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タトゥーを入れた親には内緒
親から電話がかかってきた。
2/23にアルバム「THE BLUES」を出したその次の日くらいの事だ。アルバムの6曲目にHundred Thousandという楽曲がある。
この曲は僕が朝の4時まで曲を作りたくて悶々としてた夜中に頭に湧いて出てきたメロディとアイデアをほぼ即興で歌った曲だ。
が、ゆえに本当は歌詞にするつもりがなかった「タトゥーを入れた」という事を歌詞で触れてしまった。
僕は親に内緒で、完全に自己満足でタトゥーを入れていたので曲にする事で親にバレてしまうのだ。それでも僕はなんとなく秘密を抱えたくなかったのか、それともホントに歌詞になってしまったから変えたくなかったのか、そのままの歌詞でリリースした。
親から電話が来た時僕はすごく怒られる事を覚悟した。
「しょうたろう、アルバム聞いたよ。」
「どうだった?」
「すごく良かったよ。正直な言葉を沢山歌っていて響いたし、なにより歌も上手くなったね」
「ありがとう」
「ほんでしょうたろう。なんで電話したかわかるよね?言わないとあかん事あるやろ?」
僕は分かってたけど、少し知らないフリをしてとぼけた。若干の自己防衛だと思う。
するとお母さんはこう切り出した。
「ずっと知ってたよ。本当はママに知って欲しかったんでしょ?」
「いや、まあそういうわけじゃないけど…」
「私はあんたが音楽始めた時から、しょうたろを止められない。何を言っても聞かないし。でも実は私が思ってるよりしょうたろうはすごく考えていて、冷静で頭がいい。その時は私から見たら意味が無くて、突拍子もない行動も今こうやって全部繋がってる。ほんとに尊敬してる。きっとだから身体に"それ"入れたのも、あんたなりの理由があったんでしょ?」
「うん。」
「きっとあんたははもう"それ"を入れないと音楽が作れなかったんでしょ?前に進めなかったんでしょ?毎日に耐えられなかったんでしょ?それが伝わるから、ママは悲しい」
こう言われた。
その後僕のお母さんはタトゥーが傷に見えると言った。ビジュアル的な話じゃなくて、僕の心の怪我が目に見えるようにタトゥーになってると感じたらしい。
だから、
「そんな物に頼らなくてもあんたは強い子だから大丈夫。」
って言われた。
俺はほんとに強い子なんだろうか。
心が弱い人こそ「自分は強い」って言わないと耐えられないのかもしれない。
全員が全員そうではないが、少なくともきっと僕は心が弱くてタトゥーを入れた。後悔はしてない。もう最初からそこにあったんじゃないかって思う。
お母さんは今も応援してくれてるしそれ以来この話はしてこない。
話したくないのかもしれないし話す必要がないと思ってるのかもしれない。
僕が行う目先の小さな選択の連続を僕に任してくれている。
今日も明日もこの小さな選択がたくさんある。
どうか間違えていませんように。
今の間違いすらも将来振り返った時に優しく見れる人になれますように。