【ケダモノオペラ】『小さな花嫁が来た話』【小説風TRPGリプレイ】【完結済】6/9
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場面5 『さとがえり』の支度
・概要:よね子が村長に聞いて来た儀式の支度をする
・舞台:闇の森の中
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古い知人の警告があった、次の朝。
よね子
「………ッ!」パチッ!
「ぉぁっ! おはようむこどのっ!!」
よね子は相も変わらずピュンと跳び起きた。
アラタヨ(擬似餌)
「……んぅ……お早う、よね子ゃ……」
あふ、と気の抜けたアクビをして、目をこすりながら微笑む。窓の外を見ると、まだ日は登っておらず、虫の音が聞こえています。…農家の娘の朝は早い!
よね子
「………」 ヘヘヘェ……と嗤う
「でやぁあああーーーっ」
寝ぼけ眼のむこどのに向かってダイブした。
アラタヨ(擬似餌)
「おぉ…?!」ぼすっ!ばふんっ!
まだ半分夢の中。突撃された勢いのまま、布団に倒れ込みました。
「……………」
布団のあたたかさ、何より腕の中の温もり。半分落ちていた瞼が、スゥ…っとくっつきました。
「………ふふ、…あたたかいな、そなた、は…」ニコッ
「……あと、…ごふん…」
無防備に笑って、よね子を抱えたまま、スヤスヤと寝息をたて始めました。
よね子
「っ! ……ふっふっふぅ………。そうは…とんやがぁ……ッ!」
ガシッと布団を掴んで、足に力を籠め
「おろさぬーッッ!!」
ガバァアアアアっと布団を引っぺがした。
アラタヨ(擬似餌)
「…!?」ずしゃあ!
「…うぅ……」
神の眷属とは何だったのか…。なす術もなく引っぺがされ、畳に転がります。早朝。絶妙にひんやりした畳の感触。堪らず身を起こしました。
「………あふ………あと、…にふん…」
ワシャワシャっと乱雑に自身の髪をかき上げると、アクビを再び。胡座をかいた体勢のまま、うつらうつら……。また瞼が下がってくる…。
よね子
「くっ……。て...手強い……っ!…だがっ! ゆ、許せよっむこ殿ォッ…!」
バシューンと踵を返し、向かうは閉ざされた雨戸。
「こ、これはあたいにとってもくじゅうの決断…っ!おとうのように、するわけには…いかんっ!」
バーーーン!! と雨戸を丁寧かつ迅速に滞りなく開け放つ。そして朝日をバックに、両手を腰にあてて胸を張る張る。
「あさじゃぁ~~~っ!」
アラタヨ(擬似餌)
「うぐぅ…!?」
きゅ〜っと眉を寄せて目を瞑り
「……………。……おはよう、よね子や。」
数秒後、観念したように目を擦って、さっきよりはハッキリした口調で、改めて挨拶するのでした。
よね子
「うふ、おはよう、むこどのっ!」
よね子は、朝日を背にタタタッと駆け寄って、ちょこんと正座し、貴方を見上げて言う。
「むこどのっ! 昨日はほんとうにありがとうなっ! これであたいは、めいじつ共にむこどのの嫁だっ!」
視線を右上に移しながら、頭の中の引き出しを漁る。
「次は『さとがえり』の準備をしなくちゃなんねっ。『さとがえり』は…えっと……つぎの満月の、つぎの朝だから…まだまだ時間はあるけどなっ!」
ビシィっと人差し指を立てて、ポーズを決める。
「あたいは…っ デキる嫁…っ!ぱーぱぱっぱっと済ませるだっ!」
アラタヨ(擬似餌)
揃って胡座から正座になおると
「礼には及ばぬよ。」
俺は其方の婿だからな、薄く笑って
「『さとがえり』とな、」
そういえば、邂逅した折に、そんな事を言っていたような…
「助力できる事なら、俺も手伝おう。…して、『さとがえり』とは、何をするのだ?」
よね子
「よくぞっ 聞いてくれたっ さすがむこどのっ! …ちょっくら、準備がややこしい…だがしかしっ!」
胸にハシッと手を当てて、自信満々に言う
「あたいっ!がんばっておぼえてきたぞっ」
小さな手の指を一本ずつ立てて、ソラで唱えて見せる。
マスター
「さとがえり」の儀式の内容は以下のようなものです。
(1)大きな切り株で臼を作り、決められた木の実を揃えて餅をつく。
(2)餅を入れた臼を花婿が背負い、ふたりで村へ向かう。
(3)花嫁が足裏を木の実の汁で紅白に染めて村への橋を渡ったのち、
花婿がその上を通って村を訪れる。
さて、1人と1匹は、次の満月までに、これらを揃えることができるでしょうか。
〈試練:「さとがえり」の支度をする〉を開始します。
試練 さとがえりの支度をする
・権能:【叡智】
・難度:1
▼波乱予言
〈予言:森はあなたたちを迷わせました〉
〈予言:大切なものが失われました〉
〈予言:あなたの脚が傷つきました〉
アラタヨ 3つ目の試練だっ!【ベースロール】から参りますわ!
