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THE TELESCOPEまでの日々4


僕は中学高校といじめられていたから同じ高校に友達は基本的にいなかった。特にサッカー部にはすごく嫌われてたし、昼休みも基本は1人だった。

まあでもその代わりに僕には別の高校に親友がいた。
そいつは高校生のときからちょっとした有名人でおしゃれでかっこよくて、俺はそいつが俺の親友である事が誇らしかった。


俺たちが出会った15の頃は本当にただのクソガキだったのだが気づけば俺たちには夢が出来て、17になる頃には必死にもがきだしていた。

俺たちは何度も夢への死線を潜り抜けた。中でもまず最初はきっと19の頃。俺がカナダにいた時。そいつは当時付き合っていた人を幸せにするために、音楽の仕事に絡んで世界を獲る事から離れたいと言った。

俺は断固反対した。そいつが俺には必要だったし何より俺とこいつなら2人で世界を獲れるそんな自信があった。

俺は強くてひどい言葉をたくさん投げた。
「逃げるな」とか、「恥ずかしくないのか」とか。

でもたくさん話す中で俺はこいつの幸せや人生を、「夢」っていう都合のいい言葉を盾に奪い取ってるような気がしてした。


だから彼を引き留める事を諦めた。もうきっと俺たちはここでおしまいだと。

その時そいつに曲を書いた。

正直な言葉を書いた。俺はお前を自分の夢に縛りつけていた。でももういいよ。お前はこの先、お前の幸せのために生きてくれ。
と歌った。

そしたらなんと彼は逆に音楽の世界に戻ってきた。

不思議だと感じた事をよく覚えている。
でもきっとこれも俺たちの運命だった。


東京に来てからは色んなことがあった。
金もないし、心に余裕もないし、バイトばっかで時間もないし。

でも俺たちは頑張った。
誘われた遊びも全て断って死ぬ気で働いて、空いてる時間で死ぬほど作品を作り続けた。
俺たちの周りの同じように夢を見る仲間や、夢を見せてくれた先輩がいなくなったりする中俺たちは必死に自分たちの目標にフォーカスし続けた。

俺たちはたしかに一緒にいたし、同じところを目指していた。



そして何年経っただろう。
今そいつはおれの隣にいない。

色々な問題が俺たちにはあったがその都度口論をしなが乗り越えてきた。時に泣かしてしまう事もあったし、俺が感情を抑えきれなくて爆発する事もあった。


でも今回は乗り越えられなかった。
何より俺自身が「もう彼とは一緒にやれない」と思ってしまった。



でも俺とそいつは常に一緒にいたから今でも色んな人から俺のとこに、「あいつ元気?」とか、「あいつ何してる?」とかたくさん連絡が来る。


その度に俺は冷たくこう言ってる。

「俺あいつの事もう知らないんだ」



こんな日が来るなんて嘘みたいだ。

一緒に地元に帰った時。昔おれをいじめてたはずの同じ中学の奴が馴れ馴れしく話しかけてきた。


「しょうたろう最近すごいな、、、また飯でも行こうや」
って

そしたらあいつが俺に

「あれ?しょうたろう同じ中学に友達いたん?いじめられてたんじゃない?

って聞いてきた。だから

「いないよ、こいつも俺のこといじめてた」

って答えた。
するとあいつは、その俺の中学の同級生に向かって。

「きも、話しかけんな。どっかいけ」

って言い放った。

俺は嬉しかった。今俺にはかけがえのない仲間がいるんだと感じた。

そしてもちろん俺たちは熱中して作品を作ったし、それに命を吹き込んだ。
彼の作品が好きだったし、強い気持ちと才能を感じていた。


でも今もう隣にそいつはいない。

詳しくは書きたくないが、俺たちら同じ方向を見てるようでちょっと違ったのかもしれないし、
俺はあいつにきつい思いをさせたのかもしれない。
俺があいつを結局19の時のように夢に縛りつけたのかもしれない。

それともあいつはただ目の前の問題から逃げただけなのかもしれない。


真実はわからない。別にどっちでもいい。
俺とあいつが今同じ場所にいない事だけが事実だ。


そして俺は10年近く一緒にいた仲間のいない一年を送っている。


たまに寂しくもなる。
何か起きた時に今までならあいつに話してた事を話す人がいないからそれが瓦礫みたいに俺の中にたまっていく。


でも今は別に話したくない。
お互い生き延びて、お互いが信じたものが手の中に入った時に話をしたい。

それまでに話す機会があってもきっと俺たちは本当の意味では話せないだろう。
今までもそうだったのかもしれない。
尾崎が言ってたみたいに「夢」は形を変えるから俺たちも常に変容を強いられるし、その度に自らに課した言葉とか、憧れが俺たちをちょっとずつ殺していく。


でももしその時がきて、お互いがまだ生きていたら。
その時は話そうと思う。

だから俺はそれまで絶対にとまったらダメだし。
止まりたくない。


どれだけ「夢」が形を変えても、信じたいものを信じるために熱中したい。



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