ゲーゲンプレスの定義紹介
今では馴染みのあるサッカー用語となったゲーゲンプレス。
ユルゲン・クロップがドルトムントを率いていた際に日本でも取り上げられることが多くなった戦術用語であるが、具体的にどのように定義付けされているものなのかをDFB(ドイツサッカー連盟)の指導教本に基づいて紹介していこうと思う。
ゲーゲンプレスの概念
DFBによれば、ゲーゲンプレスは『アタッキングサードでのボールロスト後、即座に奪い返すためにボールに近い選手が発動させるプレッシング』とされている。
基本的には「前線からのプレッシング(=ドイツ語でAngriffspressing)」と連動して行われる、高い位置で発動されるプレス形態である。
定義上では『アタッキングサードでの…』とされているが、ドイツの指導者養成では『前線からのプレッシング(Angriffspressing)とだけリンクさせれば良いという訳ではなく、ミドルプレスや(引いた状態での)守備的なプレッシングともあわせて、各々指導者がゲーゲンプレスを異なる高さからのプレッシングに組み込みながら実践できるようにする事が大切』という風にも言われた。
※ドイツではプレッシングは位置によって大きく3つに分けて概念化されている。
①前線からのプレッシング(Angriffspressing)(図の青)
「敵陣全体。プラスしてセンターラインから数m自陣エリアが含まれる場合も」
②ミドルプレス(Mittelfeldpressing)(図の緑)
「中盤の縦幅約30m~40mの範囲内」
③守備的プレッシング(Abwehrpressing)(図の赤)
「自陣のゴールから約20m程度前方の位置からセンターラインまで。すべての選手が自陣へと帰陣した状態」
判断基準
ゲーゲンプレスの判断基準として主に以下の3点があげられている。
①ボールロストの場所 (中央でFWが失ったのか、サイドでMFが失ったのか等)
②ボールと自陣ゴールとの間にいる選手の状況 (数的優位がすぐ作れる状況か、中央に味方選手が何人いるのか等。数的不利ならいかない)
③ボールを奪った相手選手の立ち位置、体の向き (奪った選手が前を向けていない等)
上記の要素を基にゲーゲンプレスにいくのかリトリートするのかが判断される。
では、実際にどんな状況はゲーゲンプレスをかけて、どのような状況ではリトリートした方がいいのだろうか?
①ボールロストの場所
ディフェンディングサードや自陣でのボールロストはアタッキングサードでのボールロストよりも危険な状況であるため、時間を作って守備組織の構築が要求される。
サイドよりも中央で失った際の方がより危険である点も考慮しておく。
アタッキングサード+α → ゲーゲンプレス
自チームDFラインの近く → リトリート
②ボールと自陣ゴールとの間にいる選手の状況
全体が幅を取った状況で失ったのか、ある程度のコンパクトさを維持している状況で失ったのか。
相手の選択肢を奪える選手がボールサイドにいるのかどうか等。
ボールサイドで数的同数or数的優位が作れている状況 → ゲーゲンプレス
失った位置より自陣ゴール側(のボールサイド)が数的不利 → リトリート
③ボールを奪った相手選手の立ち位置、体の向き
失った状況下での相手選手の可能なプレーオプション(プレー可能な方向)を見極める。
ゴールに対して背を向けている状態や、ボールを追っている状態でまだボールをコントロール下に置けていない → ゲーゲンプレス
前向きでインターセプトされた状況や相手がノープレッシャーで前方へプレーできる状態 → リトリート
大まかではあるが上記のような点を基準としてゲーゲンプレスにいくのかどうかの判断が下される。
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