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学校配布タブレットによる盗撮事件を「情報モラル教育を徹底していく」でまとめる武蔵野市教育員会の的外れ感
東京都武蔵野市の市立小学校で昨年末、男子児童が、学校配布タブレット端末を利用して女子児童の着替えを盗撮していたという事件が発覚しました。
これとは類似している事件として、一昨年に職員室の会話を盗聴したという事件も発生しています、
こうした事件について私見を述べていきたいと思います。
タブレットが子供の犯罪を誘発している派
この手の事件が起こるとよく言われるのが「タブレットのような教育に不要なものを持ち込ませているから、事件が起こるのだ」という主張です。
彼ら曰く、かつてはそうした事件は起こっていなかった、タブレットは犯罪を誘発する道具なのだ、ということのようです。
確かに、タブレットが存在しない学校においてはタブレットを用いた事件は発生しないでしょう。「タブレット」を用いたものは、です。
彼らの思い描く理想の社会とは異なり、子供たちの多くは携帯端末、スマートフォンを個人で所有しています。
したがって、仮に学校でタブレットが配布されていなかったとしても盗撮をしたい人間はスマートフォンを利用して行うでしょう。
さらに言えば、スマートフォンの方が小型で隠しやすいため、むしろ発覚が遅れた可能性さえあるでしょう。
つまり、彼らが今回の犯行を行ったことに関して、タブレットという機械の問題ではなく、あくまでも内面の部分に注目をすべきであるということです。
「情報モラル教育」の徹底で解決するか?
では彼らに足りなかったのは武蔵野市教育委員会の語る情報モラルの不足から起きたものなのか、ということが問題になります。
そもそも情報モラル教育とはそもそも何でしょうか。
情報モラルの具体例
・人権・知的財産権などの権利を尊重して情報社会での行動に責任を持つこと
・情報を正しく安全に利用できること
・情報機器の使用による健康とのかかわりを理解すること
これは肖像権や知的財産権を尊重したり、安全に利用することを目的とした倫理規範で、情報化社会や端末を利用するにあたってこれまでの社会や常識では拾いきれない権利侵害や被害に関して認識しよう、という概念、考え方です。
さて、今回の盗撮はこの範囲に入るでしょうか。
仮に仲良く取った写真をSNSで拡散してしまった、といのであれば情報モラルの問題と言えるでしょうが、今回の盗撮の場合はタブレットやスマホ、インターネットとは全く別個の問題としての単純な性犯罪なのです。
ネットに繋がっていないカメラを仕込んで撮影をする問題と同根であり、根本にあるのは性的な衝動と抑制や犯罪意識の低さなどのはずです。
どうしてこの問題で情報モラルを持ち出すのか、理解に苦しみます。仮に教育委員会が今回の件を情報モラル問題だと認識しているとすれば、そもそも情報モラルという用語自体の理解が浅い、ということになるでしょう。
学校内における犯罪の取り扱い
学校内におけるこうした犯罪行為に関して、これまでは学校組織内だけで解決(隠ぺいとも言えますが)をするという慣習がこれまではまかり通ってきました。
今回の問題を情報「モラル」という言葉で矮小化しようとするのもそうした価値観の表れなのかもしれません。
しかし、もはやICTの普及によって学校の内外を分ける壁に穴が開き、ある種の治外法権制度は崩壊しました。
この盗撮事件に関してもまずは被害者の保護を、そして加害者に関して適切な罰と再教育を行うためにも、外部機関との連携ではなく外部機関が中心となって解決を図る必要があるでしょう。
今後の動きに注目をしたいと思います。