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GTOxブループリント第2章 概観(1)GTOxソルバー

※第2章は長いので図表を1つずつ紹介していきます。

図1.GTOxソルバー

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GTOxソルバーは、インタラクティブなデータ可視化ダッシュボードに解析結果を表示します。
このダッシュボードは、様々なチャートを相互参照(クロスフィルタリング)することで、ソルバーの計算結果を分析するために活用できます。
ダッシュボードの情報は、ユーザーがGTO戦略を理解するのに活用しやすいように、精査され、構造化され、強化されています。


3段階システム
GTOxブループリントは、次の3つの解析レベルで構成されています。

※簡略化のためGTOxブループリントでは、レンジ>ハンドクラス>特定のコンボの3レベルの構造を採用していますが、これ以外に、更に次の2つの中間レベルを採用しています。
「ハンドセグメント」(例:フルハウス、フラッシュ、ツーペア、トップペア、アンダーペア、Aハイ、ピュアブラフ、ドロー)と「コンボクラスター」(例:AKs、KJo、TTなど)です。
ソルバーはレンジのバランスを取るときに、レンジやハンドクラスを通してバランスを取るだけでなく、個々のセグメントやクラスター内でも同様にバランスを取るためです。
セグメント及びクラスターが議論に含まれる場合には、レンジ>ハンドクラス>ハンドセグメント>コンボクラスター>個々のハンドの順でより細かいレベルとして使用されます。

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この構成を取ることで、次の4つの目的を追求しています。
①優先順位付け
②簡略化
③区分化
④予測不可能性/柔軟性

優先順位付け
GTOでは、プレイヤーのレンジの傾向(マクロ解析)がハンドクラスの傾向(中間解析)より優先的に検討することが重要となり、プレイヤーのハンドクラスの傾向(中間解析)がハンド固有の特徴(ミクロ解析)より優先的に検討することが重要となることが多いため、GTOx ブループリントのこの解析の順序は重要となります。よって、自分が特定のハンドの戦略を考える前に自分のレンジの戦略を考えるように、各々のレベルの分析を利用することによって、GTOではどのようにして、同じハンドでも状況によって全く異なるプレイを選択するような戦略を構築しているのかを理解することができます。

簡略化

GTOxブループリントでは、戦略をシンプルにするために、より高い抽象度で判断しても、大きなEVロスにならない柔軟性をユーザーに提供しています。
※訳者注:より大括りな戦略にしても大きなEVロスとならないシンプルで柔軟な戦略を提示するということ。

ポーカーでは、ほぼすべてのレンジやハンドクラス全体を同じようにプレイしても、大きな(または全く)EVロスにならないシナリオ(状況)も多くあるため、このアプローチが取れる場合には、戦略を大幅に単純化しても問題なくなります。
ソルバーは、人間が正確に実行することが不可能なEV及びエクイティの非常に細かな違いに基づきミクロ解析レベルで極めて重要な決断を下すことが多いので、最も細かい解析レベルまで掘り下げていくことは、人間にとって逆効果になることがあるかもしれません。

区分化(コンパートメント化)
GTO戦略にとって重要な要因や原則は非常に多くあるため、意思決定プロセスを整理できるシステムを活用することが重要となります。GTOxブループリントでは、これらの要因を3つの分析項目に分けることで、論理構造を構築しています。これによって、プレイヤーは、関連する要因のすべてを一度にまとめて検討するのではなく、それぞれのレベルの分析に関連する特定の要因のみに集中することができ、より容易に検討することが可能となります。

予測不可能性/柔軟性

GTOxブループリントでは、対戦相手に見破られたり反撃される可能性のある特定の「アクション」を暗記させるのではなく、各レベルの分析が次のレベルに影響を与え、非常に重要な関連要素のすべてを体系的に集約し、最終的な判断につながる原則となるようなアプローチを提供しています。これにより、プレイヤーのプレイは、本質的に予測不可能なものとなります。なぜならば、同じようなスポットでも、3つのレベルの要因の集積に基づいて異なるプレイをすることもあり、そのうちのいくつかは相手にとって未知のものだからです。さらに、GTOxブループリントは、「XならばY」といった条件に基づいて厳格に構築されているわけではなく柔軟性があり、(GTOの基本に忠実でありながら)大きなEVロスとならない場合には、ユーザーが戦略をよりアグレッシブにときにはより慎重に偏らせることで、エクスプロイト的なプレイと混ぜることもできます。

