スタディング税理士講座の消費税法を受講してみた感想
税理士試験の受験者です。
2020年からスタディングの税理士講座の受講を始め、2021年度試験で簿記論、財務諸表論に合格しました。
現在、税法科目にトライ中ですが、スタディングで「消費税法」を受講してみた感想を書きたいと思います。
はじめに
スタディングで消費税法を受講していると言っておきながら、実は現在はTACの通信講座で学習を進めています。
というのも、スタディングの講座では自分では合格レベルに達せないと感じたからです。そのため2021年11月半ばごろからTACの講座に切り替えました。
スタディングは約5万円で、TACはその3倍の約15万円の出費となりましたが、年1回しかない試験で後悔するよりはいいだろうと思い切り替えました。
そのため、スタディングは最後までやり切らずに投げ出してしまったことから、このnoteは2ヵ月ほどの受講期間における感想ということになります。
それでは以下に自分では合格レベルに達することができないと感じた理由を書いていきます。
説明していることのイメージが沸きづらい
説明が非常にあっさりしている印象で、言っていることの意味が分からない場面が多々ありました。
私は税法科目の学習は初めてですが、法律や施行令の文章がかなり理解しづらいです。いろんな事例を漏れなく網羅しなければいけない書き方になっているため、具体的な事例がイメージしづらいです。
例えば、納税義務の判定における「基準期間」に係る一文。
「経過する日」とか「経過した日」とか微妙な言い回しの違いで意味が全然違ったりと。それに対する説明や補足がほとんどありません。
Webテキストを繰り返し読むと、「ああ、そういうことか」と理解できなくもないのですが、スタディングの講義だけを聞いているだけでは理解が進みませんでした。
自宅のパソコンであれば、Webテキストも立ち上げて動画と一緒にみることもできますが、スマホの小さい画面ではそれができません。
私は通勤電車の中でスマホでよく講義動画を見ていましたが、腹落ちしない箇所がたくさん出て、消化不良となることが多々ありました。
ちなみに、簿・財コースであれば、講義動画だけで十分理解ができました。改めて思いますが、講師の中村さんの説明はかなりわかりやすかったんだと思います。
また、私の理解力のせいもあるかもしれませんが、講師の説明がテキストの文章や条文をそのまま読んでいるような説明も多く「具体的な事例としてはどういうことなんだろう?」という疑問が湧く箇所も多々ありました。
すっきりしない部分が多々あり、それをいちいちネットで調べていたので学習の効率がすごく悪かったです。
一方で、TACの説明はわかりやすいですね。なお、TACの消費税法の二宮講師は20年講師をやっていると言っていましたので、その大ベテランと比較するのは酷かもしれませんが…
紙ベースの教材がないので効率が悪い
これはそのまんまですが、調べたい論点があるときに、そのWebページを探しに行かなければならないのが効率が悪かったです。
簿・財コースのときには特に不便は感じなかったのですが、消費税法になってものすごく不便に感じました。消費税法だと複数の論点が絡んでいることが多いからかなと思います。
例えば、国内取引なのか?、事業としてなのか?、対価を得ているのか?、資産の譲渡等なのか?、非課税対象?などなど、課税されるかどうかの判定において複数の論点を考えなければなりません。
紙であれば、ぱらぱらとめくればすぐに辿り着くことができますし、講義で出てきた具体的事例を書きこんだりすることもできますので、テキストが配布されるTACに切り替えてからは効率がかなり良くなりました。
講義画面の切り替わり方が微妙
これは実際に受講した人でないとわかりづらいかもしれませんが、スマホの小さい画面でも文字が見れるよう、やや大きな文字で講義が進んでいきます。
そうなると一画面に詰め込める文量も減るわけで、具体的には事例問題等の解説で、問題文を映さず、解答だけが映っていて、「あれ、これどこの説明しているんだ?」という場面が多々あり、理解がしづらかったです。
これも自宅のパソコンで見る分にはWebテキストを同時に立ち上げることで何とかなりますが、通勤中のスマホでの視聴では厳しいです。
理論暗記は「理論暗記ツール」では覚えづらい
税法科目の場合は条文をほぼ丸暗記しなければならないと聞いていますが、スタディングの理論暗記ツールでは、重要な部分のみを、赤マーカーで隠したようなものとなっています。
