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暮らしを整える選択肢としての「地方移住」 -福いい移住論-

 こんにちは!ふくい移住サポーターの中谷です。福井に移住して、そろそろ丸8年。普段は地域をまるごと体感できる宿の運営など複数の生業で生きています。

 今回は「暮らしを整えるための選択肢として地方移住を選ぶこと」について考えていきたいと思います。

自分の暮らしを見つめ直してみませんか?

 現代人は時間や情報に追われすぎており、気づけば1日が終わっている・・・。そんな日々を過ごしている人が多いのではないでしょうか。

 ふとした時に思い浮かぶのが「今のままの暮らしでいいのだろうか」ということ。こんなことを書いている僕自身も、8年前に福井県へ移住する前は同じように考えていました。新卒で入った東京の旅行会社、朝7時に出社しているにも関わらず、家に帰るのは日付が変わる頃。それでも、仕事が終わらない日々を過ごしていました。そんな日々で頭に浮かぶのは自分の今の暮らしへの疑問です。

 疑問は持ちながらも「このまま惰性で、今の仕事や生活を続けていくことはできる」と思い、何も行動せずに日々を送っていました。その一方「惰性で続けても良いのだろうか・・・」とも感じていました。しかし、日々の暮らしではなんとか誤魔化せていても、その歪みはいつか限界を迎え、何かしらが起こってしまいます。僕の場合は、荒んだ食生活や仕事や生活環境のストレスが原因であろう十二指腸潰瘍に罹ったことでした。

 人それぞれ、毎日様々なことが起こると思いますが、それはあなたが自分のことを考えるチャンスなのかもしれません。

自分の暮らしを考え直す人が増えている

 2020年。多くの人が時間に追われる日々から、自分の暮らしを考えるきっかけが訪れた年だったのではないでしょうか。社会的に外出することができなくなったからこそ、強制的に、家の中でゆっくりとした時間を取ることができ「自分の人生はこれで良いのか」と考えた人も多いと思います。

 そこで、「地方移住良いかも・・・」と頭の中に思い浮かべた人も多いはず。最近、移住相談をお受けする中で、移住を考え始めたきっかけを聞いてみると「外出自粛で時間ができて・・・」と答える方も多いです。もちろん、医療関係者をはじめとして大変な思いをされた方も多かったと思います。しかし、それらを含めても、今まで社会全体が惰性的に加速して変化してきて、みんながやっとの思いで追いついていた現代の日本に一石を投じた出来事だったと思います。

 そんなことで相談いただくことが増えてきた「地方移住」は「人生を整える」手段になると考えています。

自分を変える3つの要素

 「人間が変わる方法は3つしかない」と、経営コンサルタントの大前研一さんが著書『時間とムダの科学』の中で述べています。まさにこれが「移住」をすることによって変えることができる3つなのです。

時間配分を変える

 例えば、仕事にかけていた時間を減らし、家族との時間を増やしたり、ゲームで遊んでいた時間を減らして、資格取得のための勉強時間に変えていくのが時間配分を変えるということです。

 なにか新しいことを始めようと思ったとき、多くの人は「忙しいから無理」と考えるかもしれません。確かに1日は24時間しかないので、すでに詰まっていて新しいことを始めるのは難しいかもしれません。だからこそ、新しいことを始めるときには今まで使っていた時間をなくしたり、減らしたりする必要があるのです。

 地方移住という目線で考えれば、地方に住むと変わってくるのが通勤時間。一般的に通勤時間は、地方部在住よりも都市圏在住の方が長くかかると言われています(「平成28年社会生活基本調査結果」/総務省統計局)
都心は勤め先が集中する中心部ほど家賃が高く、その結果、家賃を下げるために中心から離れて生活する人が多いのでしょう。私自身も東京で働いていたときは、新宿に勤め先があったので、片道30分。これは同僚と比較しても短い方で、片道1時半から2時間かけて通っている人も珍しくなかったです。

 一方、地方に住むと、本当の中心は家賃が高いですが、少し離れると家賃は安くなります。また、勤め先も町中だけではなく、中心部以外に点在している場合も多く、勤め先から遠く離れずに高くない賃貸物件を見つけることが可能なのです。

 通勤時間が減ると、自分のやりたいことに時間を使えるようになってきます。なにか新しいことを始めるには、今までの時間配分から、新しいことに使える時間を増やさなければならないのです。通勤時間を減らし、自分がやりたいことに時間をかけるというのも人生を豊かにすることになるでしょう。


住む場所を変える

 引っ越した経験がない人にとって、住む場所が変わるのがどういうことかは想像しづらいと思います。幼き頃、家族の都合で“転勤族”だった人であれば、なんとなくイメージができるかもしれません。しかし、多くの人は住む場所を変えた経験が少ないから難しいと思います。住む場所が変わると生活圏が変わります。そうなると新しい発見や気づきもあるし、習慣が変わることもあります。

