小説投稿サイトの改善案②
皆様、前回の記事に対する数々の反応、ありがとうございました。
いただいた御意見をもとに、よりよいサイトになるよう努力していきます。
さて、まず一つお断りしておかなければならない点があります。
僕の作る投稿サイトは「長編小説向け」のサイトになる、ということです。
理由としては
・ある方とお話させていただき、そこで自分の構想が基本的に長編小説向けのものであったと気づいたこと。
・現状の最大手、小説家になろうでは短編が強く、他に短編小説専門のサイトもあり、それで界隈の需要がほぼ満たされているように見えること。
・短編小説と長編小説では、全く異なる評価軸が必要になること。
などが挙げられます。
もし短編小説を投稿できるサイトとしても期待していただいていたのであれば、申し訳ありません。
投稿していただくことはできても、短編小説は前回のエッセイで目標として掲げていた
「面白ければ読まれる」
という状況とは、ほど遠い状況になると予想されます。
ただ、長編小説に関しては引き続き
「面白ければ読まれる」
を目標にサイト制作に励んでいこうと思っています。
どうか今度ともご期待いただけたら幸いです。
次に、今回の記事の話ですが、今回は
① 公正な評価とは何か。
② 平均点評価の利点・問題点・解決策。
③ その他の評価軸の案「読了率」「高評価率」「評価率」
④ 確率でも平均でも、結局は母数問題。
以上、4点について書かせていただきました。
この4点について書くことで、僕の作る投稿サイトの紹介にもなり、いただいた御意見に対する、概ねの返答にもなると感じたからです。
それでは早速①から詳述させていただきます。
① 公正な評価とは何か。
僕の考えを、僕にできる限り端的に表現すると、以下のようになります。
「ありとあらゆる面から考え、そう評価することが最も一般大衆の利益になる評価」
これです。
いきなり「ありとあらゆる面から考え」などと無茶を言っていますが、少なくともサイトの運営者が他の誰よりも
「ありとあらゆる面から考え、そう評価することが最も一般大衆の利益になる評価」
システムを考え、考えの通りにシステムを運用するなら、
「他のサイトに比べたら公正」
な評価制度になるのではないかと考えています。
では、新しい投稿サイトで運営者になろうとしている僕の考える
「公正な評価」
とは、具体的にどういったものなのか。
大きく分けて二つあります。
まず、一つ目の考えはこうです。
十分な母数を持った「数字」
前回のエッセイに対していただいた御意見に答える形でご説明します。
いただいた御意見とは、以下のようなものです。
もっともな意見です。
ある一人にとって面白くとも、他の人にとっても面白いとは限りません。
個々人を基準にすると、この意見は完全に正しい。
ただ「一般大衆」という「集団」がどう思うかを基準にするなら可能ではないでしょうか。
例えば、街中で適当に1000人くらい選ぶ。
その人たちに3冊くらい小説を読ませてみる。
このとき
小説Aは300人が面白いと言い、
小説Bは200人が面白いと言い、
小説Cは100人が面白いと言ったとしましょう。
これが1万人を対象にすると、どうなるか。
やはり、多少の誤差こそあれ
Aは30%が、つまり3000人が
Bは20%が、つまり2000人が
Cは10%が、つまり1000人が
それぞれ面白いと言うはずです。
そして人間は例外なく一般大衆の一員です。
例えば、いまこの文章を読んでいるあなたがA、B、Cの小説を読んだとしましょう。
すると、どうなるか。
Aを読んだとき、あなたは30%の確率で面白いと言うでしょう。
Bを読んだとき、あなたは20%の確率で面白いと言うでしょう。
Cを読んだとき、あなたは10%の確率で面白いと言うでしょう。
さらに、考えてみましょう。
この小説のどれか一つを、1億人に配る場合を考えましょう。
Aを配れば、3千万人が喜びます。
Bを配れば、2千万人が喜びます。
Cを配れば、1千万人が喜びます。
あなたなら、どの小説を配りたいでしょうか。
Aを配りたいのではないでしょうか。
そうだとすると、次のように言えるのではないでしょうか。
「公正に評価したとき、最も優れている小説はAだ」
しかし、まだ反論があるでしょう。
僕自身が考えてみた限り、こんな反論が思い浮かびました。
「それだと、その小説が嫌いだと思った人の意思が反映されていない」
「だから公正な評価とは言えない」
A小説はたしかに30%の人に面白いと言われるかもしれない。
けれど、それと同時に30%の人から嫌いだと言われているならどうか。
プラスマイナス0ではないか。
ここでもしB小説が
