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プールの水を個人賠償させる川崎市の出張旅費の不正受給について考える


出張旅費の不正受給

神奈川県川崎市の学校教員の出張旅費不正受給問題が話題になっています。

川崎市立の小中高校などの教職員136人が自家用車などを使って出張したのに、公共交通機関を使ったとして旅費を不正に受給していたことがわかった。

136人が自家用車を利用して、公共交通機関の旅費を受け取ったということです。

この事件を一見するだけだと、多くの教員が不正に手を染めあくどい小銭稼ぎを行った、教員の質が下がっている、という印象を持つ人も多いのではないでしょうか。

教員の出張の実態

私が勤務する私学の場合、必要であれば自家用車使用願を出せばそれを利用しての出張も妥当性があれば認められることがほとんどですが、多くの公立学校においては自家用車の利用を認めていません。

そのため、公立教員の多くは公共交通機関を利用して出張に行くことになります。

これは都会の方には分かりにくい部分もあると思いますが、地方における公共交通機関を利用した移動は非常に不便です。

教員の出張は家庭訪問や校外学習の下見などがまずは考えられますが、多くの場合、その目的地は公共交通機関の便が良い場所ではありません。

また通勤、通学時間帯ではない時間に出張をするケースが多く、バスの本数も限られています。

地域によっては朝夕の2本という場所も存在するのが実情です。

そんな場所へ行くのにどうして公共交通機関を使う人がいるでしょうか。

公用車の無い学校

そうした不便な場所への業務は役所の職員なども同様に考えられます。しかし役所と学校で大きく異なるのは公用車の有無です。

役所の場合、そうした不便な場所や時間のかかる地域への移動は公用車を利用しているようです。
(ちなみに私の勤務校は公用車が配備されているため、遠方への出張にはそれを利用します)

しかし多くの公立学校においてはそうした公用車も存在しません。そのために現場教員は自家用車を利用しているということになります。

問題になっている教員のほとんどは費用をちょろまかすことを目的として自家用車を利用したのではなく、現実的な時間や手間を考えて自家用車を利用していたのではないでしょうか。

不正受給教員への処分

今回の事例に対し川崎市は、3回以上の職員は戒告処分それ以下の場合は訓告処分としています。

一方でこうした事例が頻発したことから、次年度からは自家用車利用を認める方向性で規定を変更する予定としています。

しかし実際には事前申請制のような形になる予定のようで、どこまで実効性があるかは不明です。

これに関しては、こうした実態を放置し続けてきた教育委員会の責任は重く、現実とは乖離したルールを教員側に押し付けてきた責任があるのではないかと感じます。

教育長などは給与自主返納とする予定のようですが、それは他の案件を加重したもののようです。

個人的には今回のこの事例に関して、現場教員に戒告を出すのならば教育委員会は自身により厳しい処分を課すべきだと感じています。

なぜならば、教育委員会の中の半数は現場教員であり、そうした実態があることを知っていながら放置してきたからです。そしてこれは当該校の校長などの管理職も同様です。

確かに現場での事情に合わせてルールを破った教員の責任は否定できません。

しかしそれを放置してきた人が、あたかも気づかなかったような体で見かけ上の処分だけで済まされるのはどうにもすっきりしないのです。

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