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【題未定】Audibleが捗り過ぎる【エッセイ】

 通勤時間に何をするかというのは現代人共通の悩みだろう。かつては車内で新聞や週刊誌を広げる背広姿を見かけることは常だった。時代は移り、令和の時代は車内のほとんどの人たちが手元の画面を注視している。

 彼らが読んでいるのはWeb記事なのか、あるいはマンガか、はたまたゲームかは不明だが、スマートフォンが暇つぶしの道具として最適であるという主張の強固な裏付け写真が撮れる光景であることは疑いようがない。

 その一方でイヤホン派も決して少なくない存在感を保っている。ウォークマンが世に出て45年になるが、イヤホンを用いた音楽視聴は国民習慣として定着した感がある。昨今はスマホを利用したポッドキャストやラジコなど、音楽以外も楽しむことができることもあり老若男女問わず愛用者は多い。

 とはいえそれは都市部の通勤風景である。翻って地方の通勤風景に目を向ければ、通勤者の圧倒的多数が自家用車を利用している。当然ながらスマホや本を運転中には利用できないため、車内での時間使い方は聴覚を利用したものに限られる。

 最近はスマホをカーナビに接続することで音楽やポッドキャストを視聴することができる。運転の煩雑さや、交通事故のリスクはあれどもある程度プライバシーの確保された空間でイヤホン無しに音楽等を聴くことができる時間は電車通勤とは異なり、通勤時間が趣味の時間とも成り得るだろう。

 私の通勤も多くの地方在住者の例に漏れず、自動車通勤である。それも1時間以上をかけての通勤だ。この時間を無為に浪費するのはもったいないため、聴覚を利用した様々なコンテンツを消費するようにしている。

 もともとラジオ放送は好んでいたし、音楽視聴やYouTubeなどの動画を保存して流すなど、その時期や興味に合わせていろいろなものを試してきた。そんな中でも最近頻繁に利用しているのがオーディオブック、Audibleだ。

 Audibleは通信販売大手のアマゾンが手掛けるサービスで、簡単に言えば書籍の読み上げサービスだ。Audibleに用意されている書籍であればプロの読み手が朗読するデータを聴くことができるというもので、月額1,500円でほぼ聴き放題で利用することが可能だ。もちろん書籍によっては買い切りのものも存在するが、かなりの数が聴き放題に対応しているため不足を感じることはほとんどないだろう。

 速度の調整も可能で、またプロの読み手が読んでいることもあって倍速近くにしても音つぶれが無く聞くことができる。一冊の書籍、小説の場合は通常で10時間前後で読み上げるため、1.5倍速で6時間程度であろうか。私の場合は毎日往復2時間の通勤時間、小説1冊が3日で読み切る計算になる。

 非常に便利なサービスであるが欠点もある。図解が必要な書籍、専門書などじっくり考える必要のある書籍には全くもって不向きだ。小説などの娯楽性の高いコンテンツか、手っ取り早く知識を取り入れるノウハウ本やビジネス書などに向いているだろう。

 また、この手のサービスはどうにも人を選ぶようにあるようだ。知人の数人に薦めてみたが、耳から入る情報では頭を整理できないというタイプの人間もいるらしく、視覚情報無しで読書は難しいという反応が半数近くになった。

 聴く読書サービスはこれ以外にもaudiobook.jpなども存在し、ラインナップの違いで住み分けしているようだ。またこちらの方がAudibleよりも幾分か安価に利用ができるそうだ。

 聴く読書は通勤だけでなく、運動中や料理などの家事中にも利用が可能であり、読書をする時間が無いと嘆く人にとっては読書をするきっかけをもたらす絶好の機会である。

 聴く読書の市場が広がれば、コンテンツの充実も進むはずであるので、ぜひ多くの人に利用をしてほしいと願う。まずは一度試してみることことをお勧めしたい。

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