか?
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ここでリルルに葛藤が生じる。
すべての鉄人兵団は「人間などゴミみたいなもの」という思想を持っていて、だからこそ奴隷化しようと侵略しに来たのだ。
しかしそれは本当に正しい事なのだろうか…?
職務を果たす為、しずかの目を盗み仲間の元へ情報を伝えに向かうリルル。
そこへ追いかけに来たのび太と出くわした、というのが例のシーンである。
ではここのシーンの神演出を列挙する。
1、まずのび太と出会った瞬間に安堵したような笑顔のリルル
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2、「行けば撃つぞ!」と脅すのび太に「撃って!」とうれしそうに振り返
るリルル
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3、「撃てない…」と銃を下ろしたのび太を「意気地なし!」と撃ち倒すも、
ハッとした表情になり逃走するリルル
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4、昏倒したのび太からフェードアウトして次のシーンに転換する時の音楽
EDテーマ「私が不思議」(オルゴールVer?)がエモすぎる。
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つまりどういう事か。
リルルはのび太に止めて欲しかったのだ。
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職務は全うしなければならない。
しかしそれでは献身的に世話をしてくれたしずかを裏切ることになる。
その葛藤に苦しんでいたのだ。
そこで自分の意志とは無関係にのび太に撃たれてしまえば、
兵団もしずかも裏切る事にはならない。
楽になれる。
そんな笑顔だったのだ。
このシーンはそんなリルルの複雑な心情を表現した神シーンだと言える。
セリフでなく演出で表現したのも見事。
実に大人なつくりである。
子供向け映画でこんな心理描写をぶち込んでくるドラえもんは流石としか
言いようがない。
余談だが、鉄人兵団はのちにリメイクされており、
私は当然このシーンを一番の楽しみに鑑賞していた。
しかしリメイク版はこの神シーンを改変し、
新キャラの鳥みたいなやつのシーンになっていた。
FU〇K!
おわりに
これが私が愛してやまないドラえもんの神シーンである。
他にも色々あるが、書ききれないのであえて一つに絞ってみた。
幼少期にこんな映画体験をさせてくれた藤子・F・不二雄先生と
大山のぶ代さんをはじめ、製作スタッフの方々には感謝しかない。
大山のぶ代さん、ありがとうございました。