圧巻。アデルの復活ライブ Adele Live in New York City
(この記事は2015年11月30日に書かれたものです)
Hello.
2015年11月17日、ラジオシティ・ミュージックホールで開催された一夜限りのアデルのライブに行ってきました。11月20日に新アルバムが発売されるのに合わせてのライブです。2011年、のどの調子が悪くなりツアーをキャンセルしたアデル。それだけに、今回はファン待望のライブとなりました。
今回のライブは無料で、申し込みをした人の中からランダムに選ばれた人のみにペアチケットが当たるというものでした。(詳しい方法は次のエントリーをどうぞ。)これまで、お祭りの抽選会や宝くじなどで全くと言って良いほど当たったことがなかったので、当選のメールが届いた時は目を疑いました。
会場はラジオシティ・ミュージックホール。ミュージカルの最高峰、トニー賞の授賞式が毎年行われている場所で、座席数は5933席。収容席数5012の東京国際フォーラムホールAよりも約900席ほど大きいホールです。
(いつもそうなのかもしれませんが)中には大きなシャンデリアがあり、すっかりクリスマスモードです。
開演前の舞台上。プロジェクションマッピングで舞台幕の上にADELE25と映し出されています。今回のライブは後日テレビ放映されるとのことで、会場にはたくさんの撮影スタッフがおりました。
舞台の幕があがると、MCのジミー・ファロンが登場し様々な言語で "Hello" と挨拶をします。もちろん「コンニチハ」とも言ってくれました。そして彼の紹介で、ついにアデルが登場します。
ゴールドのラメをあしらったゴージャスなドレスで登場したアデルは、まず "Hello" を歌いました。今回のアルバムのリード・シングルで様々なメディアで目にすることも多い歌です。アデルは声量がとても大きく、生歌でも会場中に響き渡り、大きすぎると思うくらいでした。観客は興奮を押さえきれず立ち上がろうとしますが、テレビ撮影のため、スタッフに促され席に着きます。
私は彼女の線ではなく、面のように響く深みのある声が好きです。彼女は一人で歌っているのに、私には二つ以上の音が聞こえる気がするのです。かすれたように聞こえるからでしょうか。私の周りには「アデルの声ならいつまでも聞いていられる」という友達がたくさんいますし、私もその一人です。
この "Hello" を聞いていてすごいな、と思ったことは、アデルの声についてだけでなく、その演出についてです。
アデルが歌唱している間、舞台の後ろの大きなスクリーンにプロモーションビデオやイメージ映像、ライブ映像が流れます。ここまでは普通のライブと同じです。そして、普通のライブであれば、大きなモニターのようなものが舞台の左右などについていて、そこに歌唱中の表情がライブで映し出されると思います。しかし今回のコンサートでは、舞台上方にプロジェクションマッピングで歌唱の様子が映し出され、大きいアデルを私たちは見ることができたのです。大きいので乱視の私でもはっきりとアデルの表情を確認できました。こんな感じです。
プロジェクションマッピングがいくらくらいでできるのか、具体的には分かりませんが、おそらく何百万とかかると思われます。アデルのように売れっ子でお金をたくさんかけることができるアーティストしか、このような演出は(今は)できないかもしれません。ですが、今後こういったやり方をするアーティストは増えそうだな、と思いました。
とても印象に残った曲が二つあります。
ひとつは "Hometown Glory" です。この曲はアデルが16歳の時に初めて作った曲で、彼女にとっても思い出深い曲だそうですが、この時のプロジェクションマッピングが圧巻でした。まず、曲が始まると背景と舞台上方がリンクし、とある街の風景が映し出されます。はじめはアデルの故郷、イギリスのトッテナムかと思いました。しかし次第に映像はエッフェル塔と街中に流れるセーヌ川を映し出し、そこはパリなのだと私たちに気付かせます。そしていつしか上方のプロジェクションマッピングは、舞台上手が赤色、下手が青色に変化し、ステージ全体がフランス国旗で覆われたようになりました。アデルが故郷を思って作った歌と同時多発テロの起こったパリを思う気持ちがリンクし、よりいっそう感動的なステージとなりました。
もうひとつは "Skyfalll" です。この曲はご存知の通り、2012年公開の映画007シリーズ「スカイフォール」のテーマソングで、アデルはこの曲でグラミー賞だけでなくアカデミー賞とゴールデングローブ賞を受賞しました。もちろんその映画を観に行きましたし、その当時何度も聞いていたので親しみのある曲ということもありますが、パワーアップしたアデルの歌と大人数のコーラス、バックを支えるオーケストラ、赤い絨毯のようにライトアップされたステージが相まって、その歌の格好良さが二倍にも三倍にもなって見えました。実力のある歌手、良い曲ほどライブで聞くとその良さが増すことを実感しました。
(アデルのアメリカでのレーベル、コロンビアレコードのInstagramより)
この二曲の他にもブルーノ・マーズと共作した "All I Ask" や人気曲の "Set Fire to the Rain" "Someone Like You"、グラミー賞を総なめにした "Rolling in the Deep" など、もりだくさんの内容でした。
歌以外にも印象的だったことがあります。それはアデルの人柄です。彼女はとても大人っぽい歌、もっと率直に言うなら深刻で暗い歌のイメージがあるので、性格もきっと大人しくて冷静な人なのかと思っていました。しかし、MCの間中ジョークを連発し、ケラケラ笑い、「久しぶりだからとーっても緊張しているの!」と正直に今の心境を語る姿は歌のイメージとは全く逆で、まるで大阪のおばちゃんのような気さくさと親しみやすさを感じました。
その貫禄と数々の輝かしい実績から、私は勝手に彼女は30代だと思っていましたが、なんとまだ27歳とのこと。既にたくさんの賞を受賞していることから、最新アルバム「25」を作るまでに様々な葛藤があったようです。これまでのアルバム「19」と「21」がその年齢の時に発売されたのに対し、今回のアルバムは「25」というタイトルにも関わらず27歳の今発売されています。
声帯の手術、出産などの様々な経験を通してよりパワーアップしたアデル。彼女のアルバム「25」は20日に無事発売され、発売初週に全英チャートで80万枚、全米チャートで338万枚の売上を記録。歴代の初週販売記録を塗り替える驚異的な売上を記録しています。先日、ヨーロッパでのツアーを発表したアデルの今後の活躍から目が離せません。
Adele Live in New York City の様子は12月14日アメリカのNBCにてオンエア予定です。次のエントリーでは、このライブに行くことになったいきさつを紹介します。
アデルオフィシャルサイト