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ハナレバナレとは


俺がハナレバナレって言葉の意味を知ったのは18歳になってすぐの冬だった。

その冬僕は好きだった女の子と3年ぶりに再会した。

親友でもあった彼女と最後に連絡を取ったのは15歳の時で、僕は3年間彼女に「絶交」されていた。

というのも僕が高校に上がってすぐ、悪い友達と悪い遊びをしていて、それが引っ越して違う高校に進学したその子にバレたんだ。

「実はちょっと好きだった。けど今は大嫌い。絶交ね。」

そうLINEで言われたのをすごく覚えている。

二度と会えないと思っていたが、3年の月日を経て、高校を卒業した僕は彼女に連絡してみた。

「4月からカナダに行くんだ。もしかしたら最後かもしれないから、会ってくれないかな?」

彼女は
「久しぶり、いいよ。神戸まで来てくれる?」

僕らは3年ぶりに再開したんだ。



彼女が住む少し遠くの街に来た僕は
ドキドキしながら彼女を待っていた。すると、

「しょうたろう?私だよ!」

そこには彼女が立っていた。
彼女は僕が知っている頃より随分と髪が長く、少し金色に染めていて、すごく大人っぽい女性になっていた。
でもちゃんと紛れもなく僕がずっと会いたかった"あの子"だった。

「おはよ!元気?てかあの時はごめん。ほんとに反省してる。あの後なんて言えば良かったのか分からなくて…とにかくごめん。」

僕はそんな感じの事を言ったと思う。
すると彼女は

「何の話?てか私たちって何でこんなに連絡とってなかったんだっけ?笑」

と言った。
結論から言うと彼女は最後までとぼけていた。
ほんとに理由を忘れてしまったのか、それとも忘れたフリを僕のためにしてくれたのかわからない。ただ1つだけ言える事は、その日の僕らにとってもうそんな事はどうでもよかったのだ。


だって僕らは3年ぶりに会ったと言うのに、まるで昨日も一緒に居たみたいに、当たり前のように時間を過ごしていたからだ。
しょうもない冗談を言ったり、お手ふきで遊んだり、同級生の話をしたり、、、、、

その時僕はふと思ったんだ。
僕達はきっと3年間"ハナレバナレ"だった。
"離れる"って言葉はきっと、"繋がり"がある人に対して使う言葉で、"ハナレバナレ"の人とは必ずまた会える。会っても全然久しぶりだなんて感じないんだと思う。
昨日も会ってたみたいに話すんだ。
だって距離が遠いだけで"繋がって"いるから。

僕と彼女はほんとに久しぶりに会ったのに、昨日も一昨日も一緒に遊んでたみたいに話したんだ。
だからきっと彼女と僕は"ハナレバナレ"だった。


僕が思うに"ハナレバナレ"は、大切な人にだけ使う、優しくて、素敵な言葉なんだ。

そして僕は今"ハナレバナレ"の友達がいる。
俺たちは一緒に 忌野清志郎の トランジスタラジオとか、雨上がりの夜空にとか聞いた。
その後にブルーハーツの夕暮れを聞いて、涙が出そうになって、2人で曲書いて、でっけえ声で歌った。

「お前が調子悪い時は俺が頑張るから、俺が調子悪い時はお前が頑張れ。」

なんて言った。

悩みを聞いて、悩みを打ち明けた。
夢を語って、夢を見た。
電話越しで涙が落ちた時、
俺も涙を落としていた。
身体が熱くなって、悔しくなって
怖くなった。

俺とあいつは"ハナレバナレ"なんだ。
今日は早く寝ような。





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