2d6 ベースロール (2D6) > 4[3,1] > 4
マスター うぉお!! どうしますっ?
アラタヨ あらあ… そうですね、では
《ずる賢い獣》を使用。
★〈特技予言:本心と反対のことを話しました 〉を得て、振り足します。
マスター ぁいよっ!それでは…どうぞっ!
アラタヨ ありがとうございます!ではでは〜
2d6 [特技B]使用(ナンバー3、4) (2D6) > 4[2,2] > 4
マスター なんですとおおお!!
アラタヨ 4+4=8 南無三っ!
マスター ナムサンッ! アイエェ! アラタヨナンデェ!!
PLつぎの www 波乱予言が呼んでるのかしら
マスター
3が一つあるので、復旧は出来ますね! ふっふっふ、呼んでいるよ、波乱が
PLつぎの ですですねー! という事で
アラタヨ
★「波乱」に。〈波乱予言:大切なものが失われました〉を得ます。
《煙の幻灯》を復活させます。
マスター
ひょ~~~~!!!受理でございます!そして、受難の門へ到達っ!受難ポイントを進呈っ! 1P!
PLつぎの 頂戴しますっ!
マスター 因みに、後試練は、3つだぜ!
PLつぎの あらあ ワクワクして参りましたねぇ
マスター ではでは、描写行ってみましょうか!
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よね子
「………という感じ…だっ!木の実は、あたい採りなれてるからなっ 任せてくれてもいいぞっ!」
ピコピコと頭を揺らす
「けどなぁ…臼って……なんか……大きいヤツ…だよな? そんな立派な木…あたい知らない………。 …はぁっ! デキる嫁がッ!!」 ガビーン
アラタヨ(擬似餌)
「………」
コロコロと様変わりする豊かな表情を、微笑ましく見守っていましたが、途方にくれたよね子の頭に、軽く手をのせました。
「…案ずるな、よね子よ。それなら1つ…覚えがある。」
よね子
「…なっ!」 ピコンとアホ毛が揺れた
アラタヨ(擬似餌)
「…ふふ…折角だ。準備しがてら、俺と散歩に行かないか?」
瞼裏に過る景色。…恐らく、今が『採り時』のはずです。
よね子
「! さんぽっ! むこどのとっ!さんぽっ! そうだなっ 夫婦たるもの、さんぽぐらいしないとなっ!」
ピコンと立ち上がって微笑み
「あたいはいつでも行けるぞっ、むこどの!」
フンフンフンと腕を回している。
アラタヨ(擬似餌)
「そうか、そうか」ニコリと笑って
「では、朝餉が済んだら…早速行くとしようか」
よね子
「ふっふっふー!朝餉はあたいにお任せあれっ!今日は山菜いりの稲荷ずしだぁー!! まっててなーむこ殿っ! おーさんぽっおさんぽー♪」
ーーそうして、二人は凄い勢いで稲荷ずしを頬張り・・・
「……♪」 準備万端で、貴方と並び立つ。
アラタヨ(擬似餌)
「では、よね子や…行くとしようか。」キリッ
よね子へ手を差し出しました。口端にご飯つぶをつけたままで…
よね子
「んっ!」
パシッと手を取って顔を見上げると
「………。…むこどの………それまさか…お弁当かっ…?」プププと何とか堪えている
アラタヨ(擬似餌)
「ベントウ?」
はて…?目をパチクリさせて小首を傾げました。アラタヨは、自分の身なりに悉くダラシが…もとい、頓着がないケダモノでした。
よね子
「…………そうゆうむこどのもいい。…だがしかし…これは苦渋の決断… むこどのむこどの」
顔の前で手をチョイチョイっとやった
アラタヨ(擬似餌)
「…んん?」
よね子の仕草を真似して、口元に指を伸ばします。
「おぉ…」
指先に付いた米粒。間延びした感嘆をあげると、合点して頷きました。
「はは、我々の弁当にしてはささやかな量だな。」
教えてくれて感謝するぞ、と目を細め、よね子を颯爽と抱き抱えて歩き始めました。
「この間のように転ばれては堪らぬ。暫し我慢せよ。」
カランチョ、カランチョ。軽快に沓音(くつおと)を響かせて…
よね子
「なーーっ!!!」
ーーおもってたんとちがうーー!! ちがうーー チガウーーー ウーーー・・・
そんな悲鳴が、闇の森に木霊した……
いつしか米俵を小脇に抱える持ち方から、おんぶへ、そして肩車と変遷を遂げ、一人と一匹は、闇の森の中をずんずんと危なげなく進む。
そして…向かった先にあったのは、一本の大樹が聳え立つ野原でした。惜しげなく日の光が差し込む、開けた空間。闇の森らしからぬ、明るく、神聖な雰囲気が漂っています。
アラタヨ(擬似餌)
「…ふむ。やはり、丁度良き"頃合い"だったな。」
よね子を肩に乗せたまま、一人納得したように頷きました。よね子。貴方は、ここに来るのは初めての筈です。
…筈ですが、とても懐かしい気持ちに襲われる、かもしれません。それは、故郷に帰った時のような。遠路から家に帰ってきた時のような。
よね子
「ほぁ~~・・・」
アラタヨの肩の上で、精一杯上を見上げる。どうあがいても、頂点が見えないほどの樹高を持つ大樹を見て、気の抜けるような、吐息を漏らす
「むこどの、むこどのっ。」
貴方の頭を、ポンポンと叩く。
アラタヨ(擬似餌)
「…うん?なんだ、よね子や」
目前の大樹は、よくよく目を凝らすと、青々した葉の隙間に、何やら玉のようなものが見えました。
ビー玉大の半透明でつるりとした丸いもの。見る角度で変幻自在に色が様変わりしていますが、アレがこの木になる実、なのでしょうか?