 例えば、オフィス街のマンションから、多くのランナーが走る河川敷の近くに引っ越したら「そろそろ運動もしなきゃいけないな」とランニングを始めやすくなります。また、飲み屋の近くに住んでいた人が、閑静な住宅街に引っ越したら、飲酒という習慣が減るかもしれません。

 今までワンルームのアパートに住んでいた人は、地方の家の大きさに驚くかもしれません。都市部の部屋は狭く、様々なモノで溢れていて、なんとなく心が雑念に支配されていたのが、スペースが広がることによって、必要最小限のものしか部屋の見える場所に出なくなり、シンプルな空間で気分が落ち着くかもしれません。

 都市部では、窓を開ければ人や車がせわしなく行き交う道や向かいのマンションの部屋が見えていたのが、地方移住して、家の縁側に座れば季節折々の田んぼの様子が目に入るような家に変わると「なにか新しいことをやってみよう」と前向きな気持ちになるかもしれません。

 まさに地方移住は「住む場所を変える」ということ。

付き合う人を変える

 「時間配分」や「住む場所」は自分の意思だけで変えることができます。しかし、「人間関係」は相手がいるものなので、付き合う人を変えるのは、自分の意思だけでは変えづらいのです。この人とは付き合いたくないと思っても、近い場所にいると気まずくなることを恐れて無下に断ることはできず、やむを得ず付き合っていることもあるでしょう。

 地方移住すると、今までに住んでいた場所から物理的に離れてしまうので、「離れてもわざわざ会いたい人」以外は、自然と関係性が薄れていき、誘われることも少なくなります。

 地方移住すると今までの良好な人間関係が維持できなくなると心配になるかもしれません。私も東京から移住する前はそう考えていました。しかし、離れているからこそ本当に付き合いを続けたい友人は、わざわざ移住先まで遊びに来てくれましたし、私も仕事やプライベートで東京に行くときには、声をかけて一緒に食事を楽しんだりしました。地方移住することで「そこにいるから、誘った」といった付き合いはなくなり、本当に会いたい人だけに会えるようになる。断りづらい人間関係を再構築するには「地方移住」は有効な手段なのかもしれません。

「移住」を考えること自体に価値がある

 これらのことから「移住」をすることで、人が変わるために必要な3つの要素を満たすことができ、自分自身が変わることができるでしょう。

 実際には様々な課題があり、移住を実現できない人もいるでしょう。しかし、移住が実現できなかったとしても移住に向けて考えたこと自体が自分の暮らしを整えることにつながっています。なぜなら、移住に向け動き出す中で「自分はどうやって暮らしたいか」を考えたからです。

 忙しい日々では、自分の人生をどのようにしていきたいかを整理して考える時間がないことでしょう。しかし、移住を考えたことで、その時間を取ることができたと思います。その結果、移住しなくても自分が良いなと感じる人生を送れることに気づいたかもしれません。

 移住することで、人生を変えることができるでしょう。しかし、移住しなくても考えて、自分を見つめ直したことで、自分の人生を整理でき、今後、向かっていきたい方向を見つけられたのではないでしょうか。

 あなたもまずは「自分の理想とする暮らし」を素直な気持ちで整理してみませんか?それを実現する一つの手段が「地方移住」なのかもしれません。


ふくい移住サポーター

 ふくい移住サポーターは、福井県に移住した人や移住者をサポートしている人々が登録されています。大きな特徴は「福井が移住先じゃなくても相談できる」ということ。移住を考えだした当初に、どの県に住みたいかなんて分かりませんよね。むしろ、そこを相談したい。このサポーターは、移住先が福井県であるかどうかに関わらず、オンライン相談や現地案内などで利用いただける福井県庁の制度です。

あなたの相談をお待ちしています!

 様々なバックグラウンドを持つ方々がサポーターとして登録されています!自分が気になる暮らし方をしている方や、気になる地域に住んでいる方などに相談してみてください。
 僕も移住サポーターに登録されていますので、ご相談をお受けしております。

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ふくい移住サポーター(福井暮らすはたらくサポートセンター)のフォームからご相談ください。

【 ライタープロフィール 】

1988年京都市生まれ。大学を休学し、自転車で日本一周をしたことをきっかけに「地域」に関心を持つようになった。地域活性化に貢献するため、東京の旅行会社、岐阜県の宿泊施設に勤務するものの「既存の観光」で地域を元気にすることの限界を感じ、それぞれの地域が自分サイズでの活性化に取り組むお手伝いをしたいと考え、2016年福井県南越前町に地域おこし協力隊として移住。
任期終了後は、旅人と地域住民の交点となる「地域まるっと体感宿 玉村屋」を開業。さらに長期で滞在したい人向けの「農家シェアハウス はなさか荘」を運営。そのほか、農家さんのお手伝いなどをして生きる「複業家」としての生き方を実験中!

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