【蔵出しその1】国宝盾無鎧公開(2019年8月)
新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、各地に緊急事態宣言またはまん防止等重点措置が出されているため、国宝巡り・お城巡りに出掛けられない日々が続いており、noteの更新もままなりません。
もう暫くは我慢の日々ということで、過去の写真や記憶を頼りに思い出を綴っていこうと思います。
思い出の蔵出しシリーズ第1回となる今回は、国宝の中でもなかなか公開されることの少ない、山梨県菅田天神社の通称「盾無鎧(たてなしのよろい)」を見に行ったときのことを書こうと思います。
このnoteを書いている人:
sho
日本の歴史・文化・自然・世界遺産、国宝、(続)100名城、日本遺産、建築、町並み、旧街道、映画、日本酒、折り畳み自転車などに興味があります。京都/奈良/横浜/鎌倉/江の島などなど…。
■盾無鎧とは
盾無鎧、正式名称、小桜韋威鎧(こざくらがわおどしよろい)は、甲斐源氏の始祖と伝わる新羅三郎義光以来、武田氏に重宝として伝来する鎧です。
武田信玄の時代に菅田天神社に奉納され、武田勝頼が長篠の決戦で敗れた際に家臣がこれをもって逃れ、向嶽寺の杉の木の下に埋めたものを徳川家康が掘り起こして再度菅田天神社に納めたものとの言い伝えがあります。
■前回公開は2013年10月
この鎧はなかなか公開されることがなく機会を伺っていましたが、2013年10月に「第28回国民文化祭・やまなし2013」で公開されることになり、これは千載一遇の好機と思い、その日が来ることを楽しみにしていました。
盾無鎧の公開は10月25日から27日の予定でしたが、台風が接近していたため、10月23日には公開の中止が決まってしまい、私は大いに落胆しました。
盾無鎧の公開については、国宝愛好家が集まる掲示板でも話題となりました。下記10月22日の「おやちょう」は私の投稿ですが、台風のことを心配していたことがわかります。
公式ホームページにも公開中止が記載されているのでもう諦めるしかありません。しかし、10月27日の昼過ぎにこちらの掲示板を見たところ、天気が回復したため27日だけは公開することが急きょ決まったとのことです。
朝早くから掲示板を見た人は、急ぎ菅田天神社に駆けつけ、目的を果たすことができたようですが、昼過ぎに公開に気づいた私はまたしても諦めるしかありません。二重に悔しい思いをしました。
■その知らせは突然に 2019年8月公開
その後なかなか公開される様子がなかった盾無鎧ですが、2019年8月に公開されることが決まったとの情報が入りました。しかも、平日にたった1日だけの公開です。
この日私はかなり重要な仕事があり終日休暇を取ることは難しかったので、午前中だけ休暇を取り、朝一番で八王子駅で新型の特急に乗り甲州市に向かうことにしました。
甘草屋敷や向嶽寺に行ったことがあるので塩山駅を利用したことは何度かありますが、菅田天神社に行くのは初めてのことです。
本来は神社南側が正面入り口(上の写真の下部にある矢印の方向から入る)ですが、初めて来た私はそんなことは知らずに、上記写真の右にある矢印の方向から境内に入りました。
境内ではNHKの撮影クルーがカメラの設定などの準備をし、また、地元ケーブルテレビ局の人たちも打ち合わせなどをしながら準備に余念がありません。これはなかなかのニュースだと、私も胸が高鳴ります。
暫くして社殿の門の前に待機するよう案内がありましたが、幸い1番前の列に並ぶことが出来ました。
待機中は周りの方と、国宝に関するお話をいろいろとしながら時刻を待ちます。また、このころになると、普段SNSでやり取りしている国宝仲間の皆さんも列の後ろの方に並んでいるのが見えました。
■盾無鎧の前へ
やがて公開の時刻となり、収蔵庫の前に向かいます。その際にはNHKカメラに向かってカメラ目線を送ることは忘れませんでした。
収蔵庫の前では一人当たりの持ち時間は1~2分でしたでしょうか(はっきりとは覚えていません。)、私はスマートホンとカメラの両方で撮影し、さらに自分の目でしっかりと盾無鎧の姿をとらえました。
その姿はさすがに古く、保存などは大丈夫かという心配もありましたが、それだけに重厚さや時代の重みを感じました。
その後SNSでやり取りしている国宝仲間の身さんと暫く談笑し、午後からの仕事のために急ぎ塩山駅に向かいました。
■最後に
なかなか公開されることのない国宝盾無鎧を6年越しに鑑賞することが出来て大変感慨深い思い出となっています。
なお、その日の夜は、テレビカメラに視線を送ったことを確認しようと、NHKの関東甲信越地方のニュースに大いに期待していましたが、ニュースは小泉進次郎議員と滝川クリステルさんの婚約の話題で持ちきりでした。
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※菅田天神社の上空からの写真はgoogle mapを活用しました。