【初級】動画カメラの選び方(ライブ撮影編)
手持ちのスマホよりも、ワンランク上の画を撮りたいと思った時、どんな基準でカメラを選べばよいのかを、ライブ撮影を目的としたミュージシャン目線で整理してみたいと思います。
1.価格
当然ながら、お金があれば、良いカメラを買えます。ここは最も重要な基準ではありますが、個々人で予算や金銭感覚が異なるので、あくまで深く記述しません。以下2〜5を踏破した後に、最終的に1に戻ってきて、候補となった機種の価格を比べてみて下さい。
2.バッテリー持ち時間
ライブハウスなど屋内の電源を使ってよいと言われた場合には、カプラーなどを使用して、コンセントから給電しながら撮影すると、バッテリー切れの心配はありません。
カプラーとは、電池ではなく、カメラに直接給電するケーブルとお考えください。下記のような商品です。
しかし、カプラーのケーブルが客の脚に引っかかったりする危険性もあります。また、お店によっては、撮影できる場所を厳しく制限している場合もあります(下図の赤枠)。この場合、必ずしも電源を使えない場合もあるため、やはりカメラのバッテリーに頼らざる得なくなります。
1ステージの長さが1時間を越える場合、いつどんな瞬間でも逃さないようにするためには、1ステージをすべて連続で撮りきることが重要になります。音楽のジャンルによっても1ステージ長は異なりますが、1個のバッテリーで1時間30分以上連続撮影できるなら必要十分かと思います。
3.30分以上連続動画撮影の可・不可
バッテリーが1時間30分以上持ったとしても、カメラの中には、動画を30分以上連続で撮影できないように設定している機種がいくつかあります。
なぜでしょうか?これは、ヨーロッパでの関税に関係しています。
写真用の「デジタルカメラ」であれば、関税は0%で済みました。しかし、動画用の「ビデオカメラ」として認定されてしまうと、4%程度の関税が掛けられてしまうのです。そのため、各メーカーはこの価格上昇によりユーザーが離れてしまうのを恐れ、可能な限り価格を落とすためには、「ビデオカメラ」と認定されないようにしているわけです。
次の3要件を満たすと、ビデオカメラとして認定されてしまいます。
【ビデオカメラ定義3要件】
①画質が800x600ピクセル以上
②23fps(フレーム/秒)以上
③動画の連続録画時間30分以上
この中で、③の条件で「30分未満」の撮影時間制限を設けることで、関税を逃れてきた歴史があります。
しかし、2019年2月に日欧EPAが発効され、多くの項目で関税がなくなり、③の制限をかける必要がなくなりました。ちょうど2019年2月にリリースされたSONYのα6400は、このEPA発効による関税撤廃を前提とした商品であり、30分以上の連続動画撮影が可能になっています。
30分以上の連続動画撮影を考えてカメラを買う場合には、そのモデルが2019年2月以前か以後かを注視してみましょう。もちろん仕様書での確認も忘れずに。
4.暗闇への強さ
こちらの記事を参考にしてください。
5.WEBカメラ機能の有無
最近では、YouTubeライブやFacebookライブを行うミュージシャンが増えてきました。一般的に、カメラとPCをUSBにつないでも、撮影データの移行はできても、配信することまではできません。もしも、撮影している映像をライブ配信したい場合には、PCとカメラの間にキャプチャーデバイスを介在させる必要があります。
しかし、キャプチャーデバイスを使わなくても、USBでカメラとPCをつなぐだけで配信できる機種もあります。そのような機種は、「WEBカメラ機能付きかどうか」ということで仕様を確認しましょう。
たとえば、SIGMA fpはWEBカメラ機能がついています。
そして、CANONのEOSも、後発でWEBカメラ機能を実現するソフトウェアをリリースしました。
まとめ
今回の記事はあくまで、ライブ撮影を意識したミュージシャン目線での基準となってきます。たとえば、ミュージックビデオを撮影したいという用途の場合には、これとは全く異なった基準が出てきます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?