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「モチベーション依存の学習から脱却しよう」
受験指導を行う上で私は常に意識していることがあります。
それはモチベーションに依存した学習から脱却させる、ということです。
モチベーションを高める効果
一般的に、仕事や作業を行うときに動機づけや目的意識=モチベーションを高めて取り組むという行為は効果的と考えられています。
実証するまでもなく、やる気がある方が作業速度や効率が向上するのは当然と言えます。
大学受験などの受験勉強においても同様で、教科への興味が湧きやすい題材を扱ったり、志望理由をまとめたり、進学先の情報を集めることで希望の大学や学部、職業への意欲を高めたり、といった手法は日本全国の多くの学校で日々用いられています。
教員を対象とした教材業者や予備校が発行する進路指導の情報誌でも毎号のように特集が組まれ、全国のモチベーションをいかに効果的に高めたか、という事例紹介は枚挙に暇がありません。
つまり、定量的な観測はともかくとして、モチベーションを向上させることで教育効果を高める手法は非常に一般的手法と言えるでしょう。
では、どうしてモチベーションに依存した学習から脱却する必要があるのでしょうか。
大学受験など長期的な学習を行う場合、膨大な学習量を必要とします。また、学習期間は年単位の長期に渡ります。
こういった学習において、長期的に高いモチベーションを維持し続けることは可能なのでしょうか。
根性論ではなく、現実問題として考えると、これは不可能に近いでしょう。
モチベーションを維持する要因は二つ
適度な刺激のある情報との接触
身体と精神の健全な状態
1に関して、モチベーションは刺激を受けることで向上します。
ここでの刺激は、大学受験であれば志望する大学のニュース情報であったり、実際の進学者の生の声であったり、あるいはパンフレットといったものが考えられます。
しかし、年間を通じてこのようなものに鮮度を感じつつ、触れ続けることは不可能でしょう。
情報は毎日更新されるわけでもなく、新しい人間と毎日接触することも現実には難しいからです。
2について考えると、年間を通じて健康を一定以上の状態に保ち続けることは不可能と考えられます。
現在のようなコロナの状況ではないとしても、季節性のインフルエンザなどの流行は毎年発生します。
また急な病気や持病、さらにはアレルギーなども含めるとどれほどの人が健康状態を維持できているでしょうか。
寝不足や人間関係のトラブル、ストレスなども含めていくと、心身を年間を通じて健康に保つことはかなりの無理難題であることがわかります。
モチベーションを維持することが不可能という前提に立つ
ここから得られる結論は、モチベーションの維持は不可能である、ということになります。
そこで、モチベーションを維持することが不可能、という前提に立って学習を行うことが必要となってきます。
そのために必要なのが、以下の記事でも書いた「習慣化」スキルになります。
学校現場においては、往々にしてモチベーションを高める行為に重心が置かれ、根性論や精神論で片付けられるケースが多いように思います。
しかし、精神的な要因を変えることは非常に難しいでしょう。
その観点からも、学習習慣を最小限作ることで学力向上を図りつつ、行動変更によってモチベーションを高めるという手法は理にかなっているのではないでしょうか。
つまり、既存のサイクル
モチベーション向上 → 習慣化 → 学力向上 → モチベーション向上
ここから
小習慣 → 学力向上 → 習慣化 → モチベーション向上 → 小習慣
のサイクルへ変更することで、走り出しのエネルギーを下げて循環効率を高めようという発想です。
モチベーションを始動エネルギーとして活用するのではなく、あくまで循環維持の潤滑油として扱う考え方、と言えます。
こうすれば、モチベーションが低い状況でも小習慣から始めることが可能であり、継続した学習が可能となるのではないでしょうか。
エビデンスが得られていない内容ではありますが、体感的には一定の効果が得られているように思います。
と、いうことで毎日noteを書くために、しんどい時はつぶやき、という小習慣を活用しています。