よね子
「なん…だか……っ!?」 キュピンーー!!
「あれにみえる実はなんだーっ!なんぞっ!なんぞあれはっ!」
肩の上でめっちゃ手を伸びしてます。
「きらきらしとるぞーっ!? ”まるでむこどのみたいだーっ”!!」
アラタヨ(擬似餌)
「んな…!?」
珍しく狼狽えたような声をあげ、目を見開きました。耳元に響く、幾千年前の幻聴。
???
『みてみて!アラタヨ!』
『まるでそちみたいだーっ!』
アラタヨ(擬似餌)
記憶の中の彼女も、こんな風にはしゃいだ声をあげていました。今しがた頭上の木に見えている、ガラス玉みたいな実を摘んで…
「…其方は、やはり……」
主人さまにそっくりだ。言いかけた言葉を飲み込んで、微笑みます。
「…………」
おぼろげな記憶を手繰り寄せました。あの時、自分はなんと返したのだっけ、妙な間の後に、唇がその言葉を紡ぎ出します。たしか、あの時…
「はは、そうか、そうか。…"其方にそう言われるのは、悪い気分ではないな。"」
片手を伸ばし、愛しむように頬を撫でて
よね子
「……?」
伸ばされた貴方の手に、一粒の水滴が伝って、地に落ちる。
「あれ…?」 ポロリ、ホロリと
「…あれれ……??」
貴方の細長い指を伝って、それはキラキラと地に落ちていく。
アラタヨ(擬似餌)
「…よね子……!?」
息を呑むや否や、よね子をアワアワと地へ下ろしました。表情を曇らせ、心配そうに、顔を覗き込みます。
「如何したのだ…? 何処か痛むのか?」
よね子
「……? …いやっ…いやっ、違うぞっ、むこどの。…なんだかな、むこどの。」
袖で涙を拭いつつ
「あたいな…なんだか、すごくなつかしいんだ。こんなすげー所、一度見れば、絶対にわすれねぇはずだっ。…けど、あたいは、来たことも見たこともねぇ……」
大樹を見上げて、呟く
「なんでだかなぁ~……?」
アラタヨ(擬似餌)
「…っ……」
唇を噛むと、少女の横顔から目線を逸らすように、同じく木を見上げました。自分に何も告げず居なくなった主人(あるじ)。傍らにいる主人と瓜二つの少女。微かに過る予感。
「…さぁて、な。」
感情の読めない声を漏らし、誤魔化すような咳払いを一つ
「…さ、あの樹を使うとしようか。大きな臼にするなら、申し分ないと思うが、どうだ?」
大樹の幹は、大柄なアラタヨの背丈よりも幅があるようです。
よね子
「…?! …いいのか、むこどの?大事な樹、じゃねのか?」
アラタヨ(擬似餌)
ふ…と薄く笑って、よね子の頭を優しく撫でました。首を横に振ります。
「…何、案ずるな。───良いのだ。それほどのモノではない。丁度、都合よく生えていたものだ。」
★〈特技予言:本心と反対のことを話しました〉を「実現」します。
マスター 受理!!
