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創造営2021のエモと注目練習生②

初回順位が発表され、練習生たちに視聴者投票の結果が突きつけられた先週の『創造営2021』。それまではメンターやチームメイトの評価で決まっていたポジションに、初めてマーケットの評価が加わることになった。望んだ通りの結果だった者、自分で想像していたより順位が上だった者、下だった者、そして望まぬ結果に終わり、去っていく者。第5回は悲喜こもごものエピソードとなった。

初回淘汰を見終えて感じたのは、「男の子プデュって、練習生がみんな感情を素直に表現しているな」ということだった。
特に印象的だったのは、Aクラスにいながら今回唯一の脱落者となった赖耀翔の発した言葉だ。

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「努力が足りなかったのかな?」
チームメイトの伯远に抱きつき号泣するさまは涙を誘った。「そんなことないよ、十分努力してたよ」との励ましに、「じゃあ、なんで」と返す。その正直さと返された言葉の残酷さに、私も大号泣してしまった。女の子プデュで淘汰のときにここまで素直な感情を聞くことってないかもしれない。きっと女の子のほうが自分の見え方に敏感で、やっぱり気を使ってしまうのだろうから。
前回の主題歌評価において、最下位のFクラスから最上位のAクラスに昇格したただひとりの練習生で、チームメイトも彼の努力を認め、Aクラス入りを自分のことのように喜んでいた。主題歌MVで誇らしげに踊っていた姿が眩しかった。努力は報われる、そう思っていたに違いない矢先の淘汰。前週とは天国と地獄だ。
ただ心苦しいけれど、ここにプデュの面白さがある。努力する姿は美しい、でも努力だけがマーケットに評価されるわけじゃない。伯远がインタビューで語っていた言葉がすべてだろう。結局これはエンタメ番組で、努力の結果が約束されるとは限らない。残酷で美しい努力の物語なのだ。

さて、前回書ききれなかった注目練習生もとい、推しについて書き連ねてみたい。推しへのクソデカ感情放出第二弾です。


④微笑みの国のノーブル貴公子『尹浩宇(Yin Haoyu/イン・ハオユー/Patrick)』

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Nineとともにタイから参加した練習生。彼も俳優で、ドイツとタイ育ちというグローバルなパーソナリティ。英語も流暢ながら、Nine同様中国語の習得度も素晴らしい。王子様然とした上品な正統派ハンサムで、親しみやすいNineとは対照的に高貴でノーブルで近寄り難い雰囲気。なによりその甘いマスクからは想像もつかないソウルフルな歌声が大きな魅力である。

■レベル分けテスト バトル

Aクラスを賭けてメンターの指名で行われた追加バトルでは、自作のアカペラ曲を披露。隙のないオールラウンダーっぷりで練習生たちを圧倒した。惜しくもバトルには負けてしまったが、「せっかく邓超が自分に期待して指名してくれたのに、彼を失望させてしまった」と涙を流す姿からは、とにかく彼の真面目さと人柄の良さが滲み出ていた。邓超もそう感じたのか、思わずPatrickをハグしにステージへ。2人の親子のような温かいやりとりにもらい泣きした人も多いのでは。

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実は番組参加者最年少タイの17歳。パフォーマンス時の余裕のある振る舞いとは裏腹に、ステージを下りると物静かで人見知りな年相応の姿を見せてくれる。周柯宇に年齢を聞かれても頑としてはぐらかしていたらしく、年下と知ってからは「弟弟」扱いされているとか。

■第1回公演 『Radio』

Patrickに驚いたのは、とにかく「自分の見せ方」の巧みさである。ステージングが抜群に上手い。目線の送り方、指先の使い方、ちょっとした仕草や表情がとてもセクシーで雰囲気があるのだ。さすが俳優、自分をどう見せるべきか、何をしたらファンに喜ばれるかがよくわかっている。自分の演出がうまい。
そして言わずもがなの歌声。厚みがあって中低音が響く特徴的な声質に、しゃくったりするときのセクシーさ。本当に練習生歴3ヶ月か? と疑う歌唱技術のレベル。とにかく鳴りのいい声で、一度聞いたら病みつきになる。加えて意味ありげな視線の送り方をするものだから、もうこちらとしては忘れられなくなってしまうわけである。これで17歳ってマジか、恐ろしい子。

