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教師の働き方改革の意味

近年、あらゆる業種で働き方改革への関心が高まっています。

今までが異常だったわけで、むしろ正常化している、と言える現象なのだと思います。

そして、その波は教育業界にも訪れています。

公教育においては、給特法という法律によって教員が残業代さえ支給されていない状況が何十年も続いています。

私達、私立学校においてもつい最近まで労基法違反の行為が常態化していました。

近年は改善傾向にありますが、まだまだ改革は道半ばといったところでしょう。

働き方改革の抵抗勢力

この改革の流れに対し、様々な抵抗勢力が存在します。

労働法規の知識が無い上司や無理難題を突きつける保護者などはその一例です。

しかし、最も厄介なのは現場の教師の意識の低さです。

学校教員の世界において、「生徒のため」という免罪符はあらゆる場面において絶大な効果を発揮します。

このため勤務時間を過ぎた労働行為を平気で行い、むしろそのような教師こそ理想的だ、とる文化が今なお存在しています。

また、学校文化自体が司法の介入を拒んできた歴史(現在においても「いじめ」という犯罪を学校内で処理するなど)からか、学校教員は法律的な知識や関心が低い人間が大半を占めます。

その結果、無休残業などを強要する習慣が、令和の現代においても残ったままになっていることがあります。

教師の労働問題は教師だけの問題ではない

以上のようなことに関して、改善するべきなのは言うまでもないのですが、教師の労働問題を語る上で重要なのは教師だけの問題ではない、という点です。

日本の学制に置いて、100%に近い生徒が義務教育である小学校から中学校に通います。さらに現代では高等学校に通わない生徒もほとんどいないのが実状です。

そして、学校に毎日通う彼らにとって、最も身近な労働者こそ学校教員なのです。

教師の働き方は子供たちが目にする労働者のロールモデルとなっているということです。

これまで、我が国では労働問題に関しての意識が低く、タブー視さえする時期が長く続いてきました。年功序列や終身雇用と引き換えに権利を売り渡していた側面はあれども、国民一人一人が労働問題へ関心を抱くことが無い状況が長年続いてきました。

この原因こそ、日本中の子供たちに、身近な労働者である教師が労働問題への無関心や、サービス残業有りきの働き方を全国津々浦々で半世紀にわたって刷り込んできた結果であり、一向に改善しない我が国の生産性の低さに繋がっているのではないでしょうか。

大人が働き方を示すべし

ブラック企業は反社会的団体であり、サービス残業は違法な搾取かつ現代の奴隷制度に過ぎないことを大人=教師が子供たちに伝えることは重要な仕事だと思います。

実際、高等学校では卒業後すぐに就職する生徒も半数弱存在します。働く大人が彼らに伝えられる最も重要で単純なメッセージこそ、ワークライフバランスの釣り合った後ろ姿なのではないでしょうか。

ということで、私は今日も早く帰ります。

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