よね子
「……。…むこどのがそうゆうなら、そうにちげぇねぇっ!」
よね子の表情に、華やかさが戻る。
「なら、一思いにずばーーーっとやるのじゃーっ!」
空想の中の大斧を振りぬいた。
アラタヨ(擬似餌)
「あゝ」
…そう、それでいい。きっと、主人さまも、この木が必要だったら…そう言う。
「スパッと斬ってしまうとするか。」
大樹に向き直り、胸に片手を当てて、呪い(まじない)の言葉を紡ぐ
『───この身は、鞘であり」
「豊穣の神ぞ携える刃」
「いなりこんこん 実り齎す火の華よ 風よ
我が呼び声に応えよ!」
言葉を紡ぎ切った瞬間、胸元が焔のように揺らぐ光を放つ。胸元から権限する柄を引っ掴み、一息に抜くと、巨大な斧が現れた。
「せいっ!」
細腕を物ともせず、一気に横一閃。こ気味良い音と共に、幹に青い線が走る。辺りを吹き抜ける風、数瞬の沈黙。ピシリ、と幹が悲鳴を上げる。
圧倒的な暴力の元に、樹は倒壊。手頃のよい円柱形の柱を残して、他は粗方もなく灰になってしまいました。
巨大な斧、焔で出来た刃は、不必要な部位を燃やし尽くしてしまったのです。
★〈特技予言:大事なものが灰になりました。 〉を「実現」します。
マスター 受理します~!!
よね子
隣でよね子は、貴方の動きを真似て、楽しそうにはしゃぐ。
「せーーーいっ!!ほぁぁ~~!! スパッと行ったぞっ!」
そして、焔が消えるや否や
「かかれーっ!! へっへっへっ! ありがたくっ 使わせてもらうぞっ!」
臼の材料となった大きな大きな木材に、紐を掛けようと必死に、ワキワキと蠢く。
「ほれっ! むこどのもはやく~~!」
アラタヨ(擬似餌)
「ああ、ただ今」
頷き、無造作に斧を放りました。陽炎のように揺らぎ、スッと消失したのを横目に、よね子の元へ駆けます。 二人の周りを、ポロポロと、運良く焔を逃れた木の実が、まばらに地面へ降り注いでいました。
よね子の元に向かう中で、耳元でまた、「あの人」の幻聴。
???
『なぁ、アラタヨっ』
『この実が芽吹いて、木になって……』
いつか、実をつける日が来たら
その時は、一緒に見に行こうか
アラタヨ(擬似餌)
「…………」
黙って被りを振りました。過ぎた事です。
よね子
「な、むこどのっ」紐を括り付けつつ
アラタヨ(擬似餌)
「…うん? なんだ、よね子や?」傍らで手伝いつつ
よね子
「あたい、おとうと森の中はいって、木を切った事もあるんだっ。木は、また育つもんだっ。だから、むこどのっ!」
「 ”また、一緒に来ようなっ” あたい、長生きするぞっ!」
煙が目に染みてか、はたまた別の理由か、その頬は、美しく煌めいていた。
アラタヨ(擬似餌)
「…………」
湛えていた微笑みは、苦悶に。ほんの一瞬、微かに眉を歪めました。
「(…ああ、)」
やはり、よく似ている。仕草も、表情も、声も、何もかも…。煌めきには気づかなかったフリをして、努めて朗らかな声をあげます。
「はは、そうか。そうか。」
持ってきた紐は、大樹の重さには耐えきれず、一瞬で切れてしまう。それをみて何故か、吹っ切れたよね子は、丸太の上にチョコンと座り、婿殿に号令を掛けた。
いざゆかん~っ
われらが家へ~っ
ああ、いざ いざ行こう
我らの住処へ いざ帰ろ
昨夜の賢者の『忠告』は何処へやら。一人と一匹の奇妙な掛け声と行進が、闇の森の中に響き渡るのでした。
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明くる日も、相変わらずよね子の朝は早い。
『おはよーっ! むこどのぉぉーー!!!』
紅白の木の実を揃える為に、一人と一匹は、社の周辺を奔走する事となる。
よね子
『ふーふっふっふっふ!こいつぁあたいのっ!得意分野だっ!!』
張り切って、たすきを掛ける。
アラタヨ(擬似餌)
『はは…! 頼もしい事よ、俺の嫁は』
呑気に笑い声をあげていました。
そして、よね子は気になる木の実への突撃を繰り返し…
よね子
『これだぁああ!見つけたぞーっ!!』 ムンズッ
『……。 ……?……???? !!??』
『ほぎゃぁー!むこどのーーっ!!おたすけー!!』
実に、その9割がケダモノだったりした。
アラタヨ(擬似餌)
『おぉ…コレまた派手にやられたなぁ。…暫し、待たれい。』
実に手慣れた様子で、時に狐火、時にカマイタチで、ケダモノたちの歯牙から退けてみせるのでした。
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はちゃめちゃで、行き当たりばったりな、一人と一匹の生活は続く。
…そして…それは『さとがえり』に必要な物を全て揃え切った、明くる日の事でした。
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