韓国の出生率激減から懸念されること
・はじめに
新型コロナの影響で海外との往来もめっきり減り、外国のニュースは専ら新型コロナ関連ばかりとなっている。だが先日、韓国の衝撃的な出生率がニュースとなった。
韓国の昨年の合計特殊出生率は0.84。未婚化、晩婚化に悩む日本が1.36なのだから、この数字がいかに小さいかわかる。近い将来韓国の急激な人口減が大いに懸念されるところである。
この原因については色々と分析が上記資料になされているので参照いただきたい。韓国については日本の世論はかなり極端になることも多く、やれ隣国なんだからドラマ等文化ベースでは仲良くしましょうだの、やれこのまま国が消滅したら面白いだの色々あるが、ここで私はそんなことを言及する気はない(そこらへんは専らヤフコメにお任せといきたい。)。韓国の人口減は日本にとっても対岸の火事ではない。私がソウルを訪れた時(2019年)の写真を挟みつつ、日本への影響を考察してみることとする(ちなみに上の写真は「英雄」李舜臣です)。
・古来から続く朝鮮半島の影響
言うまでもなく「国は引っ越しできない」。古来から(そしてこれからも)日本にとって朝鮮半島は「隣国」であり続ける。従って朝鮮半島は常に日本にとって重要な存在であり、その影響は多大なものであり続けることも変わらない。渡来人だの日清日露戦争だの例を挙げればきりがないが、その一つを挙げてみる。白村江の戦いである。
7世紀中盤、新羅・百済・高句麗の3つにわかれていた朝鮮半島の中で、唐と結んで勢力を伸ばした新羅が百済を滅ぼした。百済の遺臣たちは百済再興を目指し、元より結びつきが深かった倭の大和朝廷に救援を依頼、中大兄皇子は朝鮮半島南部と敵対することを恐れ、この依頼を受けることにした。
当時の日本は中大兄皇子の大化の改新により公地公民制が敷かれていたが、どうもこれはパフォーマンスのみで実際にはほとんど機能していなかったらしく、まだ「国家」としての機能はほとんどなかった時代である。しかし中大兄皇子は数万もの大軍をかき集め百済救援の兵を出した。しかし結果唐と新羅の連合軍に大敗し、百済の再興はならずに終わった。
敵対勢力が朝鮮半島南部に及び、国防の危機を感じた中大兄皇子は、次々と諸施策を打ち出していく。九州北部に沿岸警備隊「防人」を配備、「水城」と呼ばれる砦を築いた。更には便の悪い飛鳥から滋賀の大津京に遷都した。
国内政治もしかりで、唐に対する見せつけの意味もあり法律の作成、「日本」「天皇」等の呼称の使用、更には国家の成り立ちを記した「古事記」「日本書紀」の編纂など、日本は急激に「国家」としての体裁を整えていった。
結局白村江の戦いの後に、唐と新羅の関係が悪化したこと等により日本が攻め込まれることはなかったが、白村江の戦いが日本の国家形成に大きな役割を果たしたことは紛れもない史実である。このように日本の歴史は朝鮮半島との繋がりなくして語ることは不可能なのである。
・韓国の現状はいかに
では今の韓国はいかなる状況か。国際法上の話だが韓国はただ今「戦時中」である。
1950年に勃発した朝鮮戦争は、韓国と北朝鮮のみならず、アメリカや中国も巻き込み朝鮮半島全土に多大な被害を及ぼした大戦争となった。ようやく1953年に「休戦」となったが、正式な平和条約が韓国・北朝鮮の間に結ばれたわけではなく、両国の国境が確定しているわけでもない。現在は軍事境界線を暫定的に「国境」と見なしているにすぎない。韓国の北には中国やロシアとの関係が深く、事あるごとにミサイルを発射してくる北朝鮮が存在する。従って、いつ本格的な軍事衝突が起きてもおかしくないのが韓国の現状である。
よって韓国には「兵役」がある。原則青年男子は2年間軍に入隊し「軍人」とならなくてはならない。もっともこれは北朝鮮も同様であり、いかに朝鮮半島の両国にとって「軍事力」が重要か物語っている。20歳前後の若者を2年間兵役に就かせるということは、学術や結婚(恋愛)など様々な面で極めて負の側面が大きい。しかし兵役を布かなければ国が守れない切実な事情を朝鮮半島は抱え込んでいる。それが韓国の現状である。
・韓国の人口減はゆゆしき問題
さて、韓国の人口減を日本をどう捉えるか。人口は「国力」と密接な繋がりがある。韓国はこれから急激に(日本以上に)国力低下を招くのではないか。それが韓国の「軍事力の低下」に繋がること、これが日本にとって最も懸案される事態なのではないかと想像している。
人口減は経済力の低下を招く。すると韓国政府に入る税収が減り、防衛費(軍事力)を掛けられなくなる。無論兵役に行く人間が減ると、絶対的な兵隊の「数」も減ることになる。そこに中国ロシアが糸引く北朝鮮が攻め込んできたら、そこまではいかなくても中露の影響下に置かれたら、日本は何をする必要があるか。素人の想像だが
・対馬を要塞化し米軍艦隊に駐留してもらう
・日本も徴兵を復活させ自衛隊の防衛力を格段に上げる
ことなど思いついてしまう。あとは単独で核武装あたりか。まさに悪いこと尽くしの結末が目に見える。
逆に言えば、朝鮮半島南部に韓国が存在するからこそ、日本の安定は守られているともいえる。日本は韓国の慰安婦をめぐる国際法無視など何かあっても、結局(主としてだが)経済的な結びつきを切ったりすることなどできず、韓国の国力が低下しないようたまに資金援助をしたり、たまに軍事演習など一緒にしたり、そんな付かず離れずの微妙な関係が今後もずっと続いていくのではないか。それが「隣国」などというものなのかもしれない。
そんな矢先の本日(この記事投稿日)、再来週久々にサッカーの日韓戦が日本で行われるというニュースが舞い込んできた。
コロナの影響から欧州でプレーするスター選手が来日するのかはわからないが、どうせやるならソン・フンミンらのプレーを見てみたいとも思う。まあスポーツだって常にぎくしゃくするのも今後も続くのだろうが、せめてアジアのレベルを上げるべく両チームのいい強化に繋がることを期待している。