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「教員業務支援員」に実効性はあるのか?
中教審の緊急提言
教員採用試験の倍率の低下、中途退職の増加、産休病休代替職員の未確保など、日本中の公立学校では教員不足が問題化しています。
そんな中、中教審の特別部会が文科省に提言書を提出しました。
具体的には、「登下校対応」や「校内清掃」「休み時間の対応」など14の業務について、地域やスタッフなど教員以外への分担や負担軽減を進め、年間の授業時数が国の標準を大幅に上回る1086コマ以上の学校は来年度から見直すこと、学校行事は重点を置くものを選び、準備も簡素化することなどを盛り込んでいます。
現場教員からの指摘
こうした動きを評価する声がある一方で、批判的な声も存在します。
緊急提言が教員業務支援員や副校長マネジメント支援員の配置など、予算が必要な対策を盛り込んだ点について「お金をつけようとしているのは評価できる」とした。
中略
中教審が4年前に打ち出した、教員の業務を「学校以外が担うべき業務」「学校の業務だが、必ずしも教師が担う必要のない業務」などに分けて外部化を進める「3分類」の徹底を提言が求めたことについては、「奨学金の窓口業務やPTA会費の徴収など、教員がやらなくてもいい業務がまだ山ほどある」と指摘した。
「3分類」の内訳と実効性
業務の3分類は以下のようなものになります。
「学校以外が担うべき業務」
「学校の業務だが教員が担う必要のない業務」
「教員の業務だが負担軽減が可能なもの」
これらを詳しく見ていきます。
1.「学校以外が担うべき業務」
まず1の「学校以外が担うべき業務」に関してです。この中身は「登下校対応」、「放課後の見回り、補導時の対応」、「給食費などの徴収」、「地域ボランティアとの連絡調整」などだそうです。
これらは明らかに学校外の業務であり、教員の業務に当たらないことは明白です。
もちろんこれを教員の仕事だと勘違いしている人はいるでしょう。しかし、
明らかに時間外勤務を前提とする業務内容であり、教員の職務を超えているのが分かりやすい例でしょう。
これを業務委託するためには、システムよりも教員の業務ではないことの周知が必要です。
なぜならば多くの人はこれを教員の業務であり、クレームを学校に入れるケースが多々あるからです。
周知、広報まで含めた教育委員会の活動は不可欠です。
2.「学校の業務だが教員が担う必要のない業務」
次に2の「学校の業務だが教員が担う必要のない業務」についてです。
おそらくは「教員業務支援員」の主業務はここになると想定されます。
「調査などへの回答」、「休み時間の対応」、「校内清掃」、「部活動」について調査は言うまでもなく教員以外で対応は可能です。
しかし「休み時間対応」や「校内清掃」に関してはどうでしょうか。
確かにしなくとも問題ない業務ですが、担任業務における生徒の人間関係把握や積極性や奉仕精神などを見る場面としては重要な意味がある業務でもあります。
「部活動」に関しては地域移行が進んでいる地域もあるようですが、いまだ道半ば、しかも教育としての側面を重視し、教育に丸投げしたいというニーズは強いようです。
つまり、これらの業務は地域や社会が学校に対して学業教育以外を強く求める限りは業務として請け負わざるを得ない、ということです。
3.「教員の業務だが負担軽減が可能なもの」
3の「教員の業務だが負担軽減が可能なもの」には「給食時の対応」、「授業準備」、「学校行事の準備・運営」があげられています。
ここに関しては1人担任制から複数担任制へ、受け持つ授業時数の削減、行事の選別などが必要となります。
結局のところほとんどは教員不足では対応が難しく即効性は低いでしょう。
ニーズとの乖離
結局のところ、世間が求める学校や教員の業務の多くが「支援員」でもできることではあり、教員しかできない授業などに関心が低いということです。
そして世間や保護者の多くは「支援員」でもよい業務ほど「教員」にしてほしいというニーズを抱えているということです。
こうした乖離はここ数十年かけて学校文化が作り上げてきたものであり、大きな失敗でもあります。
もはやこの失敗を小手先で修正するのは難しく、「教員業務支援員」という小技で解決できるほど甘い問題ではなくなっています。
もういっそのこと、6‐3‐3制からすべて一度壊してしまった方が良いのかもしれません。
学校制度や認可制なども再定義しなおさなければ、この国の教育を変えることは難しいのではないでしょうか。