55歳になったとき、挑戦者でいられるか? 『王様と私』渡辺謙
(この記事は2015年6月13日に書かれたものです)
ミュージカルの最高栄誉とされるトニー賞。
リバイバル作品賞を含む4部門で賞を獲得した『王様と私』("The King and I")を、先日鑑賞してきました。
渡辺謙が主演男優賞にノミネートされていたことから、日本でも(おそらく)話題になっていたこの作品。私は幼いとき、日本で『王様と私』を観たことがあります。そのときの王様は高嶋政宏、アンナ先生は一路真輝でした。日本でも昔から有名かつ人気のある演目なのでしょう。
私が観に行った日はトニー賞授賞式後、初の公演日でした。
謙さんもTwitterでこのようにつぶやいています。
観賞後の感想はとにかく「すごかった」。残念ながら謙さんはトニー賞獲得ならずでしたが、そんなことはどうでも良くなるくらい存在感がありました。
そもそも、日本で生まれ育った日本人にとって全編英語のミュージカルに出演することは簡単なことではありません。外国人の友人に、「日本人が主演するからこのミュージカルを観に行く」と言ったら、「きっと彼はジャパニーズアメリカン(アメリカで生まれ育った日系人)に違いない」と言ったほどです。日本人が思っているより、謙さんがやっていることはすごいことなのです。しかも謙さんは主演のひとり、王様なのでとにかく台詞が多い。同じ日本生まれ日本育ちの日本人として、無駄に緊張しながら鑑賞していました。
日本では知名度の高い謙さんですが、こちらでは日本ほどではありません。もうひとりの主演、ケリー・オハラへの拍手に比べ、謙さんへの拍手は少し控えめでした。ですが、途中の休憩中に謙さんのことを携帯で調べている白人の方がいたり、威厳があり怒りっぽくありながらコミカルな謙さんの演技に対し観客が湧いたり、とさすが「良いものは良いと認めるアメリカ」だと感じる場面が多々ありました。
終演後、アジア人からアメリカ人まで、様々な人にサインを求められている謙さんを見て、勝手に誇らしく思いました。(私も写真をとっていただくことができました!らっきー)
「王様と私」の渡辺謙さんを観て感じたことは、「55歳になったとき、果たして自分は挑戦者でいられるか?」ということです。ブロードウェイミュージカル初出演にして主演、まして母国語ではない言語での演技。週8回公演という過酷なスケジュール。もし自分が謙さんの立場であれば、そんな苦労をしてまであえてこの仕事を選んでいただろうか?
そう考えると、もし今やりたいことがあるのにできないでいる人は「忙しくてやる時間がない」「こんな年齢の自分が始めるには遅すぎる」と自分でストップをかけてしまっているのではないでしょうか。55歳でも新しいことに挑戦し認められるのだから、それより若い自分たちにもできないことはないはずです。
私も「帰国子女じゃないから英語ができなくてもしょうがない」「自分の体型維持のためだけに筋トレなんかできない」「文系だからプログラミングできない」と言い訳していないで、やりたいと思ってできずにいたことにどんどんチャレンジしていきたいと思います。皆さんに次お会いしたときには、二重あごがなくなっている予定ですのでご確認宜しくお願い致します。
もし、謙さんの演じる王様を観たい方はお急ぎください。公演自体はロングランが決まりましたが、スケジュールの都合上謙さんの出演は7月12日までだそうです!
【追記】2016年3月1日より7週間、渡辺謙さんが再び王様を演じるようです。
The King and I サイト
http://www.lct.org/shows/king-and-i/