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私がバーテンダーを辞められない訳は (1) ー始まり編ー


バーテンダーを始めて早5年。※1
初めは長く続けるつもりなんかなく通信で大学を出るまでのアルバイトのつもりだった。
(※1: 途中で辞めてる期間も含め)

2025年、なぜまだ続けているのだろう?


バーテンダーを始めたきっかけ

埼玉の大宮東口は老若男女ごった返していて皆が酒飲みの街だ。そんななんでもアリな街に新しいバー&レストランがオープンすると聞いてアルバイトに申し込んだ私は、そこからの出会いが後の5年にわたり大きな影響を及ぼすとは1mmも考えず南銀通りを歩いていた。

「募集要項を見てホールで働きたいと思い応募しました」
「ホールももちろん募集してるんだけど、人が足りなくて…。ちゃんと教えてもらえるようにするからバーテンダーやらない?」
( バーテンダー?普段お酒とか全く飲まないけど、時給良いしお金もらって教えてもらえるって最高やん )
「やります!」

バー修行…?

そんなこんなのノリで始まったバーテンダー人生。
バー経験のないオーナーの元で誰に教えて貰えるんだと思ったら、オーナーが常連のザ・オーセンティックなバーで1から教えていただけることに。手とり足とりお願いしまーす、と呑気に構えていた私だが現実問題 1ヶ月後にオープンするバーにバーテンダーとして立たなくてはならない。余裕をぶっこいていた私はまずここで逃げ出したくなる。

通常バーテンダー修行というものは初め、グラス洗いやボトル拭き 氷や果物のカット 仕込み そしてある程度認められればバーテンダーのサポートという順で進められる(と私は把握している)。
しかし今回は1ヶ月でカクテルを作れる状態まで持っていかねばならない。
そう、ここからは修行とは名ばかりの「バーテンダー」という鎧を着る練習の毎日だった。

オーセンティックバーでの日々

バーというものを全く知らない小娘が突然「1ヶ月後にバーテンダーになりまーす」と扉を叩くのだ。マスターも相当困ったことだろう。

挨拶も程々に、さっそくバースプーンを持ち一生カウンターの端でクルクルと氷を回す練習に取り掛かる。手を止めずに雰囲気に慣れる。バーでの会話の仕方。オーダーを受けてからの流れ。氷と同じように私の頭の中もずっとグルグルと回転する。
初めの1週間はとにかく目で見て感じて盗み、バーを知ることで精一杯だった。

そんな時間が1日8時間週5日。今耳に入ってきた単語はカクテルの名前なのか ボトルの名前なのか 果たしてこれはジンなのかウォッカなのか はたまたリキュールとやらなのか…
そう考えつつお客様とのお話は大人の会話。踏み込みすぎてはいけないちょうど良い距離を保つよう調節する、、、

そして忘れてはいけない私は通信大学生なのだ。
沢山の知識を入れて帰ったら大学のレポート作りが待っている。

ちょっと辞めてみる?

この生活を1週間。
初めこそ "オシャレな空間にいる私(しかもお店側っ)" と浮かれていたものの、表には現れない大変さに「無理」の2文字が頭をよぎる。
バーテンダーになる明確な理由も無ければ当時はこれに耐えられる根性も無い。
次の日も14:00に出勤し23:00まで。

「…もう行きたくない。」

私はアルバイトの特権である仮病カードを行使した。

マスター「とんだかと思ったよ」

1日 風邪を引いたていの私が考え抜いて辿り着いた結論は結局"「辞めます」という勇気がない"。
次の日 小心者の自分を恨みながら普通に出勤した。

のちに発覚した話だが、マスターはこのとき私はもう来ないと思ったらしい。
私のようなバーに通ってた経験が無かったり別にお酒が好きでもないアルバイトは いざバーテンダーの仕事をやるとなると、膨大な知識量と空気を読む力が求められることに疲弊しすぐに辞めてしまうらしい。
「休む連絡をもらったときはもうこのままとぶかなと思ったよ」
1ヶ月の修行を終えた私にマスターがかけた言葉を聞いて「とりあえず1段階はクリアかな」と思ったのを覚えている(今思えばこれもまた甘かったが)。

当時のinstagramストーリーのスクショ

祝 バー&レストランOPEN!!

そんなこんなで毎日嫌だと思っていたバー修行を終え(マスターもスタッフの皆様もお客様もみーんな優しかったけど!)、とうとうオープンの日になった。

さすがに私ともう1人研修していた未経験2人では怖いということで、オーセンティックバーから3日間サポートスタッフが代わり代わり来てくださることに。

正直この時期は大変すぎてよく覚えてないが、シェイク以外のカクテルをひたすら作りまくった気がする。そして改めて自分たちのお店でオープン作業から締め作業まで通してこなすのがいかに大変か、バーテンダーの方々の凄さを痛感した。

次回

大宮のバーを1年で辞めるドン!

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