この機会にお金について考えてみる
「お年玉は銀行に預けておくからね。」
正月に親戚からお年玉をもらうと親からこう言われる。お年玉に限らず、使わないお金は銀行に預けなさいというように教えられて育った。銀行に預けておけば安心だということだろう。親がこのように言うのはお金は銀行へという固定概念が親の頭にあるからなのかもしれない。
お金は銀行へという固定概念
お金は銀行へという考え方は正しいと思う反面、古くなってきているような気がする。数年前からNISA・iDeCoなどの新しい制度が作られ、政府が国民に資産運用を促している。お金を預ける時代からお金を働かせる時代になりつつある、いやもうお金を働かせる時代になったのかもしれない。
このような時代の移り変わりを考えてみるとやはり銀行に預けるという考え方は古くなってきているような気がする。
決して持っている貯金を全てを投資に回せといっているわけではない。やはりいくらかはすぐ引き出せるように銀行に預けておくべきだとは思う。緊急でお金が必要になった時すぐ引き出せるようにはしておかなければならない。人生いつどこで何があるか分からない。
僕が言いたいのは月1万円でもいいから投資に回してみてはということだ。そして投資を機にお金について学んでみてはということだ。少しこれからの自分の人生と一緒にお金について考えてみていただきたい。
お金について学ばない日本人
親を含め多くの日本人はお金について学んでこなかった。いや学ぶ機会がなかったというべきだろう。日本の教育ではお金について学ぶ機会を設けていない。学校で学ぶことといえば、国数英理社の5教科に4教科の副教科を加えた9教科だ。そして総合的な学習では修学旅行の前に旅行先のことについて調べたり、自分の興味がある職業について調べる活動をする。お金について学校で学ぶ機会はないのだ。
自分の学生時代を思い返してみてもやはり「お金」について学んだことはなかった。お金が学校で出てくるのは、算数で「100円のりんごを2つ買うためにはいくら必要になりますか?」のような問題や、現代社会で「消費税は間接税です。」と教えてもらうときくらいだ。
税制の仕組みは?と先生に質問しても正しい答えが返ってくることは少ないだろう。「サラリーマンは給与所得に課税されるが、事業主は純利益(事業所得)に課税される」などの基本的なお金のことを教える側である先生も詳しく知らないのだ。先生も知らないから生徒に教えられない。
お金について教えるのは家庭で、と保護者に丸投げされても教えられる保護者はごく一部であろう。多くの保護者もお金について知らないから子供に教えられないという悪循環に陥ってしまう。結局学ぶには独学で学ぶしかないのだ。
マネーリテラシー
マネーリテラシーとはお金に関する知識や情報を正しく理解し、主体的に判断することができる能力のことをいう。先に述べたように、日本人はお金について学んでこなかったためこの能力がとても低い。
政府はNISAやiDeCoなどの新しい制度を作って国民のリテラシーをあげるように訴えかけている。老後2000万円不足問題に対するために今からできる資産運用をさせるような制度を作っている。年金はもうあてにならないから自分でお金について学んで老後の資金を増やしてねということなのだろうか。
ではマネーリテラシーを上げるためにはどうすればよいのか。
まずは用語を覚えることから始めるべきだ。用語を知らなければそのフィールドで戦うことができない。用語を知るということはそのルールを知るということだ。
バスケットボールで「ドリブル」や「シュート」などの用語を知らないで試合のコートに立つ選手はいない。まずはバスケットボールに関する用語やルールを覚え、基礎練習をして、その後試合に出るのである。お金もこれと同じである。
まずは一般的な用語を覚える。まずはこれから始めるべきだ。「税制」「保険」など言葉は知っているが、その内容はよく知らない用語を本やネットで調べる。
それと並行して、投資信託をするのであれば投資信託の用語も覚える。投資信託というフィールドで戦うのであればそのルールに従わなければならない。郷に入っては郷に従えということだ。
用語やルールを覚えたら練習を兼ねて実際にやってみる。試合に出て気付くこともあるように実際にやってみなければわからないことが多い。もし失敗してもその失敗は次の挑戦への糧になる。理論を覚えたら実践しフィードバック、これの繰り返しである。覚えても行動しないのが一番良くない。富む者と富まざる者の違いは動くか動かざるかということだ。
僕がお金について学ぼうと思ったのはお金を増やしたいと思ったからだ。お金持ちになりたいわけではなく、奨学金を早く返還して将来やりたいことのためにお金を貯めたかったからだ。
お金は絶対ではないがあればあるだけよいものなのは確かだ。お金に固執するのはよくないが備えあれば憂いなしということだ。
僕は最低限のお金さえあればいいと思っている。しかし病気や失業などで働けなくなる日が来るかもしれない。今回のコロナもそうだ。もしかしたら明日コロナにかかって働けなくなるかもしれない。そのいつかのために今から備えておく。そして将来自分がやりたいことのために今から備えておく。
この将来のリスクに備えるための土台がマネーリテラシーなのであろう。