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ゴールキックのルール改正に伴うリスタートの変化

ここ最近サッカーのルール改正が多い。

キックオフの蹴り出す方向が自由になったり、審判に当たってボールロストになった場合はドロップ(マイボール扱い)、FK時に守備側の壁を邪魔してはいけない、ピッチ外では指示や分析目的で通信機器の利用が許可されるようになった...などの変更が毎年のように行われている。

とりわけルール改正が何度も行われ、プレーの幅が求められるようになったのがゴールキーパーのポジション。
古くは、味方のバックパスを手で扱うことができなくなり、その後スローインのボールも手で扱うことがNGになるといった変更があり、フィールドプレーヤーの色も比較的要求されるようになった。
その中でも19/20シーズンから施行されたゴールキックの際の新しいルールは攻撃の組み立てに関して大きなデザイン変更を可能にしたため、個人的には近年でも特に大きなルール変更だったと思う。

必要はないと思うが念のため説明すると、以前はゴールキックの際にはキッカー以外ペナルティーエリア内には進入禁止で、キックされたボールがエリアを出るまでは誰もボールに触れてはいけないルールだった。現ルールでは味方選手はエリア内で待機し、キックされたボールをそこで受けてもいいことになっている(相手選手はキックが行われるまではエリア内進入禁止)。


この改正に伴ってゴールキックからビルドアップにつなげる割合が向上した。
Opta社のデータによるとゴールキック時に短いパスでリスタートされたプレーの割合(全てのゴールキックにおけるショートパスの割合=%)が下記のように変化したという。

GKグラフ

欧州5大リーグの全てのリーグで、ショートパスによって開始されるゴールキックの割合が増加している。

また、ボールロストをした平均的な位置は
ショートパス開始:(自陣ゴールから)49m
ロングパス開始:(自陣ゴールから)39,2m
であったという。
つまりゴールキックをショートパスから開始した方が、より深い位置まで一度はボールを運べているという結果になっている。


ザンクトパウリ育成コーチのアイディア

ブンデスリーガ2部に所属しているザンクトパウリのU16監督がゴールキックの方法論・パターン例として、以下こんなアイディアを紹介している。

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サイドバックがインサイドに入るパターンとして、

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挑戦的でリスクも伴いそうなビルドアップではあるが、相手の意表をつける可能性もある面白い考えだと思う。


ルール改正によってゴールキック時のバリエーション(ボールの動かし方やポジショニングの工夫・バランスなど)は確実に増した。これはチームとして安定したビルドアップへとスムーズに移行していくために重要な要素になったし、同時に、各々指導者が『ゴールキック』をより詳細にプランニングしていく必要性があることも意味している。

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