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プールの水で賠償の学校、採用試験日程誤送付で賠償無しの教育委員会
プールの水を出しっぱなしに大して賠償を求める
プールの水の管理ミスにより、かかった水道代を担当教員に対して賠償を求めるという対応を行うケースは毎年よく耳にする話です。
今年もまた、その事例集に神奈川県の新たな一例が増えました。
私は以前、ちょうど1年前に同じ記事を書いているようです。(毎日記事を書いているため、記憶があいまいです)
どうやら教育委員会という組織は業務上のミスについて、労働者である一教員に対して損害賠償を求める体質のようです。
教員という仕事に就く以上、こうした些細なミスを許すわけにはいかないという厳しい管理体制の結果でしょう。
こうして良き教員を育てているのですね。
とすれば、当然ながら教育委員会の自らのミスに対しても尚更厳しい組織なのでしょう。
なんせ、子どもの前に立つミスを許されない存在を管理する組織なのですから。
採用試験の日付ミス
事件の顛末は以下の通りです。
今月中旬に行われる東京都の教員採用試験の2次選考の案内で、都教育委員会が誤った日付と会場を記載したものをおよそ4900人の受験者に送ったと発表しました。
(中略)
教育委員会は7日、2次選考の案内を受験者6381人に郵送しましたが、このうち、4896人に対し、誤った日付と会場を記載したものを郵送したということです。
試験を前にした教員志望の受験生に誤った日時場所を伝えるだけでなくそれを郵送したため、郵便を再送することにもなったとのことです。
当然ながらこうしたミスはプールの件を見る限りでは、許されざるものであるのは明らかです。
郵送費だけでも約5000人に一枚当たりハガキで60円、合計で30万円の損害が発生しているでしょう。
これほどの大きな事故、担当者は当然賠償をするはずですが…
4 事故後の対応(1)8月8日(火曜日)午後5時、誤った通知をした受験者に対し、郵送した通知書の内容に誤りがあったこと及び正誤表(正誤表は別紙PDF [662.8KB]のとおり)について、電子メールにより周知した。併せて、同日午後8時、同内容を郵便で発送した。
(2)同日午後5時、「東京都公立学校教員採用ポータルサイト」に、通知書の内容に誤りがあったこと及び正誤表について掲載した。
5 再発防止策
今後このようなことが起こらないよう、各作業プロセスにおいて、複数人による再確認の徹底を図る。また、受託業者による通知書作成後、教育庁職員による最終確認を行う。
以上が東京都教育委員会のHPで発表した事故後の対応と再発防止策のようです。
川崎市と東京都の違いかもしれない
もちろん前者の事例は川崎市、後者は東京都ですから、もしかすると東京都では教員に賠償を求めない可能性もあります。
東京都立高校で15年、8日間排水バルブが開いた状態でプールに給水を続け、都に約116万円の損害が生じたケースだ。
都は注意義務違反にあたるとして、関係した教職員7人に半額相当の賠償を求め、全員が納付。この後、全額負担を求める住民訴訟が起こされ、東京地裁は訴えを棄却する一方、設備上の問題などを認め、職員の負担割合は「5割を限度に認めるのが相当」との判断を示した。
東京都でも2015年には半額程度賠償したようです。
プールの問題、もうやめませんか
教員の過失としてプールの問題は度々話題になります。
しかし、多くの小中学校ではプールの管理を少数の教員が行い、ダブルチェックなどの体制もとられていないようです。
そもそもそうした人員を配置できていない、タイマーなどの設備的予防措置を講じていない教育委員会にその責任の大半はあるはずです。
にも関わらず、教員の軽過失を理由として賠償をさせる制度は労働者を委縮させて、教員志望者の減少を招く行為でしかないのではないでしょうか。