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授業支援システムと校務支援システムやタブレットとPCは分離、併用した方が不便だが安心かもしれない
GIGAスクール、タブレットの導入により学校現場の業務は大きく改善しました。
成績の一元管理から公務分掌関係書類のやり取り、ログの保存などこれまで紙ベースと行われていたものやデータのやり取りで作成していたものに関しての効率は劇的に改善しています。
(もちろん学校や自治体によるのかもしれませんが、それまでと比較すると様変わりしたところが多いはずです)
しかしその一方でデータの管理のミスから外部に流出するケースが起こっているようです。
特にリンク先の記事あるような、教職員の内部での共有すべきデータが生徒に公開されてしまうケースは少なくありません。
学校という二重構造の組織
学校は通常の私企業とは異なる組織運営を行います。
具体的には教職員と生徒という立場の異なる集団が二重構造で組織を形成しているということです。
そのため業務支援システムを導入する場合に、常に保存場所や公開範囲を教職員限定か、生徒を含むのかを意識して利用しなければなりません。
リンク先の記事においても成績データなどの生徒に公開すべきでないデータが公開された状態になっていたということのようです。
一般的にこうしたシステムでは公開範囲を指定できるため、利用者がミスしない限りにおいては問題ないのですが、現実はそうもいかず往々にしてこうしたミスは発生しがちです。
タブレットとフォルダ形式の相性の悪さ
この原因はタブレットという端末の仕様によるものが大きいようです。
iPadの場合、基本的にファイルはアプリと紐づけがなされる仕様であり、ファイルが端末のどの階層に保存されるかがわかりにくい仕組みとなっています。
そのため、ファイル保存を行う際に保存先が公開フォルダか否かが見えにくい構造となっています。
タブレット側から保存先が見えにくい上に、基本的にアプリ側からしかファイルにアクセスできない仕様が保存ミスを誘発することになります。
特に授業と校務で利用するアプリが兼用される場合、こうした欠点は顕著になると感じています。
支援システムを分ける
こうしたミスを防ぐ物理的な工夫の一つが、支援システムを複数利用することです。
授業などで生徒の提出物やプリント、課題などの管理や連絡を行うシステムと、校務など教員間で利用するデータやウェビナーの管理システムを分離し、それぞれのデータのやり取りを区別するということです。
私の勤務校では生徒の学習管理用としてコロナ直後にGoogle Workspace for Education(G Suite for Education )を導入しました。
また、職員用としては以前からサイボウズを、近年はMicrosoft365を導入しています。
複数のシステムを利用する煩雑さはありますが、データの混入を防ぎやすいという点では悪くはない工夫だと感じています。
タブレットのみに依存しない
iPadなどのタブレット端末は非常に便利で、直感的に操作できる極めて優れた端末です。
しかし、先述のようにファイル形式との相性が悪く(というよりもそうした利用を前提として設計されていない)、データの管理には不向きです。
したがってタブレットを利用する場合も教職員はPCを併用することが望ましいように感じます。
特に校内業務のスリム化やオンライン化などICTを利用した業務改善を職員間で行う場合は、タブレットとの相性の悪さが露呈するようです。
iPad+Macbook or WindowsPCなどの利用によってフォルダ管理を行うことも必要でしょう。最近のiPadはフォルダ管理アプリがプリインストールされていますが使い勝手の点ではPCにはかないません。
使い勝手は下がるが
一つのプラットフォームや端末に絞れば、活用法が広がり利便性は向上します。
しかし、生徒と教員という立場、視点の異なる二者を管理する以上、セキュリティ的にも、ヒューマンエラーを避ける点からも複数の手段を準備し、常用する方が良いのかもしれません。