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不登校対応の公立校を全国に設置するという縦割り行政が大阪からスタート
不登校対応公立校
大阪府教育委員会は不登校生徒が特別なカリキュラムで学べる「不登校特例校」を公立高校として全国に先駆けて設ける案を発表したというニュースを見かけました。
この計画の中には、生徒らが登校しなくても学習支援を受けられる「バーチャル空間」の設置も検討している、と記事にはあります。
こうした試みをすること自体は決して否定できるものではありません。
事実、不登校の生徒は年々増加傾向にあります。
昨年度の小中学校の不登校の生徒は30万人とも言われています。高等学校でも6万人とも言われており、この問題に関して何らかの手を打つ必要があるのは間違いないでしょう。
不登校の解決は「登校できる」状態へ戻すことではない
まず不登校の問題点に関して私のスタンスを述べると、私自身は「学校に通っていない状態そのものは問題ない」、と考えています。
ただ、一般的には学校に通わない状況において、学習を継続できるケースはほとんど存在しないため、学齢に合わせた学びの環境を提供し、最低限の教育を受けた状態で卒業年齢を迎えるということがこの問題の着地点であろうと思います。
つまりオンラインであろうと学びの継続性が担保されていれば問題はなく「学校に投稿できる状態」へ戻す必要は必ずしもないということです。
その立場で考えたとき、一般的には今回の大阪府の案に賛成をしそうにも見えますが、正直なところこの大阪府の案には賛成できかねません。
全国に数多ある「通信制高校」
仮にこの問題が小中学校であれば、そうした不登校生徒の「場」を提供するために行政が取り組むことに対してもう少し賛成できたかもしれません。
しかし、高校の場合にはすでに「通信制高校」が全国に数多く存在し、それらに通っているケースはもはや特別なことではなくなりつつあります。
そうした学校ではスクーリングとオンライン指導を駆使して生徒の学びの質を担保したり、多様な経験の場を提供しており、すでに行政が入る余地がないほどにノウハウの蓄積が為されています。
どうして今さら、2023年になってこうした行政が直接行う方針を打ち出す必要があるでしょうか。
既存の学校への金銭的補助や活動に関する特例の認可などを行えばよい(また質の確保のために許認可権とライセンス制度を導入すればよい)のに、直接行政が行い無駄なコスト体質を作ることが理に適っているとは到底思えないのです。
加えてこうした例が一つできると、雨後の筍のごとく全国の自治体に猿真似が発生します。
そもそもオンラインであれば都道府県などの地域で区分けをする必要もなく、ローコストで運営できるはずのシステムに税金を無駄遣いする目的以外が私には見えません。
(ちなみに小中学校においてもすでにオルタナティブスクールが全国に存在し、そうした団体への支援を拡充するのが先だと考えています)
今回の大阪府の施策は明らかに人気取り以外の要素しか見えてこないのは私の気のせいでしょうか。
この轍を他の自治体が踏まないように願うばかりです。