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神戸市小中学校のクラス担任複数交代制は働き方改革の決め手と成り得るか。
先日、神戸市教育委員会が小中学校のクラス担任を複数で交代する制度を導入すると発表しました。
記事にもあるように、複数の教員が定期的に交代しながら、順番に担任となって指導し、クラスを運営するという仕組みのようです。
こうした改革はもともとは働き方改革の一環から生まれたものでしょう。ところが、その副次的な効果として、生徒側にメリットも多いように感じます。
教員側のメリット・デメリット
教員側のメリットとしては、固定されたクラスを持たないことで年休や病休の代理を立てやすいことにあるでしょう。
そのクラスを持った教員がいることで、不在時にもトラブルが少なくて済むと考えられます。
また、学級王国を作ることを防ぐことが可能でしょう。担任が一人で学級を受け持つと、悪意は無くとも独りよがりな運営をしがちになります。
また、クラスという視点から学年全体へと視野を広げることで学年や学校単位での活動に目が向きやすくなるのではないでしょうか。
一方でデメリットも存在します。
責任の所在が曖昧になりやすくなるでしょう。生徒の情報や保護者とのやり取りの内容に関する伝達をいかにスムーズに保つかが問題となります。
これまでのように会議や学年会を開いて共有するシステムのままでは、むしろ労働時間は際限なく伸びてしまうでしょう。
ICTなどによる記録を活用して、時間差で共有できる工夫を取り入れることは必須と言えます。
生徒側のメリット・デメリット
生徒側のメリットとしても、人間的に相性の悪い担任との接触を減らすことができるところでしょう。
これは教員側にもあてはまりますが、立場上生徒側のほうがより深刻な問題でもあり、それを回避できるというのは不登校の減少やストレスの軽減につながるはずです。
また、逆に依存的になり過ぎるのを防ぐことが可能です。
担任と生徒の関係で、生徒の中には大人に対して依存的になりやすい傾向のタイプが存在します。
そうした生徒への自立を促す効果が高いこともメリットでしょう。
デメリットとしては、逆に合わない担任にと接触する可能性や機会が増えることでしょう。
また、担任の方針や教育観に振り回されることがあるため、適応が難しい生徒が出るかもしれません。(それも良い経験と言えばそうなのですが)
「定期的」に交代「期間」
この改革において最も重要な要素は「定期的」というその「期間」にあるでしょう。
毎日担任が交代する、1週間ごと、1か月ごと、学期ごと、どういった期間で実施するかで全く効果が変わります。
生徒側からすると、「1か月」というのは合わない相手が担任となるのは精神的にきついでしょうし、学期ごとならばなおのことでしょう。
また、気持ちや切り替えを必要とすることも考慮する必要があります。
高等学校の方が先行して進めるべき
こうした担任交代制は、小中学校よりも高校のほうが進めやすいかもしれません。
そもそもが教科はすべて担当者で変わりますし、選択教科も多いため、固定化された担任の存在感が薄いのではないでしょうか。
私自身、クラス担任制が必要なシステムか、ということに関しては常に考え続けてきました。
まずは神戸市のこの取り組みとその結果に期待したいと思います。