実戦への適用
実践する際には、それぞれの決定ポイントのすべてにおいて、プレイヤーがマクロ>中間>ミクロの順に決断を分析し、抽象度の高いレベルから始め、より細かいレベルに進むべきとしています。プレイヤーが「最小限でない」追加EVを獲得できる場合のみ、より細かいレベルに進むとされています。(注:大きな追加EVを獲得できない場合は、より上位の大括りな解析レベルに留めるということ。)
これは、GTOxソルバーの「EV Regret」※という概念で測定され、マクロ解析(レンジ)と中間解析(クラス)の両方のレベルで計算されます。

※EV Regretは、ゲーム理論でいう「Regret(後悔)」という概念の類語で(訳者注:Regretとは、「最適戦略を選択したときと現在の戦略を選択した時の利得の差分」のこと。)、プレイヤーの現在の戦略と代替戦略がどれくらい上回っているかを測る際に使用されます。ナッシュ均衡戦略には、「後悔マッチング」という、プレイヤーが自分の戦略を徐々に変えていって、最も後悔が少なくなるアクションにまで確率分布を調整していく手法を通じて到達します。このプロセスは、すべてのプレイヤーの平均後悔がゼロになる地点、すなわち、どうアクションを変えてもEVが増えないようなナッシュ均衡的状況になるまで続けられます。

EV Regretは、プレイヤーの取りうる個々のアクションについて、プレイヤーがそのアクションに対して純粋な戦略(例:100%ベット/レイズ、100%チェック/コール、100%フォールドなど)を選択した場合に、GTO戦略と比較して失われるEVの最大量をレンジ又はクラス全体で計算するものです。※

※特に、選択されたコンボのクラスで可能なアクションのそれぞれにおいて、EV Regretは、クラス内のすべてのコンボの中で、最もEVの高いアクションとそのアクションのEVとの間の最も大きな差分を計算します。

EV Regretが「最小限」であるかどうかは、各個人の経験とスキルレベルに完全に左右されます。※

※GTOxのシステムは、EV RegretをBBサイズではなくポットサイズで表現します。一般的に言って、EVロスは、ポットが大きくなればなるほど、小さなポットでの同じEVロスよりもより小さなミスと見なすことができるからです。EV Regretを表す他の方法として、EVロスを「ポット+ベットサイズ」で表す方法もありますが、EVが近い場合には、ベットサイズを分母に含めると、EV Regretの数値がベットサイズの大きい方に偏る可能性があり、ソルバーの頻度計算と一致しないことがあります。

EV Regretはポットに対する割合として表現されているため、ユーザーはそれぞれ、自分のEV Regretの閾値を設定する必要があります。
GTOに慣れてきたら、EV Regretの閾値を徐々に下げて、GTOソリューションから追加のEVを獲得することを目標にするのがよいです。
GTOxブループリントは、初心者から上級者まで対応可能です。
まず各ユーザーの大きなの弱点(リーク)を修正することに重点を置いて、その後、徐々に各ユーザーに応じた学習進度を設定することができます

訳者注:EV Regretが小さい場合には、例えば、全レンジでそのアクションを採用しても問題ないということ。上級者になったら、EV Regretがより小さくなるように複雑な戦略を採用するなど、プレイヤーの熟練度に応じて、どれくらい簡易なGTO戦略を取れるかがEV Regretを見ることで分かるということ。

GTOxブループリントでは、プレイヤーがEV Regretを最小限に抑えることができるアクションの数に応じて、以下の表に示す戦略的な検討プロセスを採用することを推奨しています。

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※GTOx関連の記事はスポンサーからの依頼により執筆されています。

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