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「60代男性が女子生徒の楽器や手鏡をく咥え、腹部を触る」に関する部活動や報道への雑感

「60代男性が女子生徒の楽器や手鏡をく咥え、腹部を触る」という事件が報道されています。

この見出しやリンク先のABCニュースの動画を見る限りでは、非常に悪質な事件で、いわゆる「変態」が部活動指導者として紛れ込んでいたような印象を受けます。

またそうした指導へのクレームに対して教頭は対応を拒否したというニュースも出ています。

ここまでの流れだけを見れば、「学校に変質者が入り込んで、その対応を教頭が拒否している」という事件像しか見えてきません。

しかし、最初にこのニュース記事を見た時から、学校の対応やその他に関してもそこはかとない違和感(特に「手鏡を咥える」という行為)を感じていました。

「古い指導法を無配慮に行う指導者と、大事にせずとりなしたい教頭」

ところが続報を見ることで、事件の全体像と当初に抱いた違和感の正体が見えてきました。

どうやら、この指導者は生徒の楽器を無配慮に咥え、実地で指導をしていたようです。

また、口の動きを説明するのに手鏡を使ったり、体を触ったりした指導を行っていたようです。

ここから見えてきたのは、「古い指導法を無配慮に行う指導者と、大事にせずとりなしたい教頭」という絵面です。

指導や対応に問題はあるが…

今回の件に関して、当然ながら指導者のやり方はあまりにも無配慮でデリカシーに欠ける行為です。

若い生徒から見れば老人である指導者が自分の楽器や手鏡を咥え、体に触れてくる行為は嫌悪感しか抱かないでしょう。

かつてはそうした指導が許された時期があったのかもしれません。熱心さゆえに行った可能性も否定はできないでしょう。

しかし、対象が嫌がっている以上、それはハラスメントでしかないということを理解することは必要でしょう。

また、教頭の対応もおそらくはそうした指導者の熱心さを知った上で、外部指導員として来てもらっているという引け目があったのかもしれません。

それゆえに、クレームをきちんと受け止めることができず、とりなす形で対応してしまった可能性はあります。

無料のものに品質を要求すべきではない

今回の件に関して、指導者や教頭の対応に問題があったことは間違いない事実です。

しかし、こうした部活動はあくまで「無料」で行われているものであり、その指導の細かい部分や品質、対応に関して要求を持つこともまた無理があるとも思うのです。

この事件の場合も納得いかない指導を受けているのであれば、辞める自由はいくらでもあったはずです。

もし、そうした指導方法や方針、品質に要求を持つのであれば、費用を負担して有料の講座やクラブに加入するべきです。

以前も書きましたが、無償であることによってスポーツや楽器という文化が損なわれている、と私は感じています。(詳しくはリンク先の記事で)

今回の件にしても、有料となった上で獲得競争が発生すれば、そうした時代に合わない指導法は淘汰できたのではないかとも考えられます。

また、今回の件にしてもそうですが事件を面白おかしく、あるいは猟奇的に表現し耳目を引こうとする報道の在り方にも疑問を抱きます。

少なくとも第一報のような報道のやり方は決してフェアな報道姿勢であるとは言えないように感じます。

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