認めることではじまる「承認欲求」のゆくえ
誰しもが「他者に認められたい」と常日頃から思うものだ。
「人間は息をひきとるまで生涯をかけて、私を認めてくれ、私を認めてくれと、声なき声で叫びつづける可憐な生き物なのだと思われる。」
(谷沢永一著「人間通」より)
ひとはそういう生き物であって、それはなにもおかしくない。
今日2018年2月16日(金)、全国公開となった映画『グレイテスト・ショーマン』。
職場でも上映するので"映画館スタッフ"の特権を行使して公開前日に鑑賞したんだけど、作品の要素としてこの【承認欲求】が大きく関わっていたのでネタバレのない程度に個人的考察を書いていく。
映画『グレイテスト・ショーマン』にみる、ヒトの承認欲求
公式ウェブサイトのあらすじがこちら。
主人公バーナムは貧しい生まれで虐げられながら幼少期を過ごしたことから裕福になってからも、より多くの人から認められることを望むようになる。
さらにあらすじの中の「オンリーワンの個性を持つ人々」というのが、肌の色や体に少し特徴があることで疎まれ、居場所もなく過ごしていた人たち。
そんな彼ら彼女らが、主人公バーナムと共にショーを展開。観客を沸かし、輝ける居場所を確立していく。
そんなストーリーの中でも「他者に認められたい」という欲求が、すごく大きな展開をもたらしていた。
承認ベクトルの逆転
この映画を見て、なるほど!と感じたのが「承認ベクトルを逆転してみる」ということ。
「他者⇒自分」に向いたベクトルを「自分⇒他者」にしてみる。言い換えると「他者に認められたい自分」から「他者を認められる自分」へ転換。そして他者を認めることができると、他者から認められていることを意識できるようになり、認め合いの関係ができる。その結果【承認欲求】だったものは、自分で自分を認める【自己承認】に繋がるのでは。というもの。
考察のまとめ
まとめると、ざっくりこんな感じ。
①他者に認められたい【承認欲求】
②承認ベクトルを逆転し、他者を認められる自分へ
③他者に認められていることに意識が向く
④相互で認め合う【相互承認】の実感
⑤自分で自分を認める【自己承認】へ
これは作品の登場人物ほぼ全員に共通する部分でもあって、それぞれが各々の【承認欲求】を持っていて、他者を認めるようになることで、【相互承認】になり、【自己承認】へと昇華されていく。
主題歌の『THIS IS ME』というタイトルにも、それが集約されている。
「これが自分だ」「ありのままの自分でいいんだ」という、歌に込められたメッセージこそ【自己承認】そのものだったということに気付かされた。
作品のメインテーマは『愛』なんだけど、認め合うことでそこに繋がっていく過程が、酸いもあまいもぜーんぶ含めて素晴らしい物語として紡がれていた。
上映期間中に、もう一度観よう。
豊岡劇場でも絶賛上映中
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