【魔女と獣とふたり旅】幻燈と共鳴の洞窟(1/XX)【TRPG/リプレイ/連載中】
GM
それでは
旅と魔法のTRPG
魔女と獣のふたり旅
『幻燈と共鳴の洞窟』
開幕です。よろしくお願いします!
ペンチ・ビクトリノックス
よろしくお願いします!
――
<予兆フェイズ>
修理工であるペンチと
ガラクタだったカラクリ人形の藍虹が出会い
あてなど無い、長い旅を続けている。
精密なカラクリ人形であるはずの彼女は、
何故か両の足を湖に投げ出し
静かなひと時を過ごしていた。
時は日が傾きかけた
黄昏時の少し前
――
彼女は草の上にだらりと寝そべりながら
主であり恩人である修理工に声を掛ける。
「主よ、主。」
「さび止めの予備はあったかの?」
ペンチ・ビクトリノックス
「あぁ、この工具箱にはキミに必要な物がいつでも揃っているからね。」
「それにしても錆止めとは、最近濡れるような事でもあったっけ?」
藍虹
「カカ、それならば問題ないな」
チャプチャプと水の跳ねる音が響く
ペンチ・ビクトリノックス
キャンプの準備をしていたペンチは水音に驚き振り返る。相方のカラクリ人形には、もちろん防水加工など施していない。くれぐれも水に浸かるような事は避けるようにと、度々伝えて来たはずだ。
(……やっぱり人間とカラクリ人形だと精神構造に違いでもあるのかな……。)
ため息を吐きながら、やれやれと肩をすくめ、困り顔で彼女に尋ねる。
「えーっと、藍虹さん? 今何してるのかな? 僕の目がおかしくなければ、水遊び、いや水浴びのように見えるのだけれど?」
藍虹
「カカ! 浴び、などではないさ。」
ケラケラと笑う。
「主が苦労して直したらしいこの躯体、そう簡単に手放す訳なかろう?」
「ちょっとした遊びじゃ。好奇心が疼いてしまってな。」
チャプチャプ。
ペンチ・ビクトリノックス
「えーっと、ただの人間相手なら『風邪をひいてしまうよ』とでも言う所だろうけど」
ううん、と首を横に振って続ける。
「……むしろ風邪なら勝手に治ってくれる。しかし君の不調は誰かが手間を掛けて直さなくてはいけないんだ。分かってくれるかな?」
しゃがみこんで、しっかりと目を見て語り掛けた。
藍虹
遊走色の瞳がキラリと煌めく。
「もちろん、分かるとも?主よ。」
「そして主が我を直せる、という事も? 当然知っておる。」
何故か自慢げな表情で宣う。
ペンチ・ビクトリノックス
「ではひとつお願いがあるんだ。」
藍虹
「なんじゃ?主。 聞くだけ聞いてやろう。」
ペンチ・ビクトリノックス
「山から吹き下ろす風が少し冷たくなってきた。それにあの山の端に少し暗い色の雲が掛かっているのが見えるかい? きっともうすぐここにも雨が降ってくる。……なので、水遊びの時間はお終いにして、雨が凌げる場所でも探すのはどうだろう?」
藍虹
ぴょこりと起き上がって、彼方を見つめる。
「ほほう!確かに色が違うな! …ふむ…色が違うと、降雨の予兆と…。カカ!主よ!世界は広い!未だ我の知らない事がたんとある!」
両足を湖から出し、衣服を直しながらため息を一つ。
「あぁ、探そう。濡れてはならぬなどと…全く面倒な躯体よ」
ペンチ・ビクトリノックス
傾きかけた陽の光が彼女の瞳に差し込み、宝石がキラキラと瞬く。いつ見ても不思議な色合いだ。
自分が親からもらったペンダントの石と、そっくりの輝きに運命めいたものを感じて少し嬉しくなった。
「あ、藍虹!そっちじゃない。ここより低い場所は湖の水が流れてくる危険がある。少し山を登って雨宿りできる洞穴でも探そう?」
遠雷の響きに少し焦りながら彼女の手を取った。
藍虹
「…ほう、高低差がそんな現象を? よし。では、登るとしよう。」
遠くの暗雲の中で、稲妻が走った。
「……急ぐか!主っ!」
ペンチ・ビクトリノックス
彼女はいつもこうだ。ボクが世話を焼いていたはずなのに、いつの間にか先を走っている。彼女に遅れないように焦りながら、ボクはいつものように彼女の後を追って駆け出した。
―――
<予兆フェイズ> 終了
キーピース:『雷雨の予兆』を獲得
魔女の子は、魔力を1獲得します。
では、メインフェイズにレッツゴー!
―――
次回に続く!
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