ジェットコースターの下で爆睡していた話
初めてというものは緊張するものである。
でもなんとなく想像つくものであればそれなりにワクワクしながら挑戦できる、と思う。
だが齢0歳児の赤ちゃんは全てが初めて。なんならお出かけなんて初めて尽くしであっただろう。
そんな“初めて”の遊園地デビューのその日。
親から伝え聞いた話だと、
なんと、
あの爆音けたたましいはずの
ジェットコースターの下で爆睡していたという。
0歳児が、である。せっかくのお昼寝をけたたましいジェットコースターに邪魔されているはずなのにである。泣くところや。
でも、ぐっすりすやすや寝ている娘をみたウチの両親は、
「ほう、こりゃあ大物になるわ」
と思っていたらしい。
果たして大物になれているかどうかわからないが、ウチの両親、超前向き。今もときどき超前向き発言をいただく。
そんなジェットコースターの下で爆睡する0歳児はやがて先天性両耳高度感音難聴と分かり、人の箱型補聴器に憧れて人工内耳(箱型)を付けた。
初めてというのは本当に緊張する。
初めての入院生活。初めての交流学習。初めて姉と同じ通学路を歩く。初めて地域の学校へ編入する。初めてのことばかりである。
ある意味私にとっても周囲にとっても初めて尽くしで、聞こえない人と同じ環境にいる、聞こえる人と同じ環境にいる、ということはどういうことかと問いながらなんちゃってパイオニアを気取っていた。
でも途中から初めてじゃなくなっていった。
理由は2つ。先を歩いてくれる人がポツリポツリ現れるようになった。
そして聴覚障害の程度、環境、人、何一つ同じものはないということに気づいた。
違って当たり前なはずなのに。
ひとりで頑張ってきたような気でいたけど本当にたまたま人に恵まれていた。
彼ら彼女らのおかげで
聞こえないという特徴が備わった、世の中の同世代と同じような悩みを抱え、音楽を昼寝を読書を旅を愛するワタシでいられる。
耳のことだけじゃない、いろんなことをnoteに書いてみようと思います。