面白いと言われる確率20%
嫌いと言われる確率10%
だとしたらB小説は10%分、ポジティブな反応が多いことになる。
ならAよりBの方が優れているかもしれないじゃないか。
たしかにそうかもしれません。
ある人が、ある作品を読んだときに好感を覚える点が、別の人が読んだときには逆に嫌いな点になるのは多々あることです。
ただ、この反論にも反論があります。
今回の例では一定人数に3冊の小説を読むことを強制しましたが、本来の人間は自由です。
嫌なら読まなければいいのです。
実際、自分が嫌いな作品は事前情報の段階で読む前に避けているのが、むしろ普通です。
たとえ読んだとしても、8割くらいの人は本当に不快になる前に読むのをやめるはずです。
以上から、嫌いと言われる確率は面白いと言われる確率より、圧倒的に軽視されるべきと言えるのではないでしょうか。
もう一つ、反論が予想されます。
「それだと、一人一人がどれくらい面白いと思ったかが反映されないじゃないか」
この問題については ②平均点評価の利点・問題点・解決策で詳述することになると思います。
次は「公正な評価とは何か」二つ目です。
読まずに下された評価は公正な評価ではない。
これを読んだ方は
「何を当たり前のことを」
と呆れたかもしれません。
しかし、一度考えてみて欲しいのです。
現行の制度では、果たして読まれてから評価されているのか。
前回のエッセイで、タイトルによって23倍もPVに差ができ得ることを書きました。
また思い出していただきたいのですが、あのとき出した
1600PV
70PV
というのは、投稿初日の数字です。
まだ物語が始まって間もなく。
面白さなど、何もわからないはずの時期の数字です。
ここで、ほぼ勝負が着いてしまっているのです。
これはまさに「読まずに下された評価」です。
「公正な評価」とは、とても言えません。
さらに言うと、いつでも評価できてしまう、という現状も問題です。
読まずに下された評価が公正ではないなら、10万字・30話くらいある小説で、1話2話だけ読んで下された評価も公正とはいえません。
では、どうすべきかと言えば
「最後まで読んだ人以外は評価できないようにする」
というのが、最も正確に小説を評価する方法という話になってきます。
しかし、これはこれで問題です。
小説には、長編小説という言葉だけでは表せないほど長い小説が存在するからです。
例としては
なろうに投稿されている最長の小説 1800万字
なろうの名作、無職転生 280万字
これらの作品を完結まで読むまで評価してはいけないというのでは、評価するまであまりにも時間がかかり過ぎます。
読者としては、早く
「その小説は面白いのか、面白くないのか」
という情報が欲しいでしょう。
作者としても、途中評価を知れれば、続きを書くモチベーションになるはずです。
そこで僕は、だいたい10万字(実際には7万~15万字ほどでしょうか?)を読み終わった人なら、ひとまず評価できるような仕組みにすればどうか、と考えたのです。
小説の単行本が一冊で10万字くらいです。
僕個人の感想ですが、一冊読んで面白いと思えなかった小説の続きを読もうとは、あまり思えません。
たぶん、他の方も大体は同じではないでしょうか。
とすれば、ここまで面白いと思えなかった作品は、もう評価してしまっても構わないはずです。
逆に、10万字を面白く書き上げてある小説は以降も面白い「確率」は高いと言えます。
さらには、読者にとっては早く面白い作品が見つけられ、作者にとってはモチベーションが上がる、という利益があります。
以上から、僕は次のような
・およそ10万字までは評価できないようにする
・およそ10万字で一度評価する
こういうシステムこそ
「最も一般大衆の利益になる」
つまり
「公正な評価システム」
であると考えています。
② 平均点評価の利点・問題点・解決策。
前回のエッセイで、僕は評価制度を人気ランキングになってしまう
「加算型」から人気の影響を受けにくい「確率型」に転換することを提唱しました。
もう一つ、推したい評価制度があります。
それが評価平均点による評価制度です。
読者が面白いと感じた度合いによって10~0のポイントを入れてもらい、集計し、平均値を算出することによって作品を評価する制度です。
なぜ推すのかと言えば、①で挙げた「どのくらい面白いと思ったか」を一応は数値化できるからです。
さらには、軽視されるべきとはいえ、考慮には入れるべき「嫌いだ」という人の感情も、不快になる前に大半は離脱してしまう現象すら含めて「適度」に取り入れることができるからでもあります。
おそらく、上手く運用できれば平均点評価こそ、最も小説の評価に適しているのではないでしょうか。