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海外を転々としていたせいでなかなか友達を作りづらく、心を開いたり自分をさらけ出すことが苦手だと語っていた。自分の演出が上手いのは、「本当の自分を出せない」がゆえに身についてしまったスキルなのかもしれない。そう考えるとちょっと切なくて、ますます応援したくなってしまう。Patrick、罪な男である。

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おまけ:初回順位発表で韩佩泉が残れる練習生の条件を語っていた際、「とても美しい顔をしている人」というコメントでPatrickがカメラに抜かれたのにはちょっと笑ってしまった。彼の顔が美しいというのは万国共通らしい。謝謝、解釈一致です。


⑤頼れるみんなの実力派兄貴『伯远(Bo Yuan/ボー・ユエン)』

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LDH大好き、日本語も喋れる参加者最年長の28歳。『青春有你』にも出演しており、日本の『PRODUCE101』にも履歴書を送ったとか(書類審査で落選)。一般大学卒業後にチラシ配りやウェイター、記者の仕事をするも音楽の夢を諦めきれず、数々のオーディションを受けZERO-Gというボーイズグループでデビュー。しかし近年は仕事がなく、諦めかけてボーカルトレーナーをしていたところを一念発起して番組に参加したとのこと。R1SEの任豪は同じグループのチームメイト。
面倒見がよく、練習生皆に慕われる頼れる兄貴で、親しみやすい性格とアイドルらしからぬ冷静な分析力が魅力だ。たまに「番組コメンテーターか?」と突っ込みたくなるほどの鋭いコメントを飛ばしてくる。

■レベル分けテスト バトル

初回ステージでは三浦大知の曲に加え、なんとアカペラでアニソンを披露。美しい日本語発音はもちろん、エモーショナルな歌声は圧巻だった。こんなに実力のある人でも挫折する中国芸能界の厳しさはもとより、トップに立つアイドルに必要なものが何なのかつくづく考えさせられてしまう。

■第1回公演 『Butter-Fly』

第1回公演では迷うことなく『デジモンアドベンチャー』の主題歌を選択。数多のイケメンたちによるオタ芸という新ジャンルを確立させた。
とにかく歌が上手い。ド迫力でよく伸びる、臨場感のある歌声。ファルセットの美しさは参加者随一である。そしてセンターとしてのステージのコントロール力の高さはさすがの場慣れ感。観客を煽り、会場を巻き込んで一体になるパワフルで盛り上げ上手なステージングに魅了された。決して高い能力を持ったチームメイトばかりではなかったけれど、団結力をコンセプトにとにかく楽しいステージをまとめ上げた姿勢はザ・エンターテイナーだった。

仲間の練習生からは「伯哥(伯お兄ちゃん)」「叔叔(おじさん)」と親われていて、精神安定剤のような存在。名字の「伯」にはおじさんの意味もあり、年齢と絡めてよくいじられている。落ち着きがあって、ミニ番組でチームメイトが騒いでいる時も一歩引いた位置で進行をしていたり、チームメイトのメンタルを常に気にかけたりと、気苦労の絶えないお父さん兼お母さんといった風格だ。微笑ましいのはその気苦労が決して一方通行なものではないこと。チームメイトも彼の努力と気遣いを理解して、苦労人のリーダーを支え、負担を減らそうと協力している様子には心が温まった。

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課題曲発表で『Butter-Fly』が流れた際、同じく初回パフォーマンスで『デジモン』の歌を歌った俞更寅と共に身を乗り出していたのが印象的。名前が覚えられるまで「デジモンのお兄さんたち」と呼ばせていただいていたことをここに告白したい。どうやら日本のマンガやアニメが好きな様子(ちなみに『デジモン』は中国でも大人気)。

歌うまイケメンオタ芸という新たな扉を開かれてしまったので、またこのジャンルを披露してくれることを切に願っている。俞更寅と2人でJAM PROJECTみたいなユニットをやって欲しい。日本でも引く手数多だと思います。

初回順位は18位。下積みを重ね、自然と自分には人気がないと思い込むようになってしまったと語った。
伯远の魅力であり持ち味のひとつが、諦観さえ感じさせる「冷静で的確な分析力」だと思っている。

