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札幌市教員の学校内部資料置き忘れ問題に関する雑感
札幌市の学校内部資料置き忘れ問題
札幌市の市立中学校において、学校内部関係者のみが活用する資料が体育館に置き忘れられ、それが多くの生徒の目に触れたことが問題となっています。
このことに関して問題点を分けて私見をまとめたいと思います。
問題点の分類
今回のこの事件において問題視されているのは以下の3点になります。
書類を置き忘れた行為そのもの
書類の内容がネット上に流出したこと
書類に書かれた内容に関する是非
この問題はネット上の方々で話題になっていますが、残念ながらその多くは教員批判ありきであったり、あるいはネット流出に関わる責任問題であったりをごちゃまぜにして議論がなされています。
そこで今回は論点を整理して考えたいと思います。
1.書類を置き忘れた行為そのもの
まず今回の問題の最初の火種となったのは内部文書を体育館に置き忘れたことにあります。
このことに関しては教員側の責任は非常に重く、置き忘れた教員をかばい立てすることは難しいでしょう。
しかしこうした重要文書、特に外部に見られては困る文書の管理に関しては教員一人だけの問題ではありません。報道で上がっている話をそのまま聞く限りにおいては、こうした文書は教員個人に渡すべきではありません。
仮に会議等で必要であった場合は、会議後に破棄をするなどを徹底すべきでしょうし、ファイルの所在に関しては学校全体で管理を徹底すべきでしょう。
そう考えると、第一に教員個人、そしてその次に学校組織や管理職、管理体制の問題があると言えます。
2.書類の内容がネット上に流出したこと
書類の内容がネット上に流出したことは置き忘れとは別個の問題として考える必要があります。
流出の件に関しては書類を発見し、それを写真や動画に撮ってネット上に拡散した人間(おそらくは生徒)に責任があります。
問題となっている書類の内容がどんなものであっても、これを一読すれば外部へ拡散してよいものではないことは自明です。
それをあろうことかネットに拡散するなど、悪意を持って行ったとしか言いようがありません。生徒は未熟だから、や告発するつもりだったという主張は言い訳にもなりません。もし仮に問題意識を抱えたのならば周囲の大人、教員ではなく保護者に相談し、正式に学校に抗議すればよいからです。
3.書類に書かれた内容に関する是非
漏れ聞こえる限りではありますが、この内部文書に書かれている内容は決して品の良い類の情報ではないようです。書かれている本人が見れば不快に感じるような表現も混じっているということです。
ではこうした文書を作ることが「悪」であると断罪できるかというと、これもまた難しいでしょう。もちろん表現の適正化はすべきですが、多くの企業ではこうした顧客対応に関わる情報はマニュアル化していると聞きます。
今回の学校の事例もこうした内部文書を作ること自体は問題はないでしょう。ただ、その表現には気を払うべきですし、万が一に流出した場合に備えた書き方にしておくべきだったかもしれません。
紙ベースの欠点という根本的な問題
私は自身の勤務校においてこうした保護者対応マニュアルなどは見たことがありませんが、仮にこうしたマニュアルやデータベースは一度作成してしまうと、特に文書化して印刷をしてしまうとその秘匿性を担保するのは非常に困難です。
今回の事例には多くの反省点があるのは事実です。情報管理や諸々の問題は否定が出来ないでしょう。しかし根本にあるのは紙ベースの情報管理がこの状況を引き起こしたということです。
仮に、データ化してICTで管理することが常態化していれば今回の事例は防げていたかもしれません。iPadなどの端末をセキュリティと紐づけていれば外部流出は可能な限り防げるからです。
会議資料やデータに関してはクラウド化し、端末に保存しないような管理を行えばこうした問題が起こる可能性は低いはずです。
今回の事例が形だけのICTの普及から、活用というステージへと進むきっかけになることを切に願います。