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Manager Modeは平凡の温床

最近Brian CheskyのFounder Modeについてのコメントがバズってますが、自分について振り返ることにしました。
(具体的にはこちらからどうぞ:https://paulgraham.com/foundermode.html

JammではManager Modeの時期がありまして、少し前にFounder Modeを発動し、チームの動き方を変更しました。

本noteも偏見まみれで、自分の経験からしか話していないので、一意見・事例程度に解釈していただけると幸いです。


(前段)Founder Modeとは

Manager Modeの対比としてFounder Modeが挙げられているのですが、自分的な解釈だとFounder Modeは「権限移譲なんてガン無視して、ハンズオンモンスターになってやるべきことを進める」と理解してます。
Manager Modeはキレイな教科書に載っているような「権限移譲・モニタリング体制・現場の説得」で進めるようなマネジメントスタイルです。
Founder ModeはElon MuskがTwitter (現X) で進めていたような、超ハンズオンでマイクロマネージして、意思決定しまくるようなスタイルです。

Founder Modeは現場の恐怖?

「今は任せてもらえているけど、うまくできていなかったらFounder Modeが発動して、モンスターのようにぐちゃぐちゃにされてしまう…」
このようなマネジメントスタイルでは心理的安全性が損なわれる、という意見もあると思いますが、個人的には適切な牽制だと思ってます。

気付いたら自分の管掌範囲が三分の一になっていた…
プロダクトロードマップを書き換えられた…
過去の仕事ぶりを確認され、評価が下がってしまった…
(これらは実際Jammにて発生したことです)

一度Founder Modeを食らったメンバーはそれなりの恐怖を感じると思いがちですが、実際Jammで起こったのは以下でした。
Founder Mode発動後、High Performerは格段にいきいきしており、平均的なメンバーは少し恐怖を感じてそう、という状況です。

Manager Modeは平凡の温床

悪い意味で大企業慣れしてるManagerは低リスクのロードマップを引きがちで、メンバーにも想定内の動きをしてくれて、方針についてどうこう言わなず、ゆっくりでもいいから着実に実装するメンバーを高く評価する傾向にあります。

スタートアップにとってこれは最悪です。現場のリスク水準が会社に期待されている成長に見合っていないため、中長期的に必要な爆発的成長が達成できません。VCはスタートアップへの期待として100xの成長を想定しており、このようなrisk appetiteでは達成できません。

High Performerはもっとリスクのある意思決定をし、がんがんやりたいことを進められる環境が好物です(多分)。少なくともそういう考えでスタートアップに入社しているはずです。

権限移譲はするけどFounder Modeを振りかざす

ベースとして意思決定の権限移譲はしていますが、以下のケースにおいてJammではFounder Modeが発動します。
発動条件①:時間がなくて、チームアウトプットの質が低い
発動条件②:中長期を見据えた大きな変更(10Xのようなもの)が必要な状況で、現場メンバーにはその判断ができなそう

発動条件①:時間がなくてチームアウトプットの質が低い

これはしょうがないです。時間内にできる限り最高なものを作り出す必要があるので、チームがだめならFounder Modeを全開にして、現場に入りまくりましょう。

自分もTestでのBug探しなどはチームに任せにせず、自ら起票しまくってます。Bug起票数は自分が一番多いですし、今後も起票数No.1を目指して起票しまくります。
Founderが一番質にこだわることはどのフェーズのスタートアップであっても重要だと思ってます。

発動条件②:大きな変更が必要でチームには判断できない

放っておくと、チームは漸進的な改善ばかり進めるようになり、product roadmapに沿って機能を改善します。弊社はまだ10人以下の規模ですが、どの規模の組織でも発生する問題だと思います。

中長期を見据えると大きな発想の転換だったりが必要だったり、誰もやりたくないような痛みを伴う意思決定も必要だったりします。
このような重大な意思決定は肌感として大体3ヵ月くらい遅れてしまうケースが多く、「半年前にこうしておけばよかった…」と後悔するものなので、早めに動くことが重要です。

Jammのプロダクトでも機能追加に少し時間がかかりだしたタイミングがあり、「なんかおかしいかも?」と思ってから死ぬほどハンズオンでコンテンツに入りまくりました。

いきなりFounderがめちゃくちゃコンテンツに入り込みます。メンバーに死ぬほど質問をして「なぜvelocityが低いのか」「何をしたらvelocityが上がるのか」等をwar room形式で全員一つの部屋に集めて議論しまくります。

この際は重めの意思決定が必要そうだったので、Founder Modeを発動し、ごりごり進めることにしました。
重い意思決定は現場に任せていたらできません。実行できるのはFounderだけです。

JammでFounder Mode発動したらどうなったか

そして数か月前にFounder Modeを発動させた際にはこんな感じでした。

まず大きな意思決定としてチームの組織体制を完全に変えました一部のマネージャーは管掌範囲を大幅に狭められ、結構ざわつきました。(劇薬なのでおすすめはしません)

そして大規模のリファクタリングを2ヵ月で行うこと意思決定しました。単に現存コードを修正する形ではなく、アーキテクチャーを根本から見直しました。
大きい変更はこんな感じです:
・JavaからGoに言語を変更
・Internal CommunicationをRestからconnectRPCに変更
・temporalを使用してbusiness logicを一箇所に集約したevent driven architectureに変更
「え?二ヶ月で?」と驚愕するメンバーもいましたが、強行しました。

①ついてこれない人が出てくる

しょうがないです。

②High Performerが自由を得る

Managerを通してじゃないと意思決定できなかった事項が、さくっと決まります。

「中期的成長を考えると、今これをやるべきだと思います!」→「どうぞー。あなたが責任者です!」
Founderはマネージャーではないので、このような意思決定について全ての責任をとれます。マネージャーはこのようなリスクをとってroadmapを達成できないと評価が下がるので、あんまりやりたがりません。
これで失敗しても、High Performerの経験になるだけです。次回何か提案する時には、もっと考えてexecutionの方法等を工夫するでしょう。

③Velocityが上がる

組織体制の変更とリファクタリングの意思決定により、明らかにチームのvelocityが上がりました。
ほとんどの意思決定はその場で行いました。
ものすごく重い・一方通行の意思決定においては一日ごとにアクションを切って、意思決定に必要な材料を集めました。
最も重い意思決定も意思決定までに2週間かけませんでした。

最後に:Founder Modeは劇薬だけど、なんだかんだ四半期に一度発動します。

チームのみんなごめんなさい。
当分は四半期に一度くらいFounder Mode発動します。

調達→Founder Mode
プロダクトの大型アップデート→Founder Mode
新しい機能開発→Founder Mode
新規営業開拓→Founder Mode

しょうがないですね。スタートアップはそんなもんだと思います。
ので、スタートアップに転職する際は、「このFounderのFounder Modeに耐えられるか?」っていう視点で検討するのが良さそうです。

Jammではあんまり大きく人数を増やそうとはしておりませんが、「どうしても話したい!」という方はcareers@jamm-pay.jpまでご連絡ください。

それでは!

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