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タブレットの更新を考えていない行き当たりばったりのGIGAスクール
やはり、というべきでしょうか、この問題がついに表面化してきました。
タブレットなどの学校利用の端末の更新費用です。
端末を買い上げ、貸与していた自治体
そもそも2020年のGIGAスクール前倒しはコロナ禍による緊急対応という題目が掲げられていたため、生徒支給に対して予算が別枠であてがわれていました。
当然ながらこの予算は通常体制に戻った時点でカットされることは自明であり、ICT関連に詳しい方の多くが学校のICT導入に関して、今後の継続性の足かせになるだろうと予測していました。
案の定ではありますが、更新費用や端末の耐久年数を考慮できなかった、あるいは考えたが無視して突っ走った自治体から悲鳴が聞こえてくることになったわけです。
端末は自己負担の原則
そもそも端末を自治体が買い上げて、個人に貸与するという制度自体が設計上のミスと言っても過言ではありません。
基本的にPCなどの端末は最新のハイエンドモデルであれば5年程度の性能的な優位さが存在します。
しかし、学校で配るようなローエンドモデルの場合、3年もすれば大半はただのガラクタと化します。
(Apple製品は例外ですが、そもそものイニシャルコストが高い)
持ち歩くという利用上の特性を考えれば、原則は個人負担、所有を原則とすべきだったのです。
ところがコロナのせいでその原則を日本全国で無視した結果が今回のトラブルを招いたということでしょう。
端末は文房具であるという認識
まずもって必要な認識は、タブレットなどの端末は文房具である、ということです。
鉛筆や消しゴムを学校ですべて準備するような自治体はあるでしょうか。
これと同様の扱いを原則とすべきです。
仮に忘れた人間に貸し出す端末がある程度準備してある、と仮定してもそれは日常的に利用するものではなく、あくまでも緊急用の予備機でしかないということです。
この感覚は実は教員側にとっても重要です。ICTの利用を目的とした授業を組み立ててしまい、再現性が無かったりするケースが多いからです。
つまり、端末を単なる文具と同等(費用はかなり高いようですが)として認識することは、生徒個人の使い方の自由といて点からも、教員の授業活用に関しても、組織の運用と費用対効果の観点からも重要と言えるのではないでしょうか。
過ぎた過去、失敗から得た教訓を生かす
ICT端末の導入に関しては、最初のスタートが補助金漬けになっており、それが継続性を奪う結果につながったようです。
コロナ関連の補助金がでる可能性が絶望的である以上、端末を生徒本人に買わせるBYADや、本人が自前の端末を持参するBYODに方針転換をすることは必然でしょう。
あとはその費用負担を全国の保護者にどうやって承服させるか、ここに最も大きな課題を抱えています。