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藤井風と宇多田ヒカルを見て

8/25 藤井風 feel’n good 日産スタジアム
8/31 宇多田ヒカル SCIENCE FICTION Kアリーナ

1週間のうちに日本が世界に誇る男女ソロアーティストを生で見てきた。今までバンドのライブばっかり見てきた僕にとって、どちらも新鮮なライブだった。

藤井風は最初のアルバムが出た時から追っていたが、正直演出を見るためだけにチケットを取ったようなものであまり期待はしてなかった。
が、実際派手な演出は最後の花火くらいであとは曲の良さを楽しむようなライブだった。

ただそのライブが終わってからじわじわと藤井風の曲の完成度、歌詞の深みを再確認するようになり、ライブに殺されたというより、初めて聞いた時以来、改めて楽曲に殺されたというような感覚だった。

彼の歌唱力の高さにも驚かされた。声の深みもそうだが、彼の特徴であるこぶしつけまくりのフェイクは歌唱力の高さと同時に彼のセンスまで見せつけられた。

宇多田ヒカルに関して。僕の音楽観の原点はずっとMr.Childrenだ。Mr.Childrenは僕の人生を変えてくれた存在なのでずっと「マイヒーロー」だと思っている。椎名林檎は今の僕の感性を作り上げたアーティストと言っても過言じゃない。そのことをずっと何と言えばいいか迷っていたが、常田大希が椎名林檎のことを「私のロックスター」と形容していて、それがとてもしっくりきた。そして、宇多田ヒカル。彼女が僕の感性の形成や人生に何か及ぼしたかと言われるとそうでもないが、その2アーティストに並ぶくらい過去に聞いてきたアーティストだ。「僕の女神」という言葉がしっくり来る。自分の音楽の原点のアーティストを3つ並べろと言われたら即答でこの3アーティストを答える。

それくらい宇多田ヒカルの音楽は僕にとって大切な存在だ。最初のtime will tellとLettersが来たとき訳もわからずに泣いていたのはそれだからだろう。ずっとイヤフォンで聴いていた声を生で聴いたのは、言葉で表し難い感動だった。

そして、何よりも彼女は歌がうますぎる。今まで生で見たどのアーティストよりもダントツで歌が上手い。歌が上手いなんて言葉じゃ物足りないほどだ。これが本物のアーティストか、、とまじまじと見せつけられて驚きっぱなしの2時間半だった。
ボーカルを少し学んだ者として、大体のアーティストの歌い方はこういう風にやってるんだなとわかるのだが、宇多田ヒカルのうまさは生で聴いても全く言語化できない。音程が合ってるとか、高い声が出るとかそんな表層的な次元のうまさではない。あの独特のリズム感と、自分の声質の見せ方を完全に理解しているような歌い方。もう少し深掘りすると、内なる感情の深さが声に表れてるというか、あの歌詞を書ける頭の良さが歌い方に表れているというか、フィーリングでしか書けないのだが、聞く者誰しもを宇多田ヒカルの哲学に取り込めるようなそんな歌のうまさだ。
そして特筆すべきは声の深み。彼女の若い頃と比べて、現在はかなり声質が変化しているが、歳を重ねるごとに深みが増している。なんというか彼女がデビューしてから25年間経験してきたものが深みとして表れているような、彼女の持つ深い哲学を表しているような、そんな想像を掻き立てるような歌声なのだ。

そんな歌声でFirst Loveやあなた、花束を君にを歌われたらどうだ。100以上のライブを見てきて、ボーカルも学んだ僕でも「歌声が良くて耳が幸せだった」と、語彙力のないオタクのような感想しか出てこなかった。久しぶりに歌唱力だけで語彙量を失った気がする。noteにライブレポを書き連ねて、語彙量も増えているはずだが、それくらい彼女の歌声にうっとりだった。

MCも宇多田ヒカルの人間性が垣間見えた。とてものんびり話していて、40を過ぎた女性に言うことではないが、ただのかわいい女の子だった。あんな楽曲を作るのに、MCはそんなテンションでとても親近感を感じた。
ただそこから歌い始めるとギャップが本当にすごい。

「アップテンポの曲続いたからしっとりめの曲いこー」と言ってFirst Loveに入ったときはまじでやられた。

そして最後のLast One Kiss、君に夢中。あれは完全に異次元だった。宇多田ヒカルの領域展開でも喰らっているとかと錯覚するくらい曲の世界に引き込まれていた。あの雰囲気の曲を連発されてたら多分僕は死んでいた。

宇多田ヒカルに対する記述の割合がかなり多くなってしまったが、それだけ自分にとって大切なアーティストで、ライブで受け取ったものも大きいということなのだろう。

いずれにせよ、バンドのライブばかり見てきた僕にとってこの2アーティストをみた1週間はかなり刺激的だった。

また機会があれば、ぜひともライブに足を運びたい。

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