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ボルトクリッパーは貸してはいけない
自転車屋によく持ち込まれる相談事の一つが、「鍵をなくしたので壊してほしい(交換してほしい)」です。
で、その際はだいたい鍵本体を破壊・切断するしかなく、工具を使用します。その代表工具がボルトクリッパーです。
ごくごくたまにではありますが、これを「貸してくれ」と言ってくる人がいるんですよね、困ったことに。
そもそも種類問わず工具を貸し出すことはありませんし、ボルトクリッパーも当然貸しません。ただ、こういった事を言ってくる人はしつこいので、「なんで貸せないんだ!」とか言ってきます。
結論から言うと、なぜ貸せないかは以下のとおりです。
所持しているだけで法的なリスクが有る
窃盗・器物破損の幇助になりうる
以下、解説していきます。
法的なリスク
「特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律」というものがあります↓
第一条 この法律は、特殊開錠用具の所持等を禁止するとともに、特定侵入行為の防止対策を推進することにより、建物に侵入して行われる犯罪の防止に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 建物錠 住宅の玄関その他建物の出入口の戸の施錠の用に供する目的で製作される錠をいう。
二 特殊開錠用具 ピッキング用具(錠に用いられるシリンダーをかぎを用いることなく、かつ、破壊することなく回転させるための器具をいう。)その他の専ら特殊開錠(施錠された状態にある錠を本来の方法によらないで開くことをいう。以下同じ。)を行うための器具であって、建物錠を開くことに用いられるものとして政令で定めるものをいう。
三 指定侵入工具 ドライバー、バールその他の工具(特殊開錠用具に該当するものを除く。)であって、建物錠を破壊するため又は建物の出入口若しくは窓の戸を破るために用いられるもののうち、建物への侵入の用に供されるおそれが大きいものとして政令で定めるものをいう。
四 特定侵入行為 特殊開錠用具又は指定侵入工具(以下「特殊開錠用具等」という。)を用いて建物に侵入する行為をいう。
第二章 特殊開錠用具の所持等の禁止
(特殊開錠用具の所持の禁止)
第三条 何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、特殊開錠用具を所持してはならない。
(指定侵入工具の携帯の禁止)
第四条 何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、指定侵入工具を隠して携帯してはならない。
ボルトクリッパーは「指定侵入工具」には指定されておらず、ボルトクリッパーを所持しているだけでは取り締まられることはありません。
また、「特定侵入行為の防止対策を推進することにより、建物に侵入して行われる犯罪の防止に資することを目的とする」とのことなので、一般的にはボルトクリッパーは住居侵入には使えないので、この法律が適用されることはなさそうです。
が、ここは警察のお気持ち次第ではないかと思うのです。南京錠やワイヤー錠で施錠されている建造物もありますし、それらはボルトクリッパーで破壊・解錠可能です。
あと、仕事にも使えて便利かなと十徳ナイフを所持していた鮮魚店店主が有罪判決を受けたり、取り調べたい対象を手っ取り早く身柄確保するための「微罪逮捕」なんてのも存在します。
最近では窃盗団による銅線ケーブルの切断・盗難が相次いでおり、窃盗団がボルトクリッパーを積極的に使用しています。
こういった事情から警察がボルトクリッパー所持に敏感になっている可能性もありますし、今後法改正される可能性もゼロではありません(この記事は2025年1月に執筆しました)職質される可能性もかなり高いと思います。
窃盗・器物破損の幇助になりうる
もし、ボルトクリッパーを貸して、借りた人が間違った自転車の鍵を破壊した場合、それは器物破損になります。
また、借りた人が自転車の窃盗のためにボルトクリッパーを使ってしまった場合、窃盗になり、貸した側にも法的責任が発生することは確実です。
当然ですが,犯罪行為(実行行為)を行った者は,刑罰の対象となります。
そして,この実行犯に,一定の手伝い,手助けをした者も処罰の対象となります。
これを幇助犯(ほうじょはん)と言います(刑法62条1項)。
幇助犯は従犯の1つです。
従犯というのは,実行犯(=正犯)のサブというような意味です。
まとめ
まとめると…
所持しているだけで法的なリスクが有る
窃盗・器物破損の幇助になりうる
ので、絶対に貸さないようにしましょう。
参考
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