ですので、試験問題が穴埋め問題であれば良いと思いますが、全文を覚えなければならないとなると、逆に覚えづらかったです。
マイノートという機能を使って、全文を隠した理論暗記ツールを自分で作成することもできますが、この作業、結構面倒くさいです。
また、紙ベースだと、ビジュアルとして頭に残りやすいのですが、スマホをスクロールしているだけでは頭に残りづらいです。
例えば、紙ベースだと、「左半分のページにはこれとこれが書いてあって、右半分のページは真ん中くらいで終わっていたから、この論点を書き忘れたな。」といった判断ができます。
要は紙ベースだとビジュアル(画像)として頭の中にも残せるわけですが、スマホをスクロールしているだけの理論暗記ツールでは全体像が頭に残りづらいということです。
理論暗記ツールでは「法令」と「施行令等」の区別がない
理論暗記ツールのもう一つ良くない点が、条文と施行令の違いわからない点です。
本番の試験では「施行令等に触れる必要はない」といった指示が入っていることもあるらしいですが、理論暗記ツールでは、その条文が法令なのか、施行令なのかは区別されていません。
この点はTACに切り替えてから知りました。TACの理論マスターだと、施行令部分は点線で囲ってあって、法令とは区別して覚えることができるようになっています。
上述しましたが、紙ベース(TACの理論マスター)だと、こういった点もビジュアルとして頭の中に残りますので、やはり紙ベースの方が良いです。
練習問題が少なく地力がついている感じがしない
言葉のとおりですが、スタディングは練習問題がかなり少ない印象です。また、解答もあっさりしていたり、若しくは解説がなかったりで、なぜこうなっているのか、理解しづらい部分もありました。
一方で、TACの方はスタディングに比べるとトレーニング問題がかなり多いため、地力がつけられている感じがします。様々な問題に触れることで各種論点に対する理解が深まります。(私はTACの回し者ではありません)
まあそれでもTACでもわかりづらい解答解説もあり、その場合、質問メールを飛ばすのですが、この返信が2~3日後、たまに1週間かかったりと、かなり返信が遅いという不満はあります。
(蛇足)税法科目の「合格者の声」が少ない
他の資格学校でも同じですが、スタディングのサイトに「合格者の声」が掲載されています。
2022年1月31日時点でざっくり240人ほどの声が掲載されていましたので、税法科目合格者の声を目視で数えてみたところ、結果は以下のとおりです。(※若干の見落としがあるかもしれませんがご容赦下さい)
240名中、税法科目の合格者の声は(2022年1月31日時点)
国税徴収法 9名(3.8%)
法人税法 8名(3.3%)
消費税法 4名(1.7%)
相続税法 3名(1.3%)
合計 24名(10%)
合格者のほとんどが簿記論か財務諸表論となっています。見ていた感じとしては財務諸表論の合格者が多い印象です。
また、ボリュームの多さから最難関と言われている「法人税法」の声を少し見てみると
5回目の受験で合格した方
他資格学校での学習経験あり
法人税の申告業務における実務経験あり
たった1行だけのコメントでスタディングの受講感想がほぼ無く、メインの勉強は他資格学校でやって合格祝い金目的で寄稿したのかな?と勘ぐってしまったもの。
などなど、純粋にスタディングの講座のみで合格した方がいるのかわかりませんでした。
まとめ
まとめとしては以下のとおりです。
講師の説明がちょっとわかりづらい。具体事例をもっと挟んでイメージが湧く説明をして欲しい。自分で調べたりしていたので学習効率が悪かった。
簿・財と違い、様々な税法や規定が絡むが、確認したい項目があっても紙ベースのテキストがないため、Webのため確認したい項目を探しに行くのに時間がかかり、気になる点がすぐに見返せない。
講義動画の画面の切り替わり方が微妙で、スマホでの視聴では学習しづらく、通勤電車での学習はしづらい。
理論暗記ツールについては、財務諸表論のように穴埋めであれば非常に有用であるが、条文を丸暗記しなければならない税法科目では厳しい。
TACと比較すると練習問題が少なく、地力がついている実感が持てない。
スタディングを受講したものの、私は途中で投げ出してしまったため、ちゃんと最後までやり切ったらどうなるかわかりません。
しかし、私の能力ではちょっと厳しい、というのが感想です。
以上となります。
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