ハーメルンという投稿サイトでも、この平均点評価を導入しています。
また、ハーメルン内で小説を探すときは大抵の場合、この平均点を頼りに探すのですが、かなり「打率」が高く感じられます。
(これは個人の感想ですが)
ある程度、実績が保証されている評価軸であるとも言えるでしょう。
ただ、問題があります。
悪意による評価への脆弱性
特に、まだ評価者が揃っていない初期は本当に弱い。
これもご指摘いただいたことですが、たとえばある小説の最初の評価者がこう考える人だったとします。
「なんだこの小説、すげえ面白いな。俺より評価されるかもしれねえから、0点をつけてやろう」
すると、その作品の平均点は、たちまち「0点」になってしまう。
逆に、小説の投稿者が友人に評価を頼み込み、その友人が本当にポイントを入れた場合も問題です。
「まあ、あんまり面白くねえけど、頼まれたし、10点入れてやるか」
この場合、平均点は10点。
純粋に平均点だけ見ると、サイト内で最も面白い小説ということになってしまう。
平均点評価に対する危惧の意見もいただいたのですが、その危惧も頷けます。
しかしハーメルンは独自のシステムで、この問題をクリアしています。
平均点の計算時、その作品を評価者数の10%分、高得点付与者と低得点付与者を間引くシステムのことです。
わかりにくいと思うので、例として、こんな評価をされた作品があるとします。
この作品の評価者数は100人です。
100人の10%は10人。
この10人分、付けられた点数の高い順、低い順にそれぞれ間引きます。
すると、評価者は
平均点は5点
ということになります。
なぜ、こんな迂遠なことをやるのかと言えば、悪意のあるユーザーから平均点を守るためです。
悪意のある人は全体の数%に過ぎない、というのは色々な場所で言われています。
その数%に過ぎない悪意のユーザーが、ある小説に10%も集まる異常事態にならない限り、平均点を悪意から守り切れるシステムになっているのです。
たしかに絶対ではありません。
しかし、かなり普遍性がある防御システムなのではないでしょうか。
このシステムで「平均点が破壊」される事態が多発するのであれば、それは平均点評価システムの問題というより、サイト運営方法の問題な気がします。
もう一点、問題があります。
とりあえず10点問題
読者は作品を評価するとき、運営が何もしなければ
「とりあえず10点」
を付けるという問題です。
現に、今しがた小説家になろうで適当に20作調べてみたところ、実に9作が平均9点以上という結果になりました。
少し乱暴ですが、この比率をなろうに存在するという100万作品に当てはめると
100万 / 20 × 9 = 45万
45万作品が9点台にすし詰めになっている。
これでは何らかのちょっとした幸運や不運で順位がまったく入れ替わることになってしまいます。
小説を探す読者から見ても、これでは作品がどのくらい面白いか分かり難い。
この問題の深刻さは学校のテストの点数に言い換えると、わかりやすいでしょうか。
こういう状況では、A君が何かの勘違いで2と書くべきところを3と書いてしまった、というような些細なミスで、たちまち最下位になってしまいます。
逆にE君はある問いで「ど、ち、ら、に、し、よ、う、か、な ♬」とやった結果が、たまたま正解だったから首位、ということも起きやすいわけです。
小説の評価制度でも同じことが言えます。
45万作が100点から90点の中にひしめいているわけですから、もう少し深刻かもしれません。
加えて、小説投稿サイトの場合は「悪意のあるユーザー」も存在します。
点数の上下限の狭さは、悪意への脆弱性にもなります。
こういう「悪意」によって順位が大きく変わるなどあってはなりません。
この問題を解決しようとしたとき、学校ならテストの難易度を上げるでしょう。
すると、生徒の点数の上限と下限が広がって
という風に点数がバラけ、問題視しなければならないほど運の要素が順位に関わってくることがなくなります。
では、小説投稿サイトでは、どうすればいいか。
「とりあえず10点文化」を何とかしない限り、平均点評価は運の要素の強い、悪意に弱いシステムになってしまいます。
しかし、この問題もハーメルンは解決しています。
このような制約を付けているのです。
これによって評価者は10点、0点を惜しむようになります。
評価を付けるときに、こう考えるようになるからです。
「この作品を読んで、俺はたしかに感動した」
「けど、本当に10点を付けていいのか?」
「もっと面白い作品に出会ったとき、10点をつけられなくなるぞ……?」
