
パンク修理用のゴムのりでは靴の修理はできません
自転車屋をやっていると、自転車以外の修理も持ち込まれます。
車椅子とか、ベビーカーとか、そういうのはいいのですが、たまにおかしなものを持ってくる人もいます。
それはスニーカーなどの靴です。
自転車のパンク修理のときに使用するゴムのりというものがあるのですが、それの名前のせいか「剥がれたソールを接着してくれ」という依頼が極稀にあるのです。
ゴムのりはパンク修理に使うこういうものです↓
もちろん、くっつきません!
くっつかないんですけど、「一回やってみてくれや!」「なんでできないんだ」としつこい人もいるので、そういった人に説明できるように少し調べてみました。
ゴムのりで剥がれたソールがくっつくと思っている厄介な人に絡まれたことがある自転車屋さんのお役に立てれば幸いです。
ただ、専門家ではないので、間違っていたらすいません。
まずは、ゴムのりの仕組みから
まず、自転車屋さんが使うゴムのりは、ゴム同士を化学反応でくっつける仕組みです。
ゴムは一度練って分子間の構造を切れ切れにします。
そして硫黄を加えて熱と圧力を加えてやると硫黄を基点に網目構造が出来収縮自在のゴムが出来るわけです。
これが加硫です。
パンク修理用の糊は実は溶剤に未加硫のゴム(塩化ゴム、クロロプレンゴムだったかな?)を溶かした物でこれを仲立ちにパッチのゴムとチューブのゴムを反応させて、それぞれの「手」を結ばせて加硫反応でくっつけるわけです。
ということで、ゴム同士しかくっつかないのです。
スニーカーに限らず、靴は様々な素材から成り立っています。
ソールだけでも、アウトソール・インソールで素材が違ったり、ゴムソールといっても、天然ゴム(クラークスのクレープソール)やガムソールなどなど。
ゴムのり、だからゴム同士がくっつく、までは分かるんですけど、最近のスニーカーのソールってだいたいゴムじゃないし、見た目も明らかにゴムじゃなくないですか?
だから、くっつきません。
靴の専門家なめんなよ
↑靴の修理のプロのブログです。
非常に大変な工程を経て、修理がされていることが分かると思います。
接着剤を塗ってペタ、完成!なわけないじゃないですか。
一応、応急処置用の靴底用接着剤もあるみたいです↓
まとめ
パンク修理に使うゴムのり(ラバーセメント)で靴の修理はできません。
自転車屋ではなく、専門のリペアショップに持って行ってください!
お読みいただき、ありがとうございました!