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ポール・ウェラー@名古屋ダイアモンドホール(2024.01.27)

ポール・ウェラーのライブ、初体験だった。ダイアモンドホールなんて、25年ぶりくらいに行ったかも。おそらく最後に行ったのはコレクターズかミッシェルだと思う。あの微妙に暗い階段をのぼっているときに、ライブに緊張しながら同じように階段をあがっていた当時の自分が急にフィードバックした。

直前でインフルエンザにかかり、一度は諦めたのだけど、執念で無理矢理回復(発症して6日目)し、マスクをして参加。ひさしぶりに男気のあるライブを見た気がした。野太い男性陣の声援に胸が熱くなった。

もちろん、最初は元Jamの、元スタカンの、という肩書きで聴いていたと思うけれど、個人的にはオンタイムでリリースをチェックできていたソロになってからのほうが思い入れが強く、今回もソロ初期のアルバムからの曲をたくさんやってくれたのがうれしかった。

パフォーマンスからは老いをまったく感じさせず、むしろどんどんパワフルになっている気さえした。ていうか、目の前で動いて歌ってるなんて信じられないという感じ。ステージ中央に立つ姿はなんとも雄雄しく、「わたし、いま目がハートになってるだろうな」と思った。こういう興奮、どれくらいぶりだろう? 最近はもっぱら向井くん(ナンバーガール、ZAZEN BOYS)とBTSにうつつをぬかしていたのだけど、あたりまえだけどどれとも違う色香ときらめきだった。

とくに胸熱だったのは、「all the pictures on the wall」、「Village」からの「hung up」、「above the clouds」、「into tomorrow」あたりだろうか。「ever changing mood」も「Shout to the top」も「START!」も「PEACOCK SUIT」も「changingman」も最高だったけど。

「hung up」はリアルタイムでシングルを買っていたけど、実はいまいちピンときていなかった。それが25年も時が経って聴き直したらこんなにしみるなんて、思ってもみなかった。この曲の良さを知るには、当時の自分はまだ若かったんだろうな。イントロが流れたときにけっこう拳をつきあげて歓喜するおじさんが何人かいて、その場で駆け寄ってがっしりと握手を交わしたい気分だった。中間のギターソロ(スティーヴ・クラドック)が熱くてめちゃくちゃ好きなのだ。

前週は、東京ドームでブルーノ・マーズを観たばかりだった(ポールとは環境も存在感も超対極)のだけど、個人的には断然ポールに軍配、でした。ブルーノは、それはそれでキラキラしていてポップでエンタテインメントだったけれど、いまの自分のトーンとしては、ポールのショーを観ることができた喜びが大きい。バンドサウンドの細かいところまで味わえたのも、ダイアモンドホールという比較的小さな会場だったからこそだったと思うし。

「ビター、ときどきマイルド」な人生を体現するかのようなメロディと声。しばらく聴き続けていこうと思った。

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