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会場のファンの投票を見ては「これが市場の評価」、視聴者の投票結果を受けては「視聴者の好評を得るのも実力の一部」「努力は絶対とは言えない」。
業界歴と下積み歴が長いからだろう、自分のことを第三者視点で分析できる冷静さを持っている。プロデュース的な観点で、毎回的確な指摘と鋭い着眼点には感心してしまう。出てくるコメントは唸るほど説得力のあるもので、その考え方や姿勢には多くの視聴者が共感しているのではないだろうか。
しかしその一方で、あまりに冷静すぎて「心のどこかで”俺なんか”って思っていたらどうしよう」とさえ感じてしまう。どこか達観していて、危うさが垣間見えるのが心配でもあり、愛おしくもある。

確かな実力とエンターテイナー然としたパフォーマンスは、日本のアイドルに通じる雰囲気がある。完全無欠な憧れの存在としてのアイドルが求められがちな中国の市場とは対照的かもしれない。決して華やかで目立つタイプではないが、真摯でひたむきな情熱は胸に響く。彼自身の主張に反して「どうか堅実な努力が報われる物語であって欲しい」と思わせる。
「あなたは人気があって、素晴らしい才能があって、スポットライトを浴びるべき人だ。」投票を以て、心からそう言ってあげたい。


⑥静かに闘志を燃やす苦労人『俞更寅(Yu Gengyin/ユー・ガンイン)』

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第1回公演のお気に入りステージが『女孩』という人は多いのではないだろうか。皆が求める正統派アイドル、これでもかと愛嬌を振りまき、多幸感溢れるパフォーマンスで会場を虜にした。そんな『女孩』を抜群のチームワークで勝利に導いたのがリーダー・俞更寅だ。
業界歴は長く、同じようなアイドル育成番組『星动亚洲』に参加しSWINというグループのリーダー・メインボーカルとしてデビューした。メンバーにはNINE PERCENTの蔡徐坤やR1SEの刘也も名を連ねている。
正直なところ、番組開始当初はあまり注目していなかった。「歌がうまいデジモンのお兄さん」程度の認識でいたのだが、『女孩』を経ての初回順位発表で「推さなきゃ」という強い使命感にかられるようになってしまった。これが沼落ちというやつか。

■第1回公演 『女孩』

ガールフレンドのために背伸びして頑張るいじらしさが歌われた80年代風ラブソング。キャッチーなメロディに、学園風でキュートなダンス。まさにボーイネクストドア。「一緒に飴を買いにいきたくなっちゃった」というメンター宁静のコメントに100回頷いてしまった。なぜweTVにはいいねボタンがないのか。誰もが好きになる王道のアイドルステージで、強豪『yummy』を打ち負かしたさまは爽快ですらあった。『女孩』嫌いな人います?

中国語が喋れない日本人練習生の原部凌がプレッシャーから歌えなくなってしまった時は、「大丈夫、大丈夫だよ」と真っ先に励まし、「先生のせいではないですから」とフォローも欠かさず、語学に堪能な練習生の協力を仰いで距離を縮める努力をする。自分のパートをチームメイトに割り振り、全員に見せ場を作って総合力を高めていく。「皆の夢を叶えてこそ自分の夢が叶う」と宣う姿は聖人か? 安心感と抜群の信頼、上司にしたい練習生No. 1である。

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いつもお兄さん然として温厚で、それまでは一切マイナス感情を見せなかった俞更寅だが、初回順位発表で見せた姿は意外なものだった。
順位は22位。デビュー圏の11位には程遠く、スピーチには悔しさが滲む。「僕の目標はセンターでのデビューです。」ときっぱり言い放ち、悔し泣きをする姿には心を打たれた。優しく穏やかな普段の様子とは正反対で、涙を見せて闘志を燃やすさまにはかなり驚いたし、「推さなきゃ」という使命感が湧いてしまった。
下積みの長い苦労人で、スピーチからは人一倍この番組に賭ける必死な思いが伝わってきた。チームメイトの蔡徐坤は今や中国を代表するアイドルだし、『創造営2021』の番組内では同じくチームメイトの刘也が先輩としてアドバイスしにやってくる。仲間の成功を何度も見送ったその心境はどんなものだっただろう。ここからの快進撃に期待している。

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『女孩』、マジなる神ステージで何度も見返して良さを噛み締めてしまう。いつかこのプデュが思い出になった時、ノスタルジーで泣いてしまうだろうパフォーマンスの筆頭である。


⑦ド天然天才ダンサー『力丸(Liwan/リーワン/Rikimaru)』

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日本からの参加者のひとり。なぜこの番組に? と思うほど著名な振付師。SHINeeやRed Velvet、NCT 127などそうそうたるアーティストの振り付けを担当し、日本ではWARPs UPというグループでデビューしている。同じサバイバル番組でも『这!就是街舞』(youkuのストリートダンスサバイバル番組)のほうが相応しいのでは? むしろメンター側で参加すべきでは? とにかく実力は折り紙付きだ。

■レベル分けテスト『A Caminhada』

日本で『創造営2021』が広く知られるきっかけになったのも、力丸と賛多のこのパフォーマンスの功績が大きいのではないだろうか。Gloria Grooveの『A Caminhada』を選曲し、世界レベルの見事なダンスを披露。しかも原語のポルトガル語で歌いきり、会場を熱狂で包んだ。これにはGloria Groove本人もInstagramで絶賛していた。

■第1回公演 『蓮(Lit)』(練習室版固定カメラ)

初回公演ではほとんどダンス経験がないというメンバーが混じっているとは思えない、レベルの高いパフォーマンスを作り上げた。振り付け能力、ダンス指導力の高さで個々の能力を把握分析し、全体で調和のとれたステージになるよう見事に設計されている。ダンスが注目されがちな力丸だが、迫力のある歌声も魅力的なので、今後はもっと彼の歌にもフォーカスする回があるといいなと思っている。

キレッキレの実力の反面、ぽやぽやとしてゆるふわな性格で、話す日本語や例えのセンスもかなり独特。ファン向けのモーニングコールで「早く起きないと人生無駄にするよ。」とドライなコメントを放つのには爆笑してしまった。オンでの格好いいパフォーマンスとオフでの天然っぷりのギャップがファンの心を掴んでいる。

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初回順位は3位。正直日本人メンバーが中国のプデュでここまで高位置につけるとは思ってもみなかった。最後まで何が起きるかわからないのがプデュだが、このままいけばおそらくデビューメンバーに入れるのではないか。

ただやや気にかかっていたのは、課題らしい課題がないことだ。
練習生皆から「力丸先生」と慕われ、崇められてすらいる。練習生だけでなくメンターの宁静でさえ「彼が国内にいたらレッスンをつけてほしい」とコメントするほど。『青春有你3』にも、力丸と同じ韓国の1MILLION DANCE STUDIO所属の天才ダンサー・刘隽が参加しており、こちらも番組を盛り上げている。刘隽は「友達を作りたくて番組に参加したので、先生と呼ばれ続けて仲間と隔たりができてしまうことを恐れている」と語っていた。力丸はどうだろう。
自分のクリエイションができれば満足なわけではなく、チーム一体となってステージを作る経験がしたい。切磋琢磨する中でもっと自分のスキルを伸ばしたい。おそらく動機はそうなのだろうが、番組内ではとかく技術の高さが取り上げられがちで、「なぜ参加したのか」「どうしてアイドルになりたいのか」。それまで彼のモチベーションがいまひとつ伝わってこないのが勿体なかった。
だから初回順位発表のステージで、「自分はもう若くないから、中国のアイドルの基準を満たせないかもしれない。」「自分はつまらなくて、皆さんに覚えてもらえないかもしれない。」「それでも完璧になりたかった。」とはにかみながら告白する姿が見られてちょっとホッとしてしまった。大丈夫、つまらない人はモーニングコールで「人生無駄にするよ」なんて言わない。

プデュを彩る要素のひとつが練習生たちの『必死さ』だと思う。『青春有你2』で謝可寅が「私たちはみんな、闇の中から出てきた女の子だった」と語っていたように、長い下積みを経た者、事務所の威信をかけてやってくる者、チャンスに恵まれず日陰に甘んじてきた者、再起をかけて挑んでくる者、これがラストチャンスと決めて崖っぷちで臨んでくる者。数多のプライドが集まり、ぶつかり、全身全霊で必死に夢を追いかけるのがプデュなのだ。必死さこそが視聴者の心を揺さぶる。力丸先生には、ぜひこれから格好悪いくらいの必死な姿を見せてほしい。

彼がデビューメンバーに入れば、グループ内にプロの振付師が加わることになる。仲間の個性とスキルを熟知したメンバーが振り付けることで、グループの表現の幅はぐっと拡がるだろう。それが新しいボーイズグループの形になるかもしれない。
ダンススタイルの違う刘宇と織り成すステージの化学変化が大好きなので、彼ら2人は絶対一緒にデビューしてほしい。頼む。


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毎週こんな感じでクソデカ感情に揺さぶられているが、『創造営2021』なんと視聴は無料です。


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