ハーメルンを見ればわかりますが、あのサイトでは上手く平均点がばらけています。
9点を超えていることは稀で、そういう作品は面白いものが揃っています。
疑うならハーメルンに行き、自分の好きなアニメ作品の名前で、平均点順に検索をかけてみるといいでしょう。
少なくとも小説家になろうで同じ方法で探すより、幸せに時間を潰せるはずです。
いかがでしょうか。
・どうやっても10点は10作しか付けられない点
(20作くらいに他の点数を付けると10点枠が1つ増えるとかの制度があってもいいのではないか)
・9点~1点は無制限に付けられる点
(とくに9点・1点は制限を付けていいのではないか)
などなど、ちょっと手を加えてみたい部分はあります。
ですが、ほぼハーメルンに準拠すれば、平均点評価制度を問題ない形で実装できるのではないでしょうか。
③ その他の評価軸の案「読了率」「高評価率」「評価率」
前回も含めて、ここまで評価軸の案として
「ブックマーク率」
「平均点評価」
という二つを挙げてきました。
しかし、実を言うと「ブックマーク率」は、あまり評価軸として適切とは考えていません。
ブックマークのような機能は、
そういう場合の「目印」として使われている場合も多いからです。
面白いと思ったからという以外に、多様な使い方がされているのです。
そもそもブックマークとは本来そういう使い方をするものであって、小説を評価するために使うのは邪道と言えば邪道です。
この点、ブックマークの名前を「お気に入り」に変えても、同じことが言えます。
では、なに率が評価軸として望ましいか。
平均点評価一本で、という選択肢もあります。
個人的な考えとしても「最も公正な評価軸」は平均点評価だとも考えています。
しかし、評価軸が一本では取りこぼされる良作が多くなります。
例えば、
・深い感動は与えられないが、ほとんどの人が70点くらいを付ける作品。
・ほとんどの人には面白さがわからないが、ある一群の人々は咽び泣きながら100点を付ける作品。
このような作品は、平均点評価では少し過小評価されると予想できます。
しかしどちらの作品も評価されるべきです。
これらの作品への評価軸として有効ではないかと考えているのが、見出しにある評価軸になります。
読了率
読み始めた人が、読み終わる確率です。
ある程度以上面白ければ、不快に思う場面が出てきたりしない限り、離脱者がドカンと出たりはしないはずです。
なので、この評価軸は
深い感動は与えられないが、ほとんどの人が70点くらいを付ける作品。
に対する評価軸として、有効であると考えています。
また、比較的に母数を確保するのが容易という利点もあります。
ブックマーク率にしろ、平均点評価にしろ
小説を読み始める → ブックマークまたは評価をする
というステップが必要ですが、読了率であれば
小説を読み始める
だけで母数としてカウントできます。
おそらく最速で「確率が信頼できるだけの母数」を確保できるのは、この評価軸です。
しかし問題もあります。
現行のページビュー(以下PV)やユーザーアクセス(以下UA)といった指標は、母数に使うには問題が多すぎることです。
PVは更新数が多ければ、多くなってしまいます。
更新数など、小説の面白さには関係ありません。
なのに、面白さの評価に影響してしまう。
好ましくありません。
UAも同じです。
付け加えると、その小説に何度も読み返したくなるほど面白いシーンがあった場合、読者は
全部は読まないけど、その場面だけは読み返す
という行動をするでしょう。
すると、
面白いがゆえに、面白さを示すはずの読了率が下がる
という逆転現象が発生します。
これでは好ましくないどころではなく、完全に悪の制度です。
もちろん、ここでわざわざ読了率について触れる以上、解決策はあります。
1人のユーザーが1万回繰り返し読んだとしても、それは
「読者1人」
として計算するプログラムを作ることです。
具体的には、ある小説のデータに「その小説を読んだユーザーのID」を記憶させ、すでに記憶しているIDは弾くようにすればいい。
実は、このプログラムについてはすでに書き終わっています。
自分で何度かテストしたところでも、問題なく動いています。
もちろん、後で他の方にもテストしていただき、問題を洗い出してもらおうと考えていますが、おそらく問題なく機能を提供できるはずです。
高評価率
評価点の10点、および9点を付けられる確率です。
現状では以下のような計算式を考えています。
付いた10点の数 + 付いた9点の数×0.2(0.3?) / 評価者数
平均評点のところでも書きましたが「10点は1ユーザーにつき何個」と決められると、よほどのことがない限り10点は付かなくなります。
それなのに10点を付けたとなると、読者にかなり大きな感動を与えられたということになります。
なので、この評価軸は
ほとんどの人には面白さがわからないが、ある一群の人々は咽び泣きながら100点を付ける作品
に対する評価軸として、有効であると考えています。
ちなみに一応説明しておくと、計算式の9点の部分に ×0.2 を付けているのは、この評価軸の目的にとって、明らかに10点は9点より比重が大きいからです。
また、0.2 (0.3?) と数字が疑問形なのは、ハーメルン様を見ると、10点と比べたとき、9点は大体これくらいの比率で評価されていると思えるが、実際にはサイトを運用して、実際の値を見てみないとわからないからです。
この点、どれくらいがいいかなど、御意見ありましたら積極的に送っていただけると幸いです。
評価率
点数を問わず、その小説が1読者あたり何人に評価されたか。
その数値が「評価率」になります。
計算式では以下の通り。
評価人数(高評価、低評価問わず) / 読者数
さて、皆さん疑問に思ったはずです。
なぜ点数を問わないのか。
なぜ高評価も低評価も一緒に評価人数に加えてしまうのか。
そんなことをしたら、つまらない小説が面白いと評価されてしまうじゃないか。
僕がこの評価軸を加えようと思った理由は、こうです。
小説を読んで評価しようとするとき、それは良い感情であれ、悪い感情であれ、何らかの形で心を揺さぶられたときだから、です。
たとえば近ごろ。
フェミニズム問題が大きく取沙汰されるようになってきました。
その中でも女性キャラクターの扱いに関する問題は、事あるごとに創作界隈で大きな話題になっています。
それも否定的に、親の仇のように扱われます。
普段は争いの多い創作界隈が、この問題に関しては20年来の戦友のように結束します。
僕も好きではありません。
現実の女性と、創作物の中の女性は分けて考えるべきだと思っているからです。
一度、仮定の話をしてみましょう。
もしどこかのサイトにフェミニストの説教的な小説が投稿されたら、という仮定です。
このとき、創作界隈の人間は一致団結して小説のもとに押し寄せ、その小説と投稿者を袋叩きにすることでしょう。
平均点評価があるサイトなら0点評価の嵐になること請け合いです。
「こんな小説は今すぐ削除しろ!」
そんな怒号が聞こえるのも容易に想像できます。
しかし、ここで一度冷静になっていただきたい。
本当にその小説は削除されるべきなのでしょうか?
僕の意見はこうです。
「絶対に消させてはならない」
「むしろ、もっと多くの人に読まれるべきだ」
なぜか。
フェミニストの意見が正しいからではありません。
先述の通り、僕は少なくとも我々のイメージするフェミニストの言うような、創作物に関する意見は間違っていると思っています。
だから正誤の問題ではありません。
偏に、それが大きな感情を発生させたからです。
人間に大きな感情が発生したとき、それは絶対に「考え」を生みます。
今回の例では、女性キャラクターに対する「考え」が生まれているはずです。
フェミニストの話を聞いて、不快になったとき。
彼ら彼女らが話題にした女性キャラクターの問題を、一瞬たりとも考えなかった人はいないでしょう。
このように、誰かの考えを聞いて不快になったときは、必ず何か考えが深くなっているときなのです。
そして考えることは創作の父であり、母でもあります。
そうやって創作者が考え、それによって新しい良い創作が生まれたのなら、それは一般大衆の利益です。
それなのに、せっかく大きな感情を生み出してくれる説教小説を削除させてしまったら、このときに生まれたはずの創作は生まれません。
一般大衆の不利益です。
この問題で僕が間違っているとは思いませんが、別の問題では不快になっている方が間違っている、ということも十分にありえます。
だから絶対に消させてはならないのです。
むしろ、評価し、さらに人目に触れさせて、より多くの人間に不快になってもらわなければならないのです。
その後にある、より大きな一般大衆の喜びのために。
と、まあ。
評価率という軸を推す理由は、こんな感じです。
平均評価のときと意見が違うじゃないか、と言われるかもしれませんが、それは評価軸の目的が違うからです。
平均点評価は、読者により高い確率で面白い小説を読んでもらうための評価軸です。
今回の評価率は、多様性を守るための評価軸になります。
両者はほとんど矛盾するものですが、互いに守らなければならないものと考えます。
ついでに付言すると、悪意によって点数を下げてやろうというユーザーが現れても、この評価軸では逆に評価があがることになります。
なので、副次的な効果ですが、そういう悪意の予防になるのではないか、とも考えています。
④ 確率でも平均でも、結局は母数問題。
もっともご意見をいただいたのが、この点です。
たしかに僕が提唱する「確率評価」にしろ「平均点評価」にしろ、母数が足りなければ信用できる数字になりません。
読者が1人しかいなくて、その1人が面白いと言ったら、打率10割でランキング1位なのか。
読者は10人集まったが、その10人の感性がたまたま合わないだけで、打率0割の烙印を捺されなければならないのか。
読者を1000人集められるなら話は変わりますが、もっともな危惧です。
1人だけなら論外ですし、10人でもまだ偶然があります。
この点がクリアできないなら、確率評価も平均点評価も絵に描いた餅に終わります。
ここで、一つ確認しなければならない事実があります。
小説家になろうには、現在100万9931作品が存在しているという事実です。
カクヨムには25万作、ハーメルンには11万作は存在するそうです。
同時投稿している作品もあるので単純に足し算はできませんが、他のサイトも合わせれば少なくとも120万作品はあるのではないでしょうか。
宣言します。
これらの作品全てに「信頼に足る母数」を確保するのは不可能です。
実際、なろうでもイベントや企画などで、あまりPVのついていない作品にPVをつけようと涙ぐましい努力を続けています。
ですが、まったく、全然、焼け石に水というのが現実です。
無理に、たとえばランキングの合間にPVの少ない作品を滑り込ませるとかすれば、一時的にはPVが付くかもしれません。
しかし、そんなことをしたら読者の信頼を失い、読者がサイト自体から離れてしまうでしょう。
なので、現実的にはハードルを設けなければなりません。
作者様がこのハードルを越えてくださったのなら、B-NOVELは責任をもって「信頼に足る母数」を集める・集められるというハードルです。
幸い、ハードルの条件は明確です。
1. そのハードルは母数の足りない、つまり信用ならない「評価」であってはならない。
2. まして、僕がさんざん「小説の面白さには関係ない」と言ってきた「人気」であってもならない。
3. 結局は読者に読んでもらう以上、そのハードルを越えていることが読者から見たら
「あっ、このハードルを越えてるんだ。じゃあ、読んでみようかな」
と納得してもらえるハードルでなければならない。
これらを満たしているハードル。
一つ思いつきました。
文字数です。
おおよそ文庫本1冊分である、おおよそ10万字。
もう少しハードルを下げたとして、7~8万字。
こういう条件をつけたら可能なのではないか。
またなろうで調べてみました。
これらの条件を超えている作品が、何作あるか。
これならギリギリ何とかならなくもないんじゃないか。
なろうトップページの「新着の短編小説欄」の場所に「十万字を超えた小説欄」を設置して、信頼に足る母数を確保するまで何度も表示するとか。
十万字を読んだ段階で、一度評価フォームのポップアップを表示して評価を促すとか。
各小説ページの下部に、まだ母数の足りない作品が優先的に表示されるオススメ欄を作るとか。
現在のなろうトップページの月間ランキングの載っているような目立つ場所に「十万字を超えた小説欄」を移動させてもいいかもしれません。
これでもダメなようなら、もう一つだけ案があります。
できればやりたくない。
もしやるなら作者様に殺されても文句を言えないような案ですが、少なくとも埋もれている小説を劇的に減らせる案です。
おそらく次の記事では、この案について書くことになるでしょう。
今回も僕の記事を読んでくださり、ありがとうございました。
次にあげる「案」についても批判があるでしょうし、これまで僕が書いてきた意見にもご意見があるでしょう。
前回の記事でも反響が大きく、全ての御意見に反応することはできませんでしたので、今回もそうなるかもしれませんが、それはご容赦いただきたく思います。
最後に「案」というのはこれです。
御意見、お待ちしています。
上に挙げた4つの評価軸における、低評価作品の削除
続きの記事、書きました。
低評価作品の削除について、言い訳を書き連ねています。
御不快に思ったでしょうが、ぜひこちらも読んでいただけたら、全面的に納得とはいかないまでも、一つの考えとしては受け入れていただけるのではないかと考えています。
よろしくお願いします。
サイト公開しました!
以下がリンクになります!
ぜひお越しください!
B-NOVEL
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?