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高校生の電子決済アプリ詐欺はスマホでもアプリでも学校の責任でもない

鹿児島県内の公立高校で多数の生徒が電子決済アプリを使って、第三者から不正に送金させていた疑いで事情聴取を受けているというニュースを見かけました。

手口としては、存在しないポイントアップキャンペーンを装って電子決済アプリの残高を送金させたというものです。

今回は特定の学校の生徒で関係者が多数存在するということで、学校を非難する声もあるようです。

学校の責任はない

まずそもそも論として、この事件において現在判明している情報を見る限りにおいては学校は一切関係ありません。

学校で犯罪を助長するような活動をしたわけではなく、あくまでも学校で知り合った人間とそのつながりをもとに犯罪を起こしたに過ぎないからです。

仮に、特定の部活動や集団が犯罪集団となったいたにも関わらず、あえて黙認しているような態度を取っていた場合であれば別ですが、どう考えてもそういった情報を現状では読み取ることは難しいようです。

一般にこうした犯罪が起きると学校を非難、批判するケースが多々見られます。

もちろん、学校内での暴力行為などの「いじめ」であれば別ですが、今回のようにオンライン上でのやり取りで犯罪を行えるような場合は学校や施設の管理者の責任を問うことはあまりにもナンセンスです。

スマホやアプリの責任はあるか

またスマホや電子決済アプリなどの責任を追及する人もいるでしょう。

現にYahoo!のコメント欄にはそうした意見も散見されています。

しかし、これもまた無理筋です。

スマホによって多くの人とつながり、子供であっても多様な情報に触れることができるようになったことは確かに犯罪を行うだけの知識や環境を手に入れるきっかけであるのは事実です。

しかし、そうした可能性はスマホを持つすべての高校生に存在するリスクであって、しかも大多数の生徒は犯罪行為に手を染めることはありません。

アプリの仕様にしても送金システムは個人間の金銭のやり取りやまとめて支払うなどの利便性を考えて実装されたシステムであって、悪用をすることは前提としていません。

さらに言えば、いかなる機械やシステムも悪用をすることは可能です。包丁は料理をする道具ですが、人間を傷つけることが可能であるゆえに刃をつぶすようなことをしないのは当然です。

悪用はどんな方法でも可能であり、仮に悪用を完全に防ぐシステムが仮に存在するのであれば、それは極端に利便性を無視した無用の長物にしかならないでしょう。

責任の大半は本人と保護者にある

今回の事件において、判明している部分だけで考えれば明らかに本人や
保護者に責任があります。

スマホや自由に使える環境を与えたのは保護者ですし、この事案が詐欺であることを教育する責任も保護者にあります。

また、いくら未成年とはいえ嘘を言って他人から金銭を巻き上げる行為を犯罪であると判断できずに実行してしまうのは本人にも大きな責任があるでしょう。

よく見られるのが学校はどうして生徒を教育していないのか、という批判ですが、成人に近い年齢の生徒に詐欺行為で金品をだまし取ることは犯罪であると教える行為は教育というレベルのものではなく、家庭のしつけの範疇でしょう。

他人事ではない

私にも子供がいるため、何らかの事件が起きるたびに子供が被害者、加害者の両方になる可能性があることを意識します。

彼らには犯罪であることを話し、説明し、教育を行っているつもりではありますが、それがきちんと彼らの頭の中に入っているのかを確認するすべはなく今回の事件も他人事ではないと感じます。

だからこそ子供が加害者(もちろん被害者にでもですが)にはならないように、家庭で教育を行うことの重要性をこうした事件を見るたびに